SFとしてはもはや定番の1つでもある「クローン」という要素。今回はアビー・リー主演の『映画/エリザベス∞エクスペリメント』でネタバレ含む戯言です。
しかしまぁ…なんというか実に悩ましい作品でして。いや、プロットは決して悪くないんですよ。ただ見せ方と構成に難ありと言いますか…。
エリザベス∞エクスペリメント
2018年 アメリカ
キャスト:
アビー・リー・カーショウ
キアラン・ハインズ
カーラ・グギノ
マシュー・ビアード
ディラン・ベイカー
監督:セバスチャン・グチエレス
脚本:セバスチャン・グチエレス
ネタバレ無しのあらすじ
ノーベル賞まで受賞した天才生物学者ヘンリー(キアラン・ハインズ)は、不釣り合いなほどに若く美しい妻エリザベス(アビー・リー・カーショウ)を迎え、郊外の邸宅で甘い新婚生活を送ることとなった。
邸内の全てを自由にして良いと告げるヘンリーだが、地下にある一室だけは立ち入らないようエリザベスに念を押す。
しかし好奇心を抑えられないエリザベスは、彼の不在時に部屋を覗いてしまい…
キャストで戯言
鑑賞前にキャストに関して知っていたのは「主演がアビー・リー・カーショウ」ということのみ。
モデル兼女優ということで好きな方は好きなようですが、個人的にはあまり好きではないルックスなのでテンションは上がらず。
それよりも予想外にキアラン・ハインズが出てきたことにテンションアップですよ。相変わらずクセ強いね、この人。そしてなぜかエロ親父役が多い(笑)
助手のカーラ・グギノはよく知らん女優。息子オリバー役のマシュー・ビアードはちょいちょい見たことがあるものの思い入れは無し。
チョイ役の警官、ディラン・ベイカーはあちこちで見かける名脇役ですが、個人的には『映画/ザ・セル』の印象が強いですな。
といった感じでキャストに関しては面白いネタはございません。
アビー・リー・カーショウとカーラ・グギノは、作中に何度も尻やら胸やらを晒してサービスしてくれますが、どちらも好みじゃないので嬉しさも微妙です。
あらすじとネタバレの線引
どこまでが「あらすじ」として公開して良い情報で、どこからが「ネタバレ」となるかはその人の価値観によっても異なりますが・・・最近はどうも見せすぎ予告編動画や暴露しすぎあらすじ説明が多すぎる気が。場合によっては映画の楽しみそのものをブチ壊すようなネタバレ予告や説明だったりすることも。
本作も『エリザベスは実はクローンだった』という衝撃要素に関して、予告編やAmazonPrime、U-Next等のあらすじは事前に暴露。当初はいかがなものかと思いましたよ、これ。
しかしいざ鑑賞してみると、なるほどこれは「あらすじ」に入れてしまっても良い部分だな…と納得。
なにせエリザベスが禁じられた部屋に入り、自分と同じ姿の女を発見してしまうのが『映画開始からたった15分後』ですから。このシーンで見ている我々も「ああ、そういうことか」と理解できますし。
この映画で大事なのはそこから。本作は『エリザベスがクローンであるという前提で、物語を楽しむ構造』になっているわけですな。
もちろん、どんな作品であれ一切の予備知識を入れずに鑑賞を開始するのが理想なのですが、それだと映画を選択する基準すら失ってしまいますし…。

ここからネタバレを含むよ!!
解説にならない考察
『エリザベスがクローンだった』は基本設定として、その後の展開でしっかりとどんでん返し要素は連発。
しかしこれがまた中途半端というか理解しづらいというか、疑問を感じてしまう部分も。項目ごとに分けて考察・解説してみましょう。
それぞれのエリザベス
まず基本設定、エリザベスが6体いるというのは問題ないでしょう。それぞれの結末を一覧にすると…
『1』と『2』:早老で死亡
これを解決するためにクレアが招かれた…というわけですな。
オリバーが『1』を「殺されて~」と表現していましたが、詳細は不明。
『3』:窒息死。実際はヘンリーが殺害した(らしい)
枕に顔をうずめて死亡していたとされているが、やや憶測ぎみでヘンリーが殺害したとされている。クレアもヘンリーを疑ったが、確証は得られず。
『4』:ヘンリーが斬殺。
映画本編、最初に登場するエリザベスがこれ。終盤、日記の回想シーンでクレアに目撃されているのはここ。
『5』:『6』が銃殺。
二番目に登場し、最も長く描かれているエリザベス。ヘンリーを返り討ちにするなどいろいろ頑張るも、6番目のエリザベスにより射殺される。
『6』:旅立つ
『5』が秘密の部屋を覗いた際に覚醒し、逃げ出したエリザベス。その後はオリバーの保護下にあった模様。
最終的に『5』を殺害し、クレアに邸宅を託し、一人旅立つ。
…といった感じ。細かい部分で疑問点はあるものの、本作はモヤモヤする要素が多すぎるので追及していったらキリが無し。
強いて言うならば『5』が死に際に『6』に対して何を告げたのかが気になりますな。
オリバーはヘンリーのクローン
なんとオリバーは息子ではなくヘンリーのクローン。つまり若かりし頃のヘンリー…というわけですな。似てないけど。
『エリザベスが老いた自分では嫌がるかもしれない』等の理由で若い自分自身を用意した…などと言っておきながらも、エリザベスとくっつける事もしないどころか、盲目にまでするという支離滅裂っぷりが謎。
いろいろ考えて作ってはみたものの、若くて美しいエリザベスを奪われるのはやっぱり嫌ということなのか、それとも別の理由があるのか…。
というか年老いていく自分の目の前で若いエリザベス(のクローン)と若い自分(のクローン)がイチャイチャする光景を受け入れられるとでも思っていたのでしょうか。ちょっと考えりゃわかるでしょうよ。
エリザベスを殺害する喜び
ここで変態ヘンリー博士が真骨頂を発揮。
『結婚初夜を追体験することで、強い高揚感を再び感じたい』という発想からしてすでにアレなのに、『エリザベスが繰り返し死ぬことが私の喜び』という、もはや理解を超えた変態性をカミングアウト。
しかしここ、個人的には非常にモヤモヤした気分が残ります。
衝撃のどんでん返しとしては、『エリザベスを殺害したことで新たな喜びに目覚めた』よりも、
『実はエリザベス(本物)は病死したわけではなく、ヘンリーが殺害していた。彼は「愛する人を殺す」という快感を忘れることができず、そのためにクローンを作成。「結婚初夜の追体験」というのはエロティックな行為だけではなく、殺害まで含めた再現だった』
のほうが良かった気がしません?てっきり最初はそうなのかと思ってしまいましたよ。しかしどうやらそうではない様子。
そもそも『エリザベス(本物)の死』がモヤモヤすぎる。
「オリバーの出産後に死亡」は嘘のようですが、「結婚2年後に病死」というのは果たして本当なのか。クローンに遺伝子的な問題が発生していることから「ウェルナー症候群だった」というのは事実と思われますが…。
いつ、どこで、何で、死亡したのか。嘘も織り交ぜているクセに真実を明白にしていないので…。
超個人的な戯言感想
…というわけで『映画/エリザベス∞エクスペリメント』
設定や構成は決して悪くないものの、もうちょっとブラッシュアップして完成度を高めたほうが良かったのでは…というのが正直な感想でしょうか。個人的にはスプリットスクリーンの多用も好きではありませんし、人物設定にムラが多いのも気になります。
しかしまぁ主演がドストライクの女優だったりしたら、そんなことも気にならずに楽しめたのでしょう。所詮そんなもんですよ、私なんて。
ちなみにレビュー等で『映画/エクス・マキナ』を引き合いに出している方が多いですが、あちらは『人間の定義』がテーマであり、全く別モノだと感じました。あの映画は裏設定や暗喩なども比べ物にならないほど奥深いですし。
それにしてもこの映画、約100分のクセにやたらと長く感じませんでした?脚本のせいなのか演出のせいなのか、2時間半くらいに感じて眠いのなんの。非常につらかったです…。