『映画/ザ・ボーイ 人形少年の館』の正統続編となる『映画/ザ・ボーイ 残虐人形遊戯』(邦題に2の文字は無い)でネタバレ&あらすじ戯言。
よくありがちな”続編のフリをした便乗作品”ではなく、しっかりと前作のその後を描く話ではあるのですが・・・ぶっちゃけまるでダメ。続編としてつまらないだけならまだしも、前作を汚すような内容はガッカリを通り越して憤りすら感じますなぁ…。
↓前作はコチラ↓
ザ・ボーイ~残虐人形遊戯~
2020年 アメリカ
キャスト:
ケイティ・ホームズ
オウェイン・イオマン
クリストファー・コンヴェリー
ラルフ・アイネソン
監督:ウィリアム・ブレント・ベル
脚本:ステイシー・メニヤー
ネタバレ無しのあらすじ
夫といたずら好きな息子ショーン(オウェイン・イオマン)とロンドンで暮らすライザ(ケイティ・ホームズ)は、ある夜押し入ってきた強盗に襲われ頭部に大怪我を。それを目撃したショーンも心に大きな傷を負い、言葉を話さなくなってしまう。
二人の心を癒すため郊外へと移り住んできた一家だったが、そこはあのヒールシャー家の敷地内。
森で古びた人形を拾ったショーンはそれに『ブラームス』と名付け、友達として一緒に寝食を共にするようになる。
人形に嫌悪感を抱くライザはどうにかして息子から離そうとするのだが・・・。
・・・といった流れで、前作を好きだった人からすれば「こんなん続編じゃないやい!」と人形をブン投げたくなるような作品。
※予告編動画は英語版
キャストで戯言
はぁ・・・わかっちゃいたものの本当にそうなりましたか・・。
前作『映画/ザ・ボーイ~人形少年の館~』は本当に面白い作品でした。続編を作ると聞いた時は嬉しかったのですが、『監督・脚本は続投。主演はケイティ・ホームズ』という発表には…
おいおいローレン・コーハンが続投ではないのは我慢するとしても、劣化バ〇ァのケイティ・ホームズはないだろう!
…と喜びも台無し。
なにかの都合で主演変わらんかなー・・・と淡い期待を抱いていたのですが、残念ながら本当にケイティ・ホームズできやがりました…。
というわけで主演はケイティ・ホームズ。
「ケイティ・ホームズの熟女っぷりが魅力的!」とか言っているレビューをどこかで見かけましたが、あんた目(と頭)大丈夫?
ルックスの好みは人それぞれなので否定しませんが、演技もヒステリックかつ意地悪、決して魅力的とは…。なお彼女は本作で第41回ゴールデンラスベリー賞・最低主演女優賞にノミネートされています。
彼女以外は特に有名な俳優は出演していませんが、旦那さん役のオウェイン・イオマンはドラマ『メンタリスト』で知られているそうで。私は見ていないので「クリスチャン・ベールの偽物っぽい」としか感じませんでしたけど。
重要な役どころである息子ジュードを演じたクリストファー・コンベリーは、名作『映画/ドラゴンタトゥーの女』の続編、『映画/蜘蛛の巣を払う女』にも出演しておりますよ。
オカルトだと思ったら・・・
すでに鑑賞済みの方が多いと思いますが、前作『ザ・ボーイ~人形少年の館~』の最大の魅力は
オカルトだと思ったらガチリアルの人間怖い系だった!!
…というインパクト。
怪しいブラームス人形が、目を離した隙にまるで意志があるかのように移動する。やだ怖い、この人形には亡くなった息子ブラームスの霊が憑いてるんじゃないのー・・・と思わせておき、実は屋敷の壁の中に本物ブラームスがいたのだった!!…ですな。
そして前作のラストは『死んだと思ったブラームスはまだ生きており、壊れてしまったブラームス人形を修復している』という余韻で終わる。
さぁさぁ、果たしてそこからどう繋げてくるんだ!?と、わくわくするじゃないですか。
しかし続編である本作が始まると、かなり早い段階で感じるのは…
・・・これ、ガチオカルトなんじゃない?(汗)
という、嫌すぎる予感。
どう考えてもリアルでは説明できない現象や、見ている目の前で堂々と動くブラームス人形。
母子ともに精神に傷を負っているという設定から「これは現実ではなく、妄想(幻覚)なのでは?」と、どうにかリアル路線に解釈しようとするも、そんなこちらの気遣いをまるで無視して爆走する超常現象の連発。
そう、本作は単なるオカルト作品です。
ブラームス人形はこれまで人の手を渡りながら何人も狂わせてきた呪いの人形でした!…という、あまりにもくだらないオチに持っていく、前作ブチ壊しの駄続編です。
それゆえ話の展開もありきたりで目新しい要素はなく、ただただ呪いのブラームス人形で不気味な現象を描き、不穏な展開を繰り広げ、最後は破壊・焼却して一件落着。・・と思わせておいて、これまたありきたりな駄余韻をくっつけて終幕。
前作からの期待で鑑賞した方は拍子抜けも良いところですが、果たしてこれ単体で鑑賞した方は面白いと思えたのでしょうか・・・。
前作設定を汚すという暴挙
…というわけで、
続編としては論外。単体作品として見てもありきたりでつまらない作品・・・というのが個人的な感想なのですが、ただ単につまらんだけならばここまで憤りを感じないのですよ。
この作品の何がダメかって、『秀逸だった前作の設定や演出をブチ壊しにする後出し改変』が最もよろしくない。
人形に自らを投影し、それを世話するローレン・コーハンを壁の中から見てハァハァ。人形におやすみのキスをするローレン・コーハンを壁の中から見てハァハァ。
そういったブラームスの変態性がめちゃくそ不気味で怖かったからこそ、前作は非常に面白かったのではないですか。
・・・が、何をトチ狂ったのか、
あのブラームス(壁の中)も、人形の呪いでおかしくなっていたのでした。
という、前作に泥を塗るような後出し設定を追加。
さらにはラストの『実はブラームスは生きていて、人形を修復していた』というコワーイ余韻も、
人形を直していたのはブラームスではなく、屋敷のその後の所有者(ジョセフ)でした
という、バカかアンタは的な改変。
自らが作った傑作を自ら駄作にしてどうするのよ。
さらに本作(と前作)の監督ウィリアム・ブレント・ベルは、あの『映画/ウェア-破滅-』の監督でもあり、独特で魅力的な作品を生み出す力はあるものの・・・低レベルなジャンプスケアを多用するという悪いクセも。
今回も序盤~中盤にかけて下品な大音量でバーン!!!ドーン!!と連発しており、これがまたうんざり。上質なジャンプスケアは映画演出として大事な要素でもありますが、彼のは『単純に驚かせるためだけ』の低俗なもの。
結論として、この続編がダメだった理由は、
- そのまんま単なるオカルト映画で終わらせた
- 前作の演出や設定を後付け解釈で台無しに
- 下劣なジャンプスケアを多用
- 主演にケイティ・ホームズ
…にあるかと。
まぁあくまで個人の評価(特に後半2つ)ですので、面白かったと思った方はそれで良いと思いますぞ。
超個人的な戯言感想
そもそも、前作のストーリーと結末から『続編を作る』ってのが無理がある。
『離れの家にもブラームス空間(壁内)があって、生きていたブラームスがそこに入っていた』では単なる二番煎じですし。
これならばまだ『続編ではあるが、前作とは舞台がリンクしていない精神的続編』として製作したほうがどうにかなったような気もしますな。
本当にもったいない。上手くやれば『ブラームス人形』は、アナベル人形とまではいかなくともそれに近い存在として映画ファンの心を掴めたような気がするのですが・・・・。