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ファンも多い名監督ウディ・アレンが監督・脚本・出演を務めるミステリーコメディ「タロットカート殺人事件」、私も彼の作品は大好きです。

「古臭い」と感じる方もいるかもしれませんが……変にこねくり回したミステリー作品が多い昨今、彼の小気味よいテンポとウィットに富んだセリフは往年の名作ミステリーを彷彿とさせてくれます。つまり私が年寄りという事ですな(汗)

タロットカード殺人事件
(原題:Scoop)


2006年 イギリス・アメリカ

主なキャスト:

スカーレット・ヨハンソン
ウディ・アレン
ヒュー・ジャックマン
イアン・マクシェーン
チャールズ・ダンス

監督:ウディ・アレン
脚本:ウディ・アレン

ネタバレ無しのあらすじ

ジャーナリスト志望の女子大生サンドラ(スカーレット・ヨハンソン)はマジックショーを鑑賞中に客席の中から選ばれ、マジックボックスへと入ることに・・・。なぜかその箱の中で有名ジャーナリストの亡霊(イアン・マクシェーン)と遭遇したサンドラは、彼から「最近ロンドンを騒がせている連続殺人事件」に関するスクープ情報を語られる。

そのマジックショーをおこなっていた老マジシャン、シド(ウディ・アレン)を巻き込みながら殺人事件のスクープを追い続けようとするサンドラだが、調査ターゲットの大富豪ピーター(ヒュー・ジャックマン)に本気惚れ。そしてピーターもサンドラに惹かれる。

果たしてピーターが犯人なのか!?

・・・・といった内容の作品。

ここからネタバレを含むよ!

ウディ・アレンの魅力

その作風から、国内外問わずファンの多いウディ・アレン

彼はよほどスカーレット・ヨハンソンが気に入ったようで、本作を含めて三連続の起用。さらにそのムチムチの肢体を堪能できるようシーンも多数用意。

もう70過ぎたお爺ちゃんなのに「うひょひょひょっ」とスケベ心を躍らせている姿が目に浮かびますなぁ(笑)

作品の作りとしてはとてもシンプルで、主要な人物はサンドラ、シド、ピーターの三人だけ。

ややこしい時間の前後などもなく、ストーリー自体も素直。悪く言えば先の読めるありきたりの展開とも言えます。しかしそう感じさせないのがウディ・アレンの熟練テクニックといえるのでしょう。

とにかく映画本来の「ドキドキハラハラ感」をユーモアを交えて味わわせてくれます。

エセ金持ちっぷりが楽しい

ヒュー・ジャックマン演じるピーターは上流階級の貴族。金にも苦労せず、生活のレベルは一般人とは別世界。

かたやサンドラ&シドの素人探偵コンビは絵に描いたようなプロレタリアート。自分の時間を売って生きる労働者階級です。

しかしピーターに近づくため上流階級を装うのですが・・・これがまたグダグダで(笑)

最初の出会いでサンドラが偽名を使うくだりも「おまえ・・・今、適当に考えただろ?」とツッコミたくなるようなノリ。

そしてシドは見ているこっちがあきれるほどペラペラペラペラと適当な事をならべて…最高です(笑)

でもなぜか「まぁこういう金持ちもいるよね」と思ってしまうような雰囲気はさすが。

この「偽上流階級を演じる二人」が本作品の一番の見どころと言っても過言ではないでしょう。

上手にまとまった完成度の高い作品

結局のところ「連続殺人の犯人探し」に関しては大きなどんでん返しもなく、無難に「ピーターが犯人でした」に着地するわけですが…この映画は「犯人予想」を楽しむ純粋なミステリーではなく、そこに至るまでの経緯を楽しむミステリーコメディ。

そのコメディ要素も大部分が「サンドラとシドのグダグダ素人捜査」で引っ張っているのですが、テンポ良く進むシナリオと絶妙に挟み込んでくる笑いのおかげで飽きることなくラストまで観ることができました。

実はこの映画を見るまで私はスカーレット・ヨハンソンが好きではなかったのですよ・・・。しかし本作の彼女はイイ具合にイモ臭くて、とても魅力的。このような「滑稽で愛嬌がある。それでいて嫌味のない女性」を演じれる美人女優ってなかなかいないですよねぇ。

ヒュー・ジャックマンも余計なクセを出さず、ストレートに「さわやかな英国紳士」を演じてくれています。

「飽きさせない脚本」を練り、「監督として各俳優を指揮」し、自ら出演することで「作品中の空気」を作り上げていく・・・。ウディ・アレンの映画に対するこだわりを感じる1本でした。

ここまで「シンプルなのに退屈感がなく、鑑賞後の心地良さすらある」という作品はなかなかないのでは。

ジャンルがジャンルだけに観る人を選ぶ感はありますが・・・古き良きミステリー作品が好きな方であれば、ぜひおすすめしたい1本です。

ついでに・・・

スカーレット・ヨハンソンのムッチムチな水着姿が見たい諸兄にもおすすめします!(笑)