「あー、実は自分はアメリカの極秘計画で作られたスゴい能力を持った人間で、今はその記憶を消去されて生きているだけ…だったりしないかなー」と中学生の妄想のような事を日夜考えて生きている悲しいオジサンは誰ですか?はい、私です。
残念ながらそんな「ボーン・なんちゃら」的な生い立ちはなく、どうやら私は普通の日本人のようです。残念。
しかしこの「映画/エージェント・ウルトラ」に出てくるマイクは違います。ただの冴えない青年かと思いきや・・・CIAの極秘計画で生まれたスーパーエージェントだったのです。くそう、羨ましいっ!
エージェント・ウルトラ
(原題:American Ultra)
2015年 アメリカ
主なキャスト:
ジェシー・アイゼンバーグ
クリステン・スチュワート
ジョン・レグイザモ
トファー・グレイス
コニー・ブリットン
監督:ニマ・ヌリザデ
脚本:マックス・ランディス
ネタバレ無しのあらすじ
コンビニでアルバイトをしているマイク(ジェシー・アイゼンバーグ)は典型的な冴えないダメ男。唯一の救いは、とても彼の身を案じて尽くしてくれる恋人フィービー(クリステン・スチュアート)がいる事くらい。
そんなある日、店番をしていたマイクの前に1人の女性が現れ、暗号のような謎めいた言葉を残していく。さっぱり意味がわからないマイクだが、その後に訪れた暴漢2人を彼はスプーン1本で殺害してしまう。
実はマイクはCIAがマインド・コントロール実験で生み出したスーパーエージェントで、女性にかけられた言葉は彼を覚醒させるためのキーワードだったのだ。
計画の封印を目論むCIAに追われる事となった彼は、恋人フィービーと共に危険な騒動に巻き込まれていく・・・。
・・・といった内容の作品。
酷評目立つ!しかし好きな人も…
もう設定からしてB級っぽいノリのこの映画、残念ながら世間での評価はけっこう低めです。しかし「面白い!」という声もちらほら。
結局のところ映画ってのは「最初に何を期待して観るか」で、大きく評価が分かれてしまうんですよね。
この映画も、笑いに振り切った「テンポ良いB級アクションコメディ」を期待してしまうと…なんともモタモタしたテンポの悪さが気になってしまいますし、予告編などを観て「日用品を使った斬新な殺人アクション」を期待してしまうと…意外にそういシーンが少なくてしょんぼりしてしまいます。
とにかく良い意味でも悪い意味でも、いろんな要素が中途半端な映画なんです。
私がこの映画に期待したのは「ジェシー・アイゼンバーグの演技」と「アメリカらしい笑い」ですので、その点で観れば・・・やっぱり中途半端ですね・・・でも好きですよ、この映画。
フィービー役のクリステン・スチュアートは「映画/パニックルーム」の時から「可愛くねぇ目してんなぁ、コイツ・・・」と思っていたので、顔はあまり見ないで鑑賞するつもりでしたし(笑)
MKウルトラ計画
この映画の元ネタとなっているのが、実際にCIAが絡んで行われていた(と、されている)「MKウルトラ計画」なるもの。
1950年初頭から、少なくとも1960年代まで続いていたであろう・・・と言われており、洗脳実験つまり今で言うマインド・コントロールに関して、生物学・化学などあらゆる方向から実験を繰り返していたとされています。
実験記録のほとんどが破棄されているため、現在では「なんかホントにあったらしいよ。よく知らんけど」といった感じの扱われ方になっています。
ちなみに「MK」は被験者の名前からとったそうな。
あまり期待せずに・・
作品中では現代的な音楽が効果的に流れ、スタイリッシュな演出も多数織り交ぜられています。
中学生くらいの年代が観たら、その漫画チックな設定も含めてウケるのではないかなー・・・なんて思ったら残念、R15+指定の映画でした。もったいないっ。
たしかにエグい殺人シーンがありますので、お子様に見せるにはよろしくない気がします。
しかしエグい殺人に慣れた大人が観るには・・やはりいろんな部分がちょっと足りない。ホント、もうちょっとどうにかすれば絶賛できる映画になりそうですが、全体のバランスは整っているのでこれで良いのでしょう。
ジェシー・アイゼンバーグも良い演技を魅せてくれましたし、クリステン・スチュアートは顔から下だけ見るようにしていたので、ムチムチ感を楽しむ事ができました。
強いて1点だけ挙げるとしたら、悪役側のキャラが弱すぎる気がしました。脚本・演出・アクション・笑い、その全てが中の上くらいでバランスがとれているのに、そこだけ中の下っぽいです(笑)
なにはともあれ、まだ観ていない方がいれば一度ご覧になってみて下さい。
ただし・・・過度の期待はダメですよ。適当に流し観る程度の気持ちでどうぞ。そうすれば・・
「あれれ?まぁ思ったよりいいんじゃない!?」って気になれますよ。たぶん。