写真を撮られた者は死ぬ…なんてどこかで聞いたような設定の『映画/ポラロイド』でネタバレと感想を含む戯言を。「あまりの恐怖に世界各国で上映中止」となった理由についても触れたいところですが…
ポラロイド
2017年 アメリカ
キャスト:
キャスリン・プレスコット
サマンサ・ローガン
タイラー・ヤング
ミッチ・ピレッジ
監督:ラース・クレイヴバーグ
脚本:ブレア・バトラー
ネタバレ無しのあらすじ
カメラ好き女子高生のバード(キャスリン・プレスコット)は、ある日バイト先のアンティークショップで古いポラロイドカメラをプレゼントされる。
一目でそのカメラを気に入った彼女だったが、それは撮影されたものが次々に死んでいくという呪われたカメラだった…
・・・というベタな設定の超B級ホラー作品。お色気は皆無。
キャストと短編映画で戯言
あまり有名な俳優も出ていないのでキャスト戯言は軽く触れるだけ。
主演のキャスリン・プレスコットはまぁそれなりに美人というか可愛いというか、女優としては決して悪くはない。尻も大きめで魅力的ですし。
しかしさすがに、
三十路女に女子高生役は無理がありすぎるだろ!
と(汗)
まぁ日本のAVでも「ふざけんなBBA」と言いたくなるような女がランドセル背負って三つ編みだったりしますし、竹内力なんて50歳を超えてなお高校生役を演じていますけど。
ちなみにこの映画は監督自身が2015年に製作した短編映画を、自ら長編化したものだそうで。
興味のある方はそっちもどうぞ。なお外国語音声・外国語字幕なので、私のように日本語オンリーの方は雰囲気だけ楽しみましょう。
上映中止の理由
まず最も気になるのが
『世界各国で上映中止』
という宣伝文句。
なんでも『あまりの恐怖に世界各国で上映中止』とのこと。
この点についてかなり掘り下げて調べてみたのですが、どこかの国で上映中止になったという情報は一切出てきませんでした。そもそも『世界各国』ってドコの国よって話ですし。
私のリサーチ力不足という可能性もあるので一概に決めつけられませんが、もともとこの手のB級ホラー映画では
- 『あまりの恐怖に上映中止』
- 『想像を絶する怖さに途中退場者続出』
とったキャッチコピーは常套手段じゃないですか。そしてそのほとんどは客寄せのためのハッタリであることを観客も承知している。
この『映画/ポラロイド』も絶対にそうだと決めつけることはできませんが、あくまで私が調べた感触では『話題作りの誇大広告』かと思われます。
というかそもそも、上映中止にする必要があるほど怖くないってのが何よりの証拠かと(笑)
序盤クソで後半巻き返し
もう鑑賞前から『B級ホラー』ということはわかりきっているものの、それでも冒頭~序盤のダルいことダルいこと。
セリフは不自然で場面の構成もヘタクソ、独りよがりの演出に入り込みづらい話の流れ、予想していたクオリティの斜め下を行く展開は『あまりのつまらなさに(自宅)上映中止』しようかと思うほど。
なんとも盛り上がらない殺され方で1人また1人と減っていき、肝心のカメラも『連続殺人犯が使っていたカメラだった』というベッタベタなオチに「こりゃB級以下の駄ホラーか…」と愛想が尽きかけたところで、
実は殺人犯のカメラではなかった!
つーか単なる殺人犯でもなかった!
という、なかなか面白いどんでん返しをぶっ込み。
『娘を辱めた4人の学生のうち3人が殺害された。唯一の生き残りは誰だ?』の時点で「まぁアイツ(保安官)だろうね」とバレバレだったものの、てっきり山無し谷無しのまま終わると思っていたので予想外のボーナス感じゃないですか。
かーらーのー・・・
単なる殺人犯どころか、もっとヤベぇヤツでした!
の二回転どんでん返しが炸裂!!おほー、こりゃなかなか。
まぁこれはこれでツッコミどころがあるものの、あのまま失速されるよりは100倍マシ。なにせあまりにもチープな造形の亡霊(?)がとことこ歩き回り『シャワーが熱くて手が出せない』とか、笑っていいのか迷うほどに困惑でしたし(笑)
クソ級の手ぬき
序盤のクソっぷりから後半巻き返した点は偉い。
しかし1点だけ、どうしても許せない部分が。
最後、亡霊を撮影して握りつぶしたり燃やしたりする攻防。ここめちゃくちゃ気になりませんでした?
自分の手も写り込んでしまったため、アレコレするたびに自らの右手も痛くなる…というシーンです。
首絞めを左手でふりほどこうとしながら右手のみで撮影したので、写真に写り込んだのは『右手』だったはずが・・・
あれ?写っているのは左手の指…(汗)
しかしこの後、くしゃくしゃに握り潰す直前に一瞬だけ見える写真では…
おいおい、右手の指に変わっているじゃないか。
さらに、くしゃくしゃ攻撃に続いて写真を燃やす際には…
再び左手に戻ってるという…
(1枚目とも異なる写真)
まったく、わたしゃこの手のミスが大嫌いなんですよ。…いえ、これはミスとは言えませんな。
普通に見ているだけですぐ気づくような簡単な事を、演者も含めて製作に関わっている全ての人間が気づかないはずがない。明らかに「このくらいならバレないだろ?」と高を括った怠慢、手抜き以外に考えられない。
(映画では編集段階で映像を反転させて使う事が多々ありますが、そうだとしてもおかしい)
映画という性格上やむを得ない矛盾(演者の化粧、服装の乱れ等)や、後から細かく見直さないと気づかないような部分までケチをつける気はありませんが、こーんなバレバレなところを適当にやるような人間はモノ作りに関わって欲しくないですなぁ。
個人的には『映画/パンドラム』のカプセル表記に匹敵するレベルのクソでした。
超個人的な戯言感想
…というわけで、クソB級ホラーだと思っていたら意外に見れる佳作ホラー・・・かと思ったら、バカにしているレベルの手抜きで台無しになった『映画/ポラロイド』
指の一件がなけりゃ、それなりに評価したかったんですけどねぇ…。気になってしまったものは仕方がない。
シメの前にちょろっとカメラの話も。
本作で登場するポラロイドカメラ『SX-70』は実在する製品で、ファーストモデル(もしくはオリジナルモデル)が登場したのは1972年。その後ほぼ同じ形で多数のモデルが展開されています。
現在もオークションやショッピングサイトなどで購入できますが、価値の低いモデルが高額で出品されていたりするのでご注意を。
ちなみに私も10代後半~20代前半の頃にポラロイドカメラにドハマりし、どこに行くにも持ち歩いていました。
当時はまだフィルムカメラが主流だったので自分で現像できなけりゃプリントをお願いしなければならない。しかし倫理に反する写真は現像してくれないのですよ。そこをポラロイドカメラであれば現像に出す必要がなく、あんな写真やこんな写真も撮り放題。そりゃもう、若さにまかせて撮りまくったものです。
それが今じゃ自宅でプリント。それどころかデジタルデータ化のおかげでプリントせずともいつでも見れるんですから。
まったく、エロい時代になったもんですなぁ…。