今回の1本は…もはや「B級映画」と呼ぶ事すらできない迷作、『映画/フィンランド式残酷ショッピング・ツアー』です。
ホント、これっぽっちも期待せずに「クソ映画であること」を覚悟のうえで観たのですが・・・しっかりと期待を裏切らずにクソっぷりを発揮してくれました(笑)
何ですかコレは。フィンランドの方々に真正面から喧嘩を売るような、素晴らしき最低映画です。
フィンランド式残酷ショッピング・ツアー
2012年 ロシア
主なキャスト:
タチアナ・コルガノーヴァ
ティモフィー・イェレツキー
監督:ミハイル・ブラシンスキー
脚本:ミハイル・ブラシンスキー
ネタバレ無しのあらすじ
フィンランドでのショッピングツアーに参加したロシア人親子、スタース(ティモフィー・イェレツキー)とその母親。スタースは出発から携帯で撮影。
大きなショッピングセンターで買い物を楽しんでいると、従業員がツアー客たちを襲い始める。
そこからはもう「うわー!逃げろー」「ふぅ、なんとか乗り切った・・・」「うわー!こっちでもー!」を繰り返しつつ、あっという間の70分でチーン。
しかも最後の最後まで、不自然な携帯撮影のまま・・・。
・・・といった内容の作品。
もうPOVはお腹いっぱい…
映画開始からもう、嫌な予感がバリバリですよ。
携帯で撮影してるんだよー、というPOV形式。ああ・・おそらく最後までこれで行く気なんだろうな・・と。
もうやめようよ、これ。必要な部分で自然にPOVを使うのは全然かまわないんですが、低予算=全編POVという流れはウンザリです。
「リアル感を出したいんだよ!」と言い訳されれば何も言えませんが、この映画はあまりにも不自然なアングルで『携帯で撮影している』という感じすらしません。
逃げている最中に両手が映る事があったり・・・視点に映像がシンクロしすぎていたり・・・
まるでお笑い芸人がヘルメットにカメラを取り付けられて、アレコレやらされている時の映像のようです。
これ、スマホじゃなくてGoProなんじゃないの!?と(笑)
さらに撮影そのままでその携帯で通話をしたり・・・その通話している時のカメラがインだったりアウトだったり・・・
もう頼むから普通のカメラワークで撮影してくれよっ!(泣)
低予算ならではの・・・
この映画はいわゆる低予算映画と呼ばれる括りに入ります。
その予算は€55.000との事。日本円に換算すると約680万円。
ちなみに洋画の製作費として過去最高額と言われているのは『映画/パイレーツ・オブ・カリビアン-ワールドエンド-』で、日本円にして約380億円。
低予算映画として有名な『映画/パラノーマル・アクティビティ』は約170万円です。
終始家の中だけで登場人物も少ないパラノーマル・アクティビティと比べれば、ツアーバスを使って登場人物も多い本作は金がかかると思いますが・・・できれば撮影機材に少し予算を回していただきたかったです。。。
ここからネタバレを含むよ!!
フィンランドは怖い国だっ!
ネタバレを含むよ!!…なんて言われても、何をどうネタバレして良いのやら。
ロシアの人々が抱えている「自国に対する自虐的ともいえる負の感情」を織り交ぜてきている点は考えさせられる部分もありました。
そしてロシアとフィンランドの関係についてイロイロ調べてみると、そこでもなかなか興味深い点はあります。
・・・が、そんな事をぜんぶすっ飛ばす勢いの…
「フィンランド人は、夏至の前夜祭として外国人を喰います」
というぶっ飛び設定(笑)
序盤は「ロシア人に比べてフィンランド人は優しい」「この国の人は良い人が多い」などと褒めたたえておいて、これですから。
さらに「国民の大半がアル中」「そのまま食べるのは人道的によろしくないから、麻酔を使って…」などなど。
もう眩暈がしてくるようなカオスっぷりに、困惑を通り越してハイになりそうです。
さらに追加して…
「逆に外国人がフィンランド人を食べると、襲われなくなるよ」
…という、もはやなんの話なのかわからなくなるような設定も付いてきます(笑)
本気で観ると…
低予算の迷作映画として観れば楽しめる部分もあるのですが、真面目に「ホラー映画」もしくは「スプラッター映画」として観ようとすると・・・一気にクソ映画に早変わり。
まるで怖くない演出、全くグロくないゴア描写、緊迫感もなく見づらいうえに不自然なカメラワーク、グダグダしていて不快なだけの母親・・・と、いいとこが見つかりません(笑)
終盤、「きみ、明らかにその箱の陰でスタンバってたよね?」という感じで小さな女の子が出てくるあたりで我慢の限界を迎え・・・そこからのグダグダした展開の後にカメラがすーっと引いていき・・・「あれ?POVじゃなくなった?」と思ったら不意に映画終了してしまいました(笑)
・・・・この置いてけぼり感、どうすれば良いのでしょう。。。
しかし救いもあります。誰にだって良いところの1つや2つあるものです。
この映画、たったの69分しかないんです。
クソ映画を延々120分も見せられたら「大事な時間を返せっ!!」と言いたくもなりますが、たった70分ならどうにか我慢できませんか?
奮発して120分コースを頼んだのにクリーチャー級の女が出てきたら「大事な金を返せっ!!」と言いたくもなりますが、60分コースならばどうにか我慢できそうじゃないですか?
むしろ「よし、たまにはゲテモノ食いを楽しむか!」と割り切れそうなプレイ時間じゃないですか?
などと・・・全国の女性を敵に回すような発言でささっとおさらばです。