仮想世界と現実世界の対比を描く『映画/ロックダウン 非常事態』であらすじ&ネタバレの戯言。…とは言え内容は薄っぺらく、展開も設定もツッコミだらけ。ぶっちゃけB級以下の駄作というのが正直なところ。
やたらジジィが出てくる作品ですので爺好きならばアリかも。いや、無しか。
ロックダウン 非常事態
2019年 アメリカ
キャスト:
ブライトン・シャルビノ
ドミニク・モナハン
ウィル・パットン
マイルス・アンダーソン
フィオヌラ・フラナガン
カイル・コリン
監督:ベン・マクファーソン
あらすじ
母を亡くし、父(ドミニク・モナハン)と二人で暮らすリース(ブライトン・シャルビノ)はサイバーな現代っ子。
ある日、二人が住むアメリカ西部の電力が突如停止し、住民は混乱に陥ってしまう。
難を逃れるためカナダの祖父の家を目指す事となった父娘だが、行く手には数々の困難が・・・・
・・・といった流れで、不自然なご都合展開とツッコミが渦巻くB級作品。
キャストで戯言
主演はブライトン・シャルビノ。
映画世界ではあまり名を知られていませんが、ドラマのほうではアレコレ出演している人のようで。
うーむ、困ったぞ。
全然可愛くなくて苦痛じゃないか。
こんなブ・・・ごほっごほっ、個人的に好みではない女が走ったり逃げたり頑張ったりする姿を延々と見させられ、さらに内容もアレでは面白くもおかしくもない。
これがせめて好きな女優だったならば気晴らしにもなったでしょうが、まるで軽い拷問みたいなもんですぞ。
私が今回この映画をチョイスした理由は主演でも内容でもなく、父親役のドミニク・モナハンが見たかっただけ。『映画/ロード・オブ・ザ・リング』のホビットですな。
しかし相変わらずチビで童顔、体型も弱々しいので父親っぽくないったらありゃしない。娘と並んだ姿も『ちょっとフケた友人』に見えないこともない。
なお本作での彼の最大の見せ場は、便所のタンクから汲んできた水を「美味い!今まで飲んだ中で一番美味い水だ!!」と感動している姿です。あとは〇〇になってしまうので…。
祖父役のウィル・パットンは『映画/アルマゲドン』にも出演していた大御所ですが、普通にどこにでもいるようなジジイになったので他のジジイと見分けがつかず。
怪しい老婆役のフィオヌラ・フラナガンも大御所で、ニコール・キッドマン主演の名作『映画/アザーズ』にも出てたりしますが・・・こっちも今じゃどこにでもいるようなババァなので同じく見分けがつかず。
とにかくどこを見ても絵ヅラに華が無い、なんとも言えないキャスティングでございます。
子供向けマンガレベル
冒頭に仮想現実やeスポーツ、ネット社会のやりとりなどを印象的に描くことで、停電により文明が停止した世界との対比を表現。
そして崩壊後は生存のために躊躇なく悪行に出る人間、もとよりそういった物に依存せずに生きてきた者たちなど『混乱世界での強者』となる存在を際立たせる事で、文明社会に漬かりきっていた現代人の無力さを描いているのですな。
仮想世界と現実世界、文明社会と非文明社会、知力と暴力。
そういった二つの価値観を天秤にかけるようなテーマを、二組の対照的な親子&孫の関係を交えて描く。
うーむ。こう書くと実に奥深くて面白そうな作品じゃないですか。
しかし残念ながら全てにおいて製作者の力量が足りておらず、それっぽい設定を思いついて作っただけの駄作になっている感バリバリ。
あまりにも都合が良すぎる登場人物とツッコミどころだらけの展開で、もはや小中学生向け漫画レベルの内容になっているのが残念。
この手の”設定だけがウリの駄作”にはありがちな『壮大(な雰囲気だけの)映像、迫力(のつもりの)映像』は多数盛り込まれているものの、やはり細かい部分が適当すぎてツッコミ感のほうが先に立つ出来栄に。
センスの無い邦題から予想できる通り、ガチの映画マニアが本気で見れるような作品じゃありませんし、B級作品好きが寝転がってポップコーン喰いながら鑑賞するにも物足りない。それっぽい映画が見たい中学生なら楽しめるのかもしれませんが・・・いい大人にとっちゃ睡眠導入剤代わりになりそうな作品とも言えるでしょう。たぶん。
ネタバレあらすじ
注!)
ここからネタバレを含みます
冒頭の電話謎解きからして「なんだかなぁ・・・」といった具合なのはまず置いといて。
本作は一応『文明が崩壊した世界からの脱出を試みる、父娘のサバイバルスリラー』であり、設定や演出を煮詰めればそれなりに面白くなりそうな話ではあるのですよ。
しかし前述のとおり、とにかく薄っぺらすぎる表現とツッコミどころだらけの展開でリアル感も緊迫感も台無し。
せっかく農民ジジイが助けてくれたというのに、感謝どころかまともな対応すらしない主人公リースもまるで共感できませんなぁ。たしかにペラペラとお喋りが過ぎる年寄りだとは言え、あまりにも態度悪すぎないか?おまえ。
カナダで父娘を待つはずの祖父も何を察したのか迎えに旅立ち、行く先々のちょっとした痕跡で孫の身に何があったのかを全て察知。そのあまりの都合良さはもはやエスパー級。
不気味な一家に囚われてしまう…という展開はまぁアリとしても、相変わらず「なんだかなぁ」な展開をダラダラと繰り広げ、逃げた彼女らを追う怪しい父親はこれまた都合良すぎる察知能力で追尾。おいおい、おまえもエスパーか。
最後はお約束で追い詰められてしまうも、やっぱりエスパー爺ぃは都合良くその場に現れ、いきなり発砲して孫の窮地を救うのでした。めでたしめでたし…で終わり。
相変わらずこの爺ぃは何がどうなってその場にたどり着けたのやら。
しかし突然現れて状況もわからないのに、いきなり射殺ってどうなかねぇ。もしアレが孫を守ろうと戦っている側の人間だったら…とか考えないのかね。もみくちゃになった末にたまたまクインがマウント取れていたら、孫の恩人を殺すところよ。それとも遠くから見てた?
というか最大のツッコミとしては…
全世界崩壊じゃないからね。
あくまで『アメリカ西部』が停電しただけだからね。
陰謀論的な設定で「ヤバいよヤバいよー」と雰囲気を煽っているものの、世界中どころかアメリカ全土が機能停止したわけでもなく、あくまで一部。しかも地震で崩壊したわけでも宇宙人が攻めてきたわけでもない。起きたのは長期的な停電(原因はさておき)。
これぶっちゃけ、普通に家で親子二人、力を合わせて暮らしていたほうが良かったんじゃないかと。
話の流れ的には『かねてよりこの事態を予測し、非常時に備えていた祖父のおかげで生き残れた』的な流れになってはいますが、見方によっては『すぐに陰謀論だの言い始めて大騒ぎするヤツが一番タチ悪い』てな気も。
お父さんは被害者ですよ、まったく。
ただし停電の原因も含め問題が解決したという描写は最後までなく、この後世界はどう変わっていくのか・・・といった余韻が残されていますので、もしかしたらジジイが勝者となる可能性はありますな。あくまで薄~い可能性ですけど。
超個人的な戯言感想
…というわけで、この『ロックダウン 非常事態』という映画。
個人的に点数をつけさせていただければ6点。もちろん100点満点中の6点です。
唯一の心の拠り所だったドミニク・モナハンが埋められてしまったところからは、一切楽しむ事ができませんでしたし。
どうも最近は『5本観りゃ、そのうち4本はつまらない』という引きの悪さで、なかなか掘り出し物に出会えませんなぁ…。