ピーター・バーグとマーク・ウォールバーグのコンビで放つ『映画/マイル22』でネタバレ・キャスト話を含む戯言を。
セリフもカット割りもマーク・ウォールバーグの喋りも、とにかく目まぐるしくて目と耳と脳が追い付いていくのが大変な作品でございます。
マイル22
2018年 アメリカ
キャスト:
マーク・ウォールバーグ
ローレン・コーハン
イコ・ウワイス
ジョン・マルコヴィッチ
ロンダ・ラウジー
CL
監督:ピーター・バーグ
脚本:リー・カーペンター
ネタバレ無しのあらすじ
CIAのエージェントであるジェームズ・シルバ(マーク・ウォールバーグ)は、同時にCIA極秘組織の実働部隊リーダーでもあった。
ある日、米国内に潜伏するロシア人組織のアジトを強襲したシルバらは、その中にいた18歳の少年も射殺。少年はシルバに「後悔するよ」と意味深な言葉を残すのだった。
それから16ヵ月後
東南アジアのインドカー(架空国家)にてセシウムの行方を追っていたシルバ達は、隊員アリス(ローレン・コーハン)が得た情報を基に作戦行動を起こすも失敗。見つかったのは大量の武器とムンクの贋作絵画だけだった。
しかしほどなくして情報源であるリー・ノア(イコ・ウワイス)が、セシウムの情報が入ったデータディスクを手にアメリカ大使館に現れる。『自身の亡命と引き換えにセシウムの行方を教える』と交換条件を持ち掛けてくるリーに対し、CIAはオーバーウォッチを起動し彼を空港まで護送することを決めるのだった。
・・・といった流れで目まぐるしい作品。
キャストで戯言
主演は真面目な役柄からアホなキャラまでこなすマーク・ウォールバーグ。
今回はペラペラと畳みかけるように相手を小バカに、頭はキレるが部下の扱いもヒドい、ちょっと大事な部分が欠落した隊長の役(作品をしっかり見れば単なる嫌なヤツではないことはわかる)。
私はこういう『余計な事言わずとも話が理解でき、物事をシビアに考えられる人』は非常に共感でき、好感が持てるのですが・・・まぁ嫌いな人のほうが多いでしょうな(笑)
続いて実働部隊のメインヒロイン、アリス役はローレン・コーハン。
もともとボーイッシュな雰囲気のある女優さんですが、歳を取るにつれてどんどんゴツい方向に進んでません? 『映画/ザ・ボーイ ~人形少年の館~』などでは美人で魅力的だったのに…。まぁゴツい女は嫌いではないので、これはこれで良きかな良きかな。
ならばこっちはどうだ!?の、実働部隊もう1人の女性はロンダ・ラウジー。
アメリカ初の女子柔道メダリストにして総合格闘家(後にプロレスも)。日本では吉田沙保里が霊長類メス最強などと言われておりますが、「いやいや、ロンダのほうが強いから」と言いたい方もいることでしょう。
そして忘れちゃいけない、物語のキーパーソンとなる謎の警察官リー・ノアを演じるのはイコ・ウワイス。その高い運動能力を活かした格闘アクションで有名らしいのですが、私はさほど思い入れはないので戯言は出ません。
ついでにジョン・マルコヴィッチも出ておりますよ。
あ、もう1人ついでに。
オーバーウォッチ(内勤)の中にいる「おまえも!?」と言いたくなるような化粧のキツい美人。クレジットの『CL』という名前に???となった方もいるかと思いますが、彼女がそのCL(シーエル)です。韓国の女性ラッパー・ダンサーらしいですぞ。よく知りませんけど。
目と耳と脳がパンクしそうな…
話のあらすじとしては「難解すぎる!」というほどではなく、種明かしも含めてしっかりと説明してくれる『映画/マイル22』
ところがどっこい、映画全体が理解しづらいというか大変と言うか・・・。
とにかく冒頭から最後までマシンガンのように…
- やたら目まぐるしいカット割り
- やたら目まぐるしいカメラワーク
- 字幕が追い付かないペースのセリフ
- 小出しに挟むシルバの語り(後日談)
が展開され、目と耳と脳みそが追い付いていくのが大変。
決して理解できないレベルではないものの、ぼやーっと見ているとよくわからん話になってしまいそうな煩雑さは評価が分かれるところでしょうなぁ。
せっかくの素晴らしい格闘アクションシーンも、あまりにもカット割りが細かすぎて少々惜しい気が。
ここを『テンポが良くて面白い!』と感じるか、『忙しすぎて疲れる』と感じるかが分かれ道かと。私はやや前者寄りですが、一緒に観ていたうちのカミさんはキツかったようです。
二重スパイ?いや三重??
完全ネタバレで話の結論を言ってしまうと・・・
『冒頭の作戦で射殺した18歳の少年はロシア高官の息子だった』
『護送対象だったリーは、実はロシアのスパイ』
『困難なミッションでオーバーウォッチを起動させ、復讐することが目的だった』
・・・というわけですな。
リーは二重スパイではなく、三重スパイだった!!というのが本作最大のどんでん返しなわけですが・・・彼って三重になってます?
ざっくり解説
二重スパイとは?
『スパイ』は相手の組織に潜入して情報やらを盗み出すのがお仕事の人。では『二重スパイ』とはなんぞや?をざっくり説明すると・・・
どこかの国にスパイ活動をする場合、普通にサラリーマンとして潜入しても知れる情報は一般人レベル。極秘情報を盗むには極秘情報を扱う場所へ潜入しなければならないわけです。
となるとやはり相手国の諜報機関に潜り込むのが最善。ここで『自国の情報を引き渡す』という条件で入りこむわけですな。そして時には『自国が有利になるような偽情報』を流したり。
とは言え、相手国側も「コイツは二重スパイ」という事がわかっているため、上手く駆け引きして有利に操作しようとするもの。
この難しいバランスの上に立ち、どちら側の味方をするかを選択して立場を維持しているのが『二重スパイ』
場合によっては『両方のバランスを上手にとりながら、自分の利益を最優先』というやり方もありますが、そいういうキャラは映画ではたいてい殺されますな。
…というのが二重スパイなのですが、リーは『インドカー』とドコのスパイだったというのでしょう・・・。
彼の強さと物語の流れから『単なる警察官』ではないことは明確にされていますし、あのままアメリカに渡って将来的には自国(インドカー)の機密情報を流すことが予測されることから『アメリカとインドカーの二重』とするのは良いのですが、セシウムの情報はインドカー政府とはあまり関係がないように描かれていますし、少なくともあの時点では『アメリカへの協力者』というレベルで、スパイというほどでは・・・。それにアメリカ側の情報をインドカーへと流す意図もないようですし。
『オーバーウォッチに潜入(部隊員と同行)』という行動はロシアの差し金ですので、それをスパイ行為とすればたしかにスパイですが、それも三重と呼ぶのは語弊がある。
要するに『アメリカ(オーバーウォッチ)』『インドカー』『ロシア』の三つの国(組織)に入り込んだ人間、という意味で『Triple agent(トリプル・エージェント)』と表現されているのですが、この『Agent(エージェント)』を『スパイ』と訳したのが間違いなのではないかと。
たしかに『三重捜査員』よりも『三重スパイ』のほうが日本語としては表現しやすく、ウケもいいでしょうけどね。アクション映画好きは細かいこと考えないタイプが多いですし。
しかしなーんか腑に落ちませんなぁ。
超個人的な戯言感想
マーク・ウォールバーグもローレン・コーハンも大好き、彼らが演じる役柄にも好感が持てて、さらに話の内容も嫌いではない。目まぐるしい展開とどんどん増していく情報量もわかりづらいというほどではない。
評論家からは酷評されている作品ですが、個人的には比較的面白い映画でした。
たしかにカメラワークとカット割りは煩雑すぎるな…とは思いましたけど。