インパクトのあるパッケージに本当か嘘か”42冠制覇”の文字。「こりゃ面白い作品でっせー」な匂いプンプンのホラー映画『ファウンド』でネタバレ含む戯言感想。しかしなんとも評価に迷う作品で…。
ファウンド
2012年 アメリカ
キャスト:
ギャビン・ブラウン
イーサン・フィルベック
監督:スコット・シャーマー
脚本:スコット・シャーマー
ネタバレ無しのあらすじ
イジメられっ子のマーティ(ギャビン・ブラウン)はホラー大好きな11歳。
そんな彼の密かな楽しみは家族の秘密を盗み見ること。
両親の寝室のベッドの下にはママが隠している秘密のラブレター。パパのガレージにはポルノ雑誌。そして兄の部屋のクローゼットには…
人の生首。
・・・はい?生首ってあの生首?
…といった掴みから、血まみれの展開へと突き抜けるグロ系ホラー。
賛否両論、評価に悩む…
総合的に見りゃ『中の中』といった評価のこの映画。
しかし刺さる人にはぶっ刺さるらしく、絶賛している方が意外に多い。そしてめたくそに酷評している方も同じくらい多い。
『ストーリーがしっかりしている』という意見もあれば、真逆の『ストーリー性が薄い』という意見もあり、映画の感想ってのは人によって大きく異なるもんだなぁ…とつくづく感じさせられますな。
ちなみに私は…
設定は良し。メッセージ性も良し。しかし構成と表現がイマイチ。
という感想。
ついでに言えば、共感しながら見守っていた主人公マーティにラスト20分で幻滅させられ、なんともガックリな後味も。
ネタバレ1分あらすじ
非常にキャッチーな『兄ちゃんは部屋に生首を隠している』という掴み関しては「実はなにかしらの事情があった」的などんでん返しはなく、そのまま直球でサイコ野郎。いや、むしろ想像のさらに上を行くヤベぇヤツ。
ネタバレ1分ならすじ
『ファウンド』
マーティはイジメられっ子。その兄スティーブは部屋に生首を隠している人。でも弟のことは愛している。
兄が部屋に生首を隠していたのは『人種差別主義の連続殺人鬼だったから』というどんでん返し無しの直球理由。まさにサイコの鑑。
陰湿なイジメから脱却するため反撃を選んだマーティに対し、両親含む周囲の大人はまるで話にならないクソ対応。これじゃ弟があまりにも不憫だ…って事で、お兄ちゃんはパパもママもぶっ殺して首チョンパ。
いったいこの先どうなっちゃうのよ、僕は。
というのが思いっきりざっくりしたネタバレあらすじです。
もちろん随所に兄弟愛や親の在り方、不条理に対する手段の是非などメッセージは込められているものの、中盤にぶち込まれる作中作『ヘッドレス』から先はグロが気になってそれどころじゃない。
全体的に”痛み”や”エグさ”は抑えめの凡庸なグロ描写なわけですが、こと『目玉を食す』だけは過剰なまでの気合が感じられ、グロ耐性のない人は即撤収!撤収!!ですな(笑)
超個人的な戯言感想
それにしても『出てくる大人がクソだらけ』ってのは実に不快でしたなぁ。
都合が悪くなると親の立場を振りかざして話にならん両親、綺麗ごとばかりで当事者の気持ちをまるで理解できていない牧師。
『暴力に暴力では何も解決しない』ってのは事実だと思いますが、それは部外者だからこそ言えるセリフ。加害者の罪を追求するよりも先に、それに対する被害者の反応のほうを咎めるのは筋違いだろう?…と、同じく幼少期にイジメられていた私としては強く思うわけです。
しかしせっかく自分の殻を破って強くあろうとしたマーティが、その直後には「パパー!ママー!」の尻すぼみだったのはガッカリですな。だったら最初から反抗などせず、ずーっとイジメられてろ、ってんだ。なにが「でも明日は学校あるし…」だよ。
…と、非暴力主義者に叩かれそうな感想が抑えられない作品でございました。
誰の言葉だったかは忘れましたが、『目の前で行われているレ〇プを止めるには、対話ではなく暴力が必要』てのが世の真実だと思うわけです。もちろん、世の中みーんな善人だったら暴力など不要だとは思いますけど。
…ということで、いけいけ兄ちゃん。人種差別はいけないが、自業自得のクソ野郎はみんな全裸で首チョンパだ。
そして最後のアレがトラウマになって歪んだマーティが、兄を後を継いでくれたらわたしゃサイコ冥利に尽きますな。