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タイトルからインパクト大の「映画/スペイン一家監禁事件」、なぜか「スペイン一家殺人事件」と間違われる事が多いようで、そっちで検索してもこの映画がヒットします(笑)

ごく普通の家族を襲う、理不尽な暴力行為・・・という事なので、真っ先に想像したのが「映画/ファニーゲーム」(リメイク版の「ファニーゲームU.S.A」もあり)だったのですが、全く違いました。。。

スペイン一家監禁事件
(原題:SECUESTRADOS)


2010年 スペイン

主なキャスト:

フェルナンド・カヨ
マヌエラ・ベイェス
アナ・ワヘネル

監督:ミゲル・アンヘル・ビバス
脚本:ミゲル・アンヘル・ビバス、ハビエル・ガルシア

ネタバレ無しのあらすじ

郊外の住宅地に引っ越してきた、ハイメ(フェルナンド・カヨ)とその家族。

引っ越し初日の夜くらいは家族みんなでゆっくり過ごそうと提案する母マルタ(アナ・ワヘネル)の気持ちをよそに、娘のイサ(マヌエラ・ベイェス)は彼氏とパーティーに行きたがる。

そんな娘の行動に「まぁいいんじゃないか」と理解をしめすハイメだが、マルタはちょっと小言を言ってみたり・・・

そんな「どこにでもありそうな家族」の情景は突如侵入してきた強盗グループにより打ち砕かれる事となる。

・・といった内容の作品。

ヨーロッパが抱える問題

現在のヨーロッパ諸国は移民・難民による強盗、殺人、暴行などが溢れ、もはや社会問題というレベルではすまされない現状となっています。

自宅への押し入り強盗だけにしても、年間約300万件を超えているとの事。

この『映画/スペイン一家監禁事件』は、実際に起きた特定の事件を元にした「実話」というわけではありませんが、現実として映画同様の事件が日常的に起こっているわけですので・・・ある意味「実話」ととらえても良いかもしれません。

正直・・期待外れというか・・

もうDVDのパッケージがヤバいですね。「稲川淳二・怪談コレクション」みたいなジャケットになってます(笑)

冒頭で引き合いにだした「映画/ファニーゲーム」、1997年版のオリジナルは未鑑賞ですが、リメイクの「ファニーゲームU.S.A」を観ました。この作品・・・個人的にはものすごく好きな映画なんです。

内容も過激を通り越して、ただただ不条理。被害者家族だけでなく、映画を観ている観客までバカにするかのような演出。そして最後の最後まで救いは一切なし。

ごく一般的な人間からすれば不快感しか残らず「これの何が素晴らしく面白いのか理解できない」と言われるような映画ですが・・・私は大絶賛でした。

観ていない方はぜひ・・とは言いません。この「スペイン一家監禁事件」なんて屁ぬるく感じるほどの嫌な気分が残る映画ですし、面白いとは感じない人が大半でしょう。しかしやはりオススメしたいっ。

そんな感じの映画を期待しての鑑賞でしたので・・・最初に強盗が入ってきた時点でもう期待外れ感が漂ってしまいました。あまりにも普通の犯罪者すぎるんですもの・・・。

ここからネタバレと変な感想も含むよ!
常識的なノーマルさんは注意!!

ネタバレ含む映画の流れ・感想

冒頭描かれる、頭に袋をかぶせられた男性のシーン。

よくある「映画のラストから繋がるシーンを冒頭に・・」だと思ったら、結局最後の最後まで繋がりませんでした。

映画中の犯人グループが、ハイメ宅に押し入る前に行った強盗行為の被害者・・・という解釈もあるかと思いましたが、単純に「こういった犯罪が頻発している」という事を表現していたのでは…という事で私は落ち着いています。

ありふれた日常と怪しいタマゴ

さてさて。

ごく一般的にありがちな家族の、ごく一般的にありがちな引っ越し風景で始まりますが・・・途中でなにやらタマゴのような形の置物?のような物がちらっと出てきます。

もうね、コレは怪しすぎるでしょう。「絶対に後からこれで殴るシーンあるよ!」と思ってしまうじゃないですか。案の定、ありました(笑)

殴るのレベルを超えて、頭ぐっちゃりするまでやるのは予想外でしたけど・・・。

とりゃっ強盗登場だっ

肝心の強盗ですが1人目の登場はなかなかインパクト大。ガラスを割って入ってくるなり、いきなりの顔面パンチは容赦なくて素敵です。惚れちゃいそうです。

・・・が、玄関から入ってきた二人は登場からなんかバタバタしていて「あぁ・・普通の強盗か・・」とガッカリ。

徐々にキャラが見えてくると「大胆かつ冷静なボス」「荒くれヒャッハー系」「ちょっと真面目な小悪党」というありがちな構成であることも「いかにも」といった感じでガッカリ。

欲しいのは金。優位に立っている時は傲慢だがヤバくなればアタフタ。

・・・おまえら、ただのノーマルさんかっ!!

ボス格の男は若干良さげなキャラではあったのですが、それ以外はただの典型的な悪者キャラ。どうやらこの映画は私が期待していたような「サイコな犯人による不条理な蹂躙」ではなく「普通の犯人による普通の強盗」のようです。

ある意味、リアル系と言えばリアル系。こういう映画のほうが生々しくて恐怖を誘うのかもしれませんが…

うーん、失敗したなぁ・・。変な方向に期待しすぎました。

ラストまで一気にびゅーん

作品中で何度か挟まれる2分割のカット。どっちに注目して良いのか混乱するものの個人的にはアリでした。誰でしたっけ、この手法(スプリットスクリーン)を好んで使ってた監督。

中盤に訪問してきた、フニャフニャした軟弱系の彼氏が分割画面左でめっちゃいたぶられているのに、右画面では逃げるのに必死でそれどころじゃない母娘の姿はちょっと笑いを誘いましたし(笑)

最終的にはバッドエンド系、しかもエグい演出で締めてくれましたが・・・鑑賞後に残ったのは「恐怖」でも「後味の悪さ」でもなく、「拍子抜け感」

最初からリアル系犯罪映画として観ていれば、純粋に演出や展開を楽しめたと思うのですが、いかんせん期待する方向を間違えてしまいました。。。。

現実っぽさ・・ですか

私は鑑賞姿勢を間違えてしまったので、まともな評価は難しいのですが・・・・

暴力描写もさほど過激ではありませんし、見ていて目を覆いたくなるようなゴア要素もほぼ無し。複雑な人間模様なども描かれていませんし、頭を使う犯罪ゲームも展開されません。イサに対する暴行はありますが、露骨に描かれる事はありません。

いったい何を期待して観れば良い映画だったのでしょう・・・。

「ヨーロッパが抱える問題」の部分でも書いたように、こういった押し入り強盗はあちらでは日常的に発生しているそうですので、その「現実にありえる感」を観るべき映画だったのでしょうか。だとすれば、過剰な映画的演出が無いほうがリアル感が増すのでしょう。

引っ越しを頼んだ業者の移民系従業員が、夜にその家に強盗に入る・・というのも、映画的な驚きの演出ではなくリアルさを出そうとしているのでしょう。

うーむ・・・。

まぁなにはともあれ、娘のイサを演じたマヌエラ・ベイェスはすごい演技でした。

テレビドラマ・短編映画などにも出演しているようですが、日本で公開されている長編映画はこの「映画/スペイン一家監禁事件」のみ。スペイン映画はよく観るのでぜひまたお目にかかりたい女優さんです。

そういえばそうですよね・・・スペイン映画はその生々しい雰囲気が持ち味なのに、変な方向にエンターテイメント性を求めた私が間違いでした。阿呆でした。

よーし、もう一度「ファニーゲーム」を観て、モヤモヤ感を解消するとしますかー。