今回は完全にタイトルのインパクトだけで選んだ1本、『映画/人間まがい』です。
その邦題とパッケージからは「頭のブッ飛んだ変態映画」の雰囲気が漂っており、これはもしかしたら掘り出し物かも…と期待したのですが・・・しっかり裏切られました。さすがです。
人間まがい
(原題:ALMOST HUMAN)
2013年 アメリカ
主なキャスト:
グラハム・スキッパー
ジョシュ・イーサー
ヴァネッサ・リー
監督:ジョー・ベゴス
脚本:ジョー・ベゴス
ネタバレ無しのあらすじ
1987年、アメリカ北東部に位置するメイン州パッテン。
夜更けにマーク(ジョシュ・イーサー)の家を訪れたセス(グラハム・スキッパー)は錯乱した様子で、「ロブが光に包まれ、空に連れ去られた」と告げる。
なにがなんだかわからんよ、アホな事ばかり言って…といった様子で真面目に取り合わないマークだが、恋人ジェンとセスの目の前で、彼も光に包まれ消えてしまう。
そして2年後・・・。
狩りをしていた2人の猟師は、森の中に全裸で横たわるマークを発見する。
しかし、彼は見た目こそ同じではあるものの、すでに「人間まがい」となっていた・・・。
・・・といった内容の作品。
実話・・・?
冒頭、「これはメイン州、パッテンで実際に起きた事件に基づいている」とのテロップが入るのですが・・・
どうやらメイン州で『男性2名が行方不明になる事件があり、一緒にいた男に容疑がかかるものの・・・男は「友人はUFOに連れ去られた」的な供述をしており、証拠不十分で無罪』てな感じの事があったようなのですが、調べてみても詳しい内容はわかりませんでした。
ちなみにメイン州はアメリカの北東部にある州で、青森県と友好都市になっています。ロブスターが名産品らしいですよ。
この「実話を基にした作品です」ってのはインパクトもあるし話題性もあるのですが・・・とにかく「実話ベース」の映画って、クソ作品が多い気が・・・。
ここからネタバレを含むよ!!
ただただ、ダルい・・・
序盤の展開から嫌な予感はしたんです。
セリフ回しといい、カメラワークといい、とにかく安っぽい。
B級映画であることは承知の上でしたが、どうやらこれは「ハズレ」のほうじゃないかな・・と。
緊迫感のあるシーンなのでしょうが、とてもダルくて「セスがちょっとだけダニエル・ラドクリフに似ているなぁ」と、ぼんやり考えるくらいしかできません。
そしてそのまま「2年後」の本編へ・・。うーむ。ダルい展開です。
誰にも魅力を感じられない・・
ダメ映画の特徴として「セリフがなんかおかしい」ってのがありますよね。不自然だったり、とてもご都合的な事ばかり言っていたり。
「2年後」が始まってからずっとそんな感じで、やはりダルい。
真っ裸のマークが登場し、さてここから本番かと思いきや・・・うーむ、どうもパッとしない。
ナイフで殺してみたり、銃で殺してみたり、斧で殺してみたり、チェーンソーを持って追い掛け回しておきながら、それはガラスを割るのに使うだけで、結局ナイフで殺してみたり…。
プギーーー!!と発する、豚の鳴き声のような音攻撃も駆使しつつ、アレコレと残酷に頑張ってはいるのですが・・・やはりカメラワークの陳腐さもあり、ただただダルいです。
元カレがなんだ!クライド頑張る!
とにかく「ダルい・・・しかし最後まで観なければ・・・」と頑張り鑑賞が続く中、ちょっとだけテンションが上がったのはジェンの婚約者クライドの、マークへの対応っぷりでした。
元カレのマークの訪問に怪訝な顔をしつつも、押し入られたらすぐに反撃。そして素早くバットを用意し、前蹴りからの顔面フルスイング!!そして倒れたマークを容赦なくフルボッコ!
これ、彼が「人間まがい」じゃなかったら下手すりゃ死んでそうな気も・・(笑)
しかし例の「プギーーー!!」であえなく撃沈。捕獲されてしまうのでした。。。
惜しかったなぁ。警察になど電話しようとせず「元カレなんぞ殺して埋めてやる!」的なアウトロー婚約者であれば、どうにかったかもしれません。
ただただ、ムサい・・・
B級ホラーにはお色気要素がつきものだったりしますが、この『映画/人間まがい』にはそういうシーンがありません。
ただただ、ヒゲヅラのマークと、これまたヒゲヅラのセスがあれこれやっているのみ。
「元マークの家」にいた奥さんはわりと美人だったのに、色気もクソもなく捕獲されてしまいましたし・・・
せっかく出番が多いジェンも、胸の谷間ひとつ見せてくれません。
こういう部分からも、監督は本気で「硬派なホラー」を作ろうとしているんだなぁ・・と伝わってはくるのですが、正直デキが悪いせいで嬉しくありません。これならまだ、クソ映画であろうとベタなお色気要素で目の保養ができるほうがマシです。
新たに「人間まがい」となり、繭のようなものから全裸で這い出てくる人も…ぜんぶオッサンです(笑)
まぁ順番からいけば「最初の狩人」「ガソリンスタンドの男」が先ですもんね。おそらくこの雰囲気からすると、「元マークの家にいた奥さん」が全裸で出てくることもないんだろうなぁ。
はぁ・・このまま茶番みたいな本気の(つもりで作っている)ホラーを見続けなければならないのか・・・
と思っていたら、まさかの残り約15分で・・・
なんだそのエロプレイはっ!?(笑)
ジェンに襲い掛かったマークが、うおりゃー!!っとジェンのズボンを脱がせ、そのまま続いて下着まで脱がせてしまいました!
え!?ここにきて、サービスショット!?ていうか、なんで脱がせるの?まさか無理やり性交を…なんて展開は無いよね??
と困惑しているうちに、マークは「人間の口に接続し、なんかを注入するアレ」をジェンの・・・股間にっ!!
そういう使い方できんの、それ!?
股間にぺったりと「注入するアレ」がくっついている光景は、まるでエログロコメディ映画のようです。どうした監督!せっかくここまで「硬派なホラー」を貫いてきたのに、どうしてここでそんな変態エロプレイみたいな演出をネジ込むんだよっ!(笑)
その後は順番的に「元マークの家にいた奥さん」が繭から全裸で生まれセスを襲うのですが・・・さっきの「ジェス股間に注入するアレ」のインパクトが強すぎて、せっかくの全裸奥さんがどうでも良く感じます。
そしてやっぱり全裸奥さんは露骨にお色気的な見せ方ではなく、硬派なホラー路線なんですよね。。。
股間の一件がなければ、最後の最後まで「つまらない硬派ホラー」だったのですが、こうなるといったいどういう作品だったのかに苦しみます。
ジェスを病院に連れて行こうとするセスが、彼女をかつぎ、車に乗せるシーンも・・・
「おいおい!そんな向きに乗せたら、セスからはジェスの〇〇〇が丸見えじゃないかっ!」などとゲスい感情がわいてしまうじゃないですかっ!!(笑)
最後はありがちな・・・あれれ?
最終的にはまぁ・・それなりにアリかな?と思う結末でしたので、少しマシでした。
しかしエンドロールが始まっても、1点だけ気がかりが残っています。
「えーと、狩人のオッサン、ガソリンスタンドの男、元マークの家の奥さん、婚約者クライド・・・・あれ?クライドだけ繭から出てきてないぞ!?」
・・・ははーん、コレはアレだな。
エンドロール後に「繭から出てくるクエイド」の映像を入れて、ホラーにありがちな「まだ終わっていない・・」感をだそうというんだな。やっぱり正統派なホラーを作りたいんだな、監督は。
と、絶対あるだろの確信をもってエンドロールを見続けると・・・最後にやはりオマケのムービーがありました!
よーし!予想通り・・・あれ?ダレこれ??
これは・・・まさか、ロブ!?(笑)
たしかに・・・たしかに冒頭で「ロブが連れ去られた」とは言っていましたよ。それがここへの伏線となるなら、それは納得できます。むしろ素晴らしいくらいです。
しかし・・しかしクエイドの件が・・・。
最後の最後まで「人間まがい」の正体がわからず、謎のまま終わるのは別に良いんです。そんな映画は腐るほどありますし。
最初は「ダニエル・ラドクリフっぽいな・・」と思っていたセスが、最後のほうになると「山田孝之っぽいな・・・」と感じるようになったのも別に良いんです。どっちも好きですし。
それよりなにより・・
最後に「王道の引っ張り方」をするなら、中途半端に予測させるような穴を残さないでくれーっ!(笑)