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「エスターを凌ぐ…」などとキャッチコピーを付けられている同名スペイン映画がありますが、今回はそちらではなくケビン・コスナー主演の『映画/ネスト』なのでお間違えのないように。ネタバレとショッキングなラストを含むのでご注意を。

ちなみに本当にエスターを凌いでいるかどうかは別として、そういう謳い文句のスペイン作品はこちら。

ネタバレ『映画/ネスト』エスターを凌ぐ!?おいホントかよ!?

今回は大好きなスペイン作品『映画/ネスト』でネタバレと感想と戯言。2009年にアメリカから同タイトルの映画(主演:ケビン・コスナー)が公開されていますが、そちらでは…

ネスト
(原題:The new daughter)


2009年 アメリカ

キャスト:
ケビン・コスナー
イバナ・バケーロ
ガトリン・グリフィス
サマンサ・マシス
ノア・テイラー
ジェームズ・ギャモン

監督:ルイス・ベルデホ
脚本:ジョン・トラヴィス

ネタバレ無しのあらすじ

妻と離婚し、サウスカロライナ州の田舎町へと引っ越してきたジョン(ケビン・コスナー)と二人の子供達。

姉のルイーサ(イバナ・バケーロ)は思春期真っ盛りで複雑なお年頃。

弟のサム(ガトリン・グリフィス)はまだまだ可愛い盛り。

ジョンは一生懸命に父親として頑張るも、ルイーサは反抗的な態度をとりつつ新居近くで見つけた謎の塚にご執心。日が暮れてから泥だらけになって帰宅する事が多くなる。

果たしてあの塚は?

…という流れから、『いかにも』な雰囲気で女王アリの話をぶっこんできて盛大にネタバレる作品。

キャストで戯言

あまり洋画に詳しくない方でも知っているであろう、超有名俳優ケビン・コスナーが主演。

しかもなんと本作は彼の『デビュー30周年記念作品』とのこと。そんな大事な節目の記念作が、コレでいいのかケビン・コスナー!?と心配になるような内容ですが、ご本人が良いなら良いでしょう。

その娘役として抜擢されたのは『映画/パンズ・ラビリンス』で批評家の絶賛を浴び、スペイン版アカデミー賞とも呼ばれるゴヤ賞で『最優秀新人賞』を受賞したイバナ・バケーロ

あまり可愛くない…とか言っちゃいけません。

彼等以外にも『映画/メジャーリーグ』の監督役でお馴染みのジェームズ・ギャモンが出ていたり、好きな人にはたまらないノア・テイラーが出ていたりするものの…残念ながらどちらも「こんなの無名のエキストラで良いだろ」と言いたくなるほどのチョイ役。

とにかくキャスティング的にもストーリー的にもメインである『父と娘』に焦点を当てすぎた作品となっています。

まさかの展開に困惑

母親が男を作って家を出てしまい、二人の子供を抱えた父子家庭。

不器用ながらも頑張る父と、わかっていながらも反抗的な態度をとってしまう娘。それに加えてまだピュアな弟。

いやぁ、実にありがちな設定ですな。それにしてもあちらって片親設定多いのう。

そんな滑り出しで始まる本作。

ここから父親の葛藤や家族の絆を展開してくるのだろうな・・・と思わせつつ、不意にぶっ込まれてくるホラー要素。しかも…

謎のクリーチャー系ホラー!

という攻めっぷりに困惑。

さらにクリーチャーの造形があまりにもチープ…いや、日本人の感性にそぐわないルックスなせいで、ケビン・コスナーが出演していなければ完全に

超B級クリチャー映画

の匂いプンプン。

いいのか、ケビン。何度も聞くが、本当にこれが「デビュー30周年作品」でいいのか?

薄めて伸ばしすぎたストーリー

ツッコミどころ満載の設定ではあるものの、さすがは名優ケビン・コスナーと期待の女優イバナ・バケーロ。それなりに引き込む展開で物語を進めてくれています。

…が、ところどころにあまりにも薄すぎて「え?アレはなんだったの?」と感じる要素も。

ルイーサをイジメていたクラスメイトの女子は『階段から突き落とされて骨折した』ようなのですが、なぜかそこはあっさりスルー。

責任を問われるどころかむしろ心配されている様子で、父親が迎えにくるなり抱っこで即帰宅OK……って、学校の対応として大丈夫?

塚を研究しているという意味のわからない教授がやってきたと思ったら『不自然なまでの説明キャラ』で終了。無駄に美人でキャラが立ちすぎている助手も『単なる説明補足キャラ』で終了。これならわざわざ登場人物を増やさなくても「ネットで調べたら判明した」で良かったのでは。

さらにちょいちょい女教師がルイーサを意味ありげに見るシーンが気になるものの、それもどうやら深い伏線ではない様子。「良かったら電話して下さい…」とか「泊まっていきましょうか?」とか…意味ありキャラかと思ったら父親に色目使っとるだけやん!

その女教師との会話で出てくる、『子供好きだったはずの妻が急に子供を捨てた。なぜか親権まで放棄した』という話も、驚きの種明かしがあるかと思いきや・・・実はそうではないという衝撃。

どうやら過去にあの家に住んでいたサラも娘を捨てて家を出ていったらしく、それは娘がルイーサ同様『クリーチャーの繁殖用の女王』となってしまったために、部屋に閉じ込めて家を後にしたとのこと。娘が娘以外の何者かになってしまったため、やむなく子供を捨てた…って事ですな。

では元妻が急に子供たちを捨てた理由も、今回の一件と関係があるのだろうと思いきや、最後の最後まで一切の繋がり無し。

単純に彼氏を作って子供を捨てただけ

ええっ?ここって「妻が家を出たのはこういう理由だったのか…」的なものがあるんじゃないの!?ただ単に身勝手な女だっただけ?だったら伏線っぽい言い方するなよっ!

超個人的な戯言感想

…というわけで、中途半端に入れておいてぶん投げっぱなしにする要素が多すぎる。

これなら余計なモノを省いて大事な部分を濃くするか、もしくは尺を短くしたほうが良かったのではないかと。

しかしラストはエグい終わり方でブラボーですな。

最後まで『唯一のピュアっ子』として鑑賞者を引きつけ続けたサムに対し、最後の最後であの仕打ち。あまりにもエゲつない。猫のマーマレードをマーマレードっぽい姿にした展開が可愛いとすら思えるエゲつなさですな。

ただやはり、そこに至るまでの展開が酷すぎるために挽回するまでには至らず。残念ながら『ケビン・コスナーの無駄使い(記念作品なのに)』といった印象が拭えない残念な映画でした。

これが無名俳優揃いだったならば『超B級・中途半端クリーチャー作品』のハンコを押して記憶の片隅に葬り去るところよ。やはり俳優って大事ですなぁ。