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同タイトル、しかも同じくスペイン映画で『インサイド』(2018年)という作品がありますが、今回はそっちではなく2016年作品。妊婦が出てこないほうです。

スペイン映画はその生々しさが好きなのですが、残念ながらこの『映画/インサイド』(2016年)は・・・正直なとこ、グダグダ映画でした。

インサイド

2016年 スペイン

主なキャスト:

フランシスコ・コンデ
アデリアナ・トレベハーノ

監督:カーロ・ゴンザレス
脚本:カーロ・ゴンザレス、フランシスコ・コンデ

ネタバレ無しのあらすじ

妻を失った過去から広場恐怖症となっていた作家、カルロス(フランシスコ・コンデ)。

なかなか新作が書き上がらない彼に、出版社はカテリーナ(アデリアナ・トレベバーノ)という助手を派遣する。

当初は断っていたカルロスだが、何度か彼女に会っているうちに少しづつ親しくなり・・・なんと彼女を昏睡させ、自宅に監禁してしまう。

ん?なぜ監禁?

・・・といった内容の作品。

まず最初に・・・

おそらく…ものすごくイロイロと考えて作られているんです、この映画。

イロイロというのは伏線や設定という意味ではなく、なんというか・・・表現したい事、というか・・・。

深いテーマに基づいた文学作品のような、そういうのを作りたかったのであろう…という事は強く伝わるのですよ。

ただいかんせん、何かが追い付いていない気が。

そっち方面に造詣の深い方であれば高い評価になるのかもしれませんが、私のように学のないアブノーマル人間には「言いたいことはわかるが、映画としてはつまらん!」というのが正直な感想です。

ですので、この『映画/インサイド』に関しては例によって低レベルな戯言しか垂れ流せません。。。


ここからネタバレを含むよ!!

誰にも感情移入できぬっ!

映画って「どの登場人物に感情移入するか」で、大きく感想が変わってくるじゃないですか。

そして感情移入先になる人物は、作品に登場する中で最も自分の価値観・思考に近い人間だったりするじゃないですか。

例えば「サイコな犯人に追われる主人公」といった映画では、普通の人は主人公のほうに感情移入してドキドキハラハラすると思います。

しかし私はいつも「サイコな犯人」「変態」のほうにばかり感情移入してしまうので、映画の感想が人と違ってしまうんですよね・・・。

ところがどっこい。この『映画/インサイド』は話が違う。

てっきりそういう「頭のイッちゃった思考で、美人を監禁してハァハァ」な変態が拝めると期待していたのに・・・全然違うんですもの。

奥さんの件やらで精神的に歪んでしまったのは理解できるのですが、どうもイマイチ。狂気も感じません。

これを言っては申し訳ないのですが、カルロスを演じるフランシスコ・コンデがダメなんだな・・・と感じます。

同じくスペイン作品の『映画/スリーピング・タイト』でルイス・トサルに魅了された私としては、物足りなくて屁が出そうです。

しかし、だからと言って監禁される側のカテリーナにも感情移入できません。

いつまでたっても、ただ逃げようとするだけ。しかも基本的に毎回「今だっ!逃げろっ!」と走っては捕まるの繰り返し。

モールス信号がどうとかやりますが、なんかグダグダです。最後のほうの「感電したと見せかけて・・・」も、すごく引っ張ったクセにグダグダです。ここは後ほど。

途中でカルロスとアダルトな関係を結んでしまうのも、奥さんの件を知ってしまったからとか…ストックホルム症候群とか…そういう事なのでしょうが、結局翌朝同じく「今だっ!逃げろっ!!」ですもの(笑)ニワトリかおまえはっ。

納得もできぬっ!

映画にいちいち揚げ足取りのような低レベルなツッコミを入れるってのは、とてもヤボな事だとは思います。

しかし・・・この映画はとにかくダルい展開が延々続くため、他に考察するポイントもありません。いや、こねくり回せばけっこう深い部分はあるのですが、前述したように「映画としてはつまらん」と思ってしまう以上、こねくり回すのもダルいです。

とにかく言いたい「納得できぬポイント」は2つ。挙げればもっと出ますが、2つだけ言わせてもらえれば満足です。

まず第一に・・・

さんざん引っ張って、それかっ!

まず最初に、カテリーナが「電気のコンセント部が外れる」という事に気づきました。これ、ものすごく意味ありげになっているので、後から何かに使うんだろうな・・・と期待してしまいます。

そしてその後「手にスプーンを隠し持つ」という行動をします。さらにはそれを「サイドテーブルを使って柄の部分を折る」という細工をし始めます。

ここまでくるとかなり期待してしまいます。

最初は「どうせこの女のことだから、アホみたいな使い方して失敗するんだろうな・・・」と思っていたのですが、こんなに多くの意味ありげな行動を引っ張られてしまったら「これは脱出の決め手となる驚きの展開があるのでは・・・」を期待せざるを得ないじゃないですか。

しかし披露してくれたのは・・

「コンセントの穴に手を当てて感電ビリビリー!!・・・と思わせて、実はスプーンの先を持ってたんだよーん」

でした。

なんじゃそりゃっ!!(怒)

これ、ここまで引っ張って披露するほどの演出ですか?

しかもそのあと、感電したフリからの・・・鈍器で後頭部をドーン!!ですから。

あの・・・わざわざ「コンセントの穴」「スプーン」「スプーン加工」する必要あります?? 隙をついて置物で殴る程度なら、いつでもやるチャンスあったんじゃないですか?

それっぽく「意味ありげな伏線」を張ったはいいが、回収の仕方があまりにも低レベルです。ひどい。

ついでにもう1点。これはもうオマケみたいなもんですが・・・

男の尻は嫌だっ!

カルロスの妻に起こった悲劇を知り、カテリーナが彼と一線を越えてしまうシーン。

それはもう幻想的に、けっこう長い事アハンウフンしてるシーンです。

えーと、ちょっと露骨な表現になってしまって申し訳ないのですが、洋画でのこういうシーンって女性が上になっている事が多いですよね。映像的に美しいですし。

そして男性が上の場合、腰から下は布団に入っていたりするじゃないですか。もちろん丸出しで男が上の場合もありますが、あまりにも露骨すぎる描写は避けるのが一般的じゃないですか。AVじゃあるまいし。

しかしこの映画は女性を上にしてでけっこう長く楽しんだ後、今度はカルロスが上になり・・・尻をクイッ・・クイッ・・と…

ここの尻、映しすぎです!!

しかも一瞬「お?女の尻?」と思ってしまうほどスベスベしてるので紛らわしいっ!

クニクニ動く男の尻の映像なんて最も見たくないです。ほんの少しならまだしも、何度も繰り返して見せていただかなくて結構です。。。

残念な1本

・・・と、いうわけで。

私個人としてはこの『映画/インサイド』は…

アレコレと志の高さは感じるのだけど、全てが追い付いていない映画

という印象でした。

骨太なスペイン映画を期待していたので残念です。

なお、パッケージ表に印刷されているようなシーンもありませんのでご注意を!(笑)