まぁB級サスペンス系だろうね・・という気持ちで鑑賞した「映画/ペット 檻の中の乙女」ですが、どうも主演のドミニク・モナハンという名前に覚えがあります・・誰だっけなぁ・・・。
ペット 檻の中の乙女
(原題:PET)
2016年 アメリカ・スペイン合作
主なキャスト:
ドミニク・モナハン
クセニア・ソロ
監督:カルレス・トレンス
脚本:ジェレミー・スレイター
ネタバレ無しのあらすじ
動物保護センターで警備員として働くセス(ドミニク・モナハン)は、安い給料でつまらない生活を送る日々。
たまたまバス内で同じ高校の後輩だったホリー(クセニア・ソロ)を見かけて声をかけるが、いまいち相手にしてもらえずバスを降りられてしまう。
どうしてもホリーを忘れられないセスはSNSで調べ上げ、彼女のバイト先へ出向いてデートに誘おうとするが・・またもや邪険な扱いを受ける事に。
思いつめたセスはホリーの家に侵入して拉致し、職場の地下室に設置した檻へと閉じ込めてしまう。
しかし徐々に明らかになる彼女の秘密に、驚愕の展開が・・・。
・・・といった内容の作品。
チャーリーだっ!
本作主演のドミニク・モナハンは「映画/ロード・オブ・ザ・リング」にも出演しているとの事ですが…メジャー作品に全く興味のない私はロード・オブ・ザ・リングを観たことがありません。
映画好きで累計2000本近く観ているクセに「ハリーポッターシリーズ」も「ダイハードシリーズ」も「ロード・オブ・ザ・リングシリーズ」も、全く観たことが無い人って、私以外にいるんでしょうかね・・。
それなのに何故か覚えがあった「ドミニク・モナハン」という名前。
鑑賞を開始して彼が出てくると・・「チャーリーだっ!LOSTのチャーリーだっ!!」(笑)
なるほど、テレビドラマシリーズ「LOST」にチャーリー役で出演していた彼でしたか。どうりで聞き覚えがある名前だと思いました。
それにしてもチャーリー、ひどいオッサンになっちゃたねぇ・・・。LOSTはシーズン2までしか観ていないので若々しい彼の印象しかありませんでしたが、なんとも悲壮感漂う中年になってしまったものです。相変わらず背は小さいけど…。
ここからネタバレを含むよ!!
内容と感想と戯言
私は「頭のおかしい変人」が出てくる映画が大好きです。サイコな変態をオカズにハァハァできるほど大好物。
そいういった部分は有名作品よりもB級映画のほうがエゲつなく描いてくれたりもするので、この「映画/ペット」もちょっと期待していたんですよ。
どうも「LOSTのチャーリー」のイメージが抜けませんが、彼はいったいどんな変態っぷりを披露してくれるのだろう・・・と。
しかし話は予想外の方向へとひん曲がっていきました。おおお、そうきましたか・・・。
おかしいのはセスではなく・・
セスは典型的な「小者」です。自分に自信がないクセに周囲にそう悟られないように振る舞っている。しかし周りから見りゃバレバレ。現実社会でもよくいるタイプです。
思いつめて「彼女を監禁しよう」と決意し、周到に用意を進め、どうにか成功するものの・・・やはり「真のサイコ野郎」としての貫禄には欠けています。
こんな小者っぷりでは見ていて惚れ惚れするような変態っぷりは期待できないなぁ・・・とちょっと萎えたところで、驚愕の展開になりました。
まさか檻の中に入れた彼女のほうが「真のサイコ乙女」だったとは・・・。
羊たちの沈黙
結局、セスが優位に立てていたのは序盤のちょぴっとだけ。
彼女が状況を理解し、落ち着いてからは完全にホリーのペース。上から目線で自分が優位な立場にいるように振る舞っているセスですが、完全にホリーに掌握されてコントロールされちゃってますな。
そう、アレです。我が人生の師ハンニバル・レクター様が「映画/羊たちの沈黙」で、檻の中にいながらも完全に場の流れを制していたアレを彷彿とさせます。
まさか「さてさて、どっぷり感情移入してしまうような変態野郎っぷりを見せてくれるだろうか・・」と鑑賞を始めた映画で、監禁された側に感情移入させられるとは思いませんでした。しかもスタイル抜群美女です。なんですか、あのウエストの細さは。内臓入ってないんじゃないですか?
エゲつなさは控えめ
予想外の展開にウホウホできた本作ですが、残念ながらリアル感は控えめ。
せいぜい「ちゃんと檻の中に便器を設置する」「そこで排尿」って程度です。しかもそれを回収したシーンはあっさり捨てて終わりです。
おいおいおーいっ!!おまえはノーマルさんかっ!!
彼女の排泄物ですよ!?食え…とまではいきませんが、なにかしらエグい描写を見せてくれよっ!
それ以外の部分でもほぼ「リアルなエグさ」はなく、全体的にスマートな雰囲気で進む監禁シーンは・・ちょっと残念でした。
ノーマルさんが見ていてドン引きするくらいの「真の変態っぷり」が見たいなら、この映画がオススメだ!!
予想外の展開。しかし予想通りの結末。
予想外だったのは「ホリーがサイコ乙女だった」までで、その後は「まぁそんな感じになるだろうな・・」と思った流れの繰り返しで物語は終盤を迎えてしまいます。残念。
最後に「セスが檻の中」はわりとベタな感じの結末ですが、その姿の過剰なまでの痛々しさはなかなかのエグさでした。
しかしここ、ちょっと惜しいなぁと感じます。
中盤でホリーが「あなたの夢を見た。二人きりで海辺の家にいた。それがあるべき姿のようで・・」といった旨の事をセスに言いました。これ、ラストシーンに繋がるような話にすれば「おおー」となった気がするんです。
たしかに「あなたと貸倉庫にいた」では何がなんだかわからない話になってしまうので、そのへんを上手に・・・。セスを監禁する檻が海辺の廃屋にあるとか、セリフのほうを寄せるとか、最後の二人のシーンを連想させるような語りにしておけば良かったのではないかなぁ、と。
ただ単に「セスの気を引くための言葉」だけで終わらせるにはもったいない気がしました。
檻の中の「乙女」って・・・
鑑賞前の予想では30点くらいだろう…といった印象ではあったものの、B級映画ってのは予想外の逆転ホームランもありますので…もしかしたら?という気持ちで鑑賞した「映画/ペット 檻の中の乙女」、結果は・・・うーむ、50点くらいでしょうか。
ひどく歪んだ思考の行動であれ「檻に入れる事でホリーを救おう」と本気で思っていたセスのストーリーが、いつの間にか「逆に檻の中のホリーによって堕とされていく」という点は面白かったです。
それにしても相変わらず余計なサブタイトルを付けるの好きですねぇ。『檻の中の乙女』って…。
登場からすでに「乙女」感はない気がするんですけどね、彼女。
こういう「原題」+「センスのない日本語サブタイトル」のスタイル、いい加減やめて欲しいものです。
なお、この手の設定にしては珍しくセクシーなシーンは皆無に近いです。胸元すらロクに見えません。そういうのを期待して見るとガッカリするのでご注意を・・・。