注!)当記事はあらすじ・ネタバレ・感想を含みます。未鑑賞の方はご注意下さい。
今回の1本は、実話が元になっている…という事で物議を醸した小説が原作となる『映画/スリーパーズ』
ホントに実話なの!?というところも気になりますが、俳優重視の映画好きとしてはその豪華すぎるキャスティングのほうが物議を醸しそうです。
スリーパーズ
1996年 アメリカ
主なキャスト:
ジェイソン・パトリック
ブラッド・ピット
ロン・エルダード
ビリー・クラダップ
ケヴィン・ベーコン
ロバート・デ・ニーロ
ダスティン・ホフマン
ミニー・ドライヴァー
ブルーノ・カービー
テリー・キニー
監督:バリー・レヴィンソン
脚本:バリー・レヴィンソン
原作はロレンツォ・カルカテラ著の同名小説
ネタバレ無しのあらすじ
1960年代マンハッタン。
ヘルズ・キッチンと呼ばれる町で育った仲良し四人組、シェイクス、ジョン、マイケル、トミー。
決して裕福な町でもなく治安が良いわけでもなかったが、理解ある神父ボビー(ロバート・デ・ニーロ)や裏世界のボス、キング・ベニー(ヴィットリオ・ガスマン)など町の住人に守られながら、時にはイタズラや悪さもしつつ逞しく生活していた。
しかしある日、度が過ぎたイタズラが思いがけない事態に発展してしまい、四人は少年院送りに。
そこで出会った看守ノークス(ケヴィン・ベーコン)はひどいゲス野郎で、シェイクス達に過剰なまでの虐待や暴行を働くのであった…。
…そして時は過ぎ、1981年。
泣く子も黙るワルへと成長したジョンとトミーは、立ち寄ったレストランで偶然にもノークスと出会ってしまい…
・・・といった内容の作品。
注)予告編は英語版になります
キャストで戯言
このあたり(1990年代末)の映画はとにかくキャスティングが豪華な作品が多いですよねぇ。
本作も、それはもうヨダレや何かが垂れてしまいそうなほどの豪華さ。俳優の好みは人それぞれですが、このメンツならば1人くらい好きな俳優が混ざっているのではないでしょうか。
まずはメインの四人。
少年時代の彼らも非常に魅力的で、マイケルを演じたブラッド・レンフロはその甘いマスクから女性ファンも多いようですが…そこは飛ばして、成長後のキャストで見ていきます。
一応この物語の語り主となっているロレンツォ。通称シェイクスはジェイソン・パトリック。この人は知っているだけで全く興味ありませんし魅力も感じません。。。好きな人ごめんよ。
そして映画好きでなくとも知っているであろう、マイケル役がブラッド・ピットですよー。
若いころのブラッド・ピットって、ホント引き込まれる演技をするんですよねぇ。どうしてあんなワンパターン演技のゴリラになっちゃったんでしょう…。
ジョン役、ロン・エルダードは決して有名俳優とは言えませんが、安定して魅力ある表情を見せてくれます。
トミー役はビリー・クラダップ。実は私はこの映画、この人が目当てと言っても良いくらい大好きな俳優です。若いクラダップはめちゃくちゃカッコ良いですねぇ。宇都宮隆みたいな髪型とか…(笑)
・・・メインの四人だけでこの長さですよ。ここからさらに彼らを取り巻く大物がいると言うのに…。
頼れる神父ボビーは泣く子も黙るロバート・デ・ニーロ。正直私の中でデ・ニーロは「まぁ…嫌いじゃないけど、特に好きでもない」といった位置にいたのですが、本作品を見て一気にポイントアップしました。
ダスティン・ホフマンはなんとも微妙と言いますか、え!こんなキャラなの?という役柄で登場。後半はだいぶ巻き返しますが、出てきた直後~中盤あたりまではヒドいもんです。ちょっと何言ってるかわかりません。
そして名優ケヴィン・ベーコンは最高のゲス野郎、看守ノークス役で登場です。若いころは爽やかな役柄も多かった彼ですが、往年のベーコンを知っている者としてはこっちのほうが定番。むしろ平常運転です(笑)
その他にもミニー・ドライヴァーやらブルーノ・カービーやらが出演していますが、もうご勘弁下さい。
…で、実話なの?
本作品の原作はロレンツォ・カルカテラの同名小説。そしてこの小説は『ロレンツォ自身が少年院で体験した事実と、その復讐を綴った実話である』という事で話題になりました。
しかしエンドクレジットでも表記があるとおり、そういった事実は無い…と発表されています。
ちょっとこのエンドがズルいのは、あたかも『国や州が少年院における虐待の実態を隠しているのでは…』といった雰囲気で流しているところ。
それに対しロレンツォが「氏名・地域・年代は変えているが、実話である」と言っている…で終わっていますが、実は彼は少年院になど入っていないという事まで判明しています。
「いやいや、ホントは自分の話じゃなかったけど、そういう事があったってのは実話だよ。えーと、友達!俺の友達の話!」とか言いだしそうですが、『著者自身の体験をベースとした実話』はどうやら嘘のようです。
ただし、あくまでもロレンツォの話に関しては嘘臭いというだけで、作品中で描かれるような少年院内での看守による虐待は一切存在しない、と断定できるわけではありません。
どこかの地域、いつかの時代には、本作品と同じような目にあった少年がいる可能性は十分にあります。
ここからネタバレを含むよ!!
少年時代
私はさらっとあらすじを見てしまってからの鑑賞だったのですが、まさかこんなに少年時代が長く描かれるとは…。てっきり冒頭の10~20分、もしくは物語中に回想で挟まれる程度かと思いきや、がっちりぶっ続けで約1時間です。
なぜかトミーだけものすごく存在感が薄いですが、それ以外の3人は性格も含めて細かく描写されており、後の青年時代に深みを増すには十分すぎるほど。
決して成長してからの物語への布石だけに留まらない、重く深い物語です。
ボビー神父がかっこ良いったらありゃしません。
青年時代
時は過ぎ…なんかやたらワイルドカッコ良いヤツが歩いてきたなー…と思いきや、なんとトミーとジョン!!あのちび助のジョンが、アウトローなイケメンになっちゃいました。個人的にはトミーとジョンが逆のほうがしっくりくる気がします…。
そしてとうとうマイケルはブラッド・ピットへと進化。
もはやシェイクスが食われており、センターポジション交代のような印象。やはり若かりし頃のブラピは存在感が違いますなぁ。
裏切者を演じながら、自らを犠牲にすることで二人の友を救おうとするマイケル。計画がうまくいけば彼は負ける事になりますし、もし計画が失敗したならばマフィアに命を狙われる危険もある。どっちに転んでも先がない計画なんですよね、彼にとっては。
『復讐』という、本来であれば負の感情のテーマなのですが、そんな言葉すら忘れてしまうほどの『友情』と『信頼』、そして法的な意味とは異なる『正義』を感じさせました。
最後に5人が集まるシーンで、トミーの『マイケルが担当検事と聞いてカッとした。だがヤツに送り込まれるなら仕方ない』というセリフにはとても感動しました。本当に信頼と友情があったのだな…と。
それゆえにその後、生々しい写真と共に彼ら二人の死亡が報じられる部分はただただ胸が痛い…。
そして青年時代になってもボビー神父がカッコ良すぎる…。ずるいよ、この人。
切なく苦しい、極上のお味でした
ノークスの友人として証言台に上がるファーガソンが、あまりにもバカ正直すぎないか?…など、いろいろと都合が良すぎる部分は多々ありますが…それでもとても面白い作品でした。
本作を語るうえで『映画/スタンド・バイ・ミー』が引き合いに出される事が多いようですが、個人的には『映画/ドリーム・キャッチャー』を思い出しました。宇宙人もテレパシーも出てきませんけどね(笑)
私は家庭の事情で少年時代の友人など1人も残っていませんので、いくつになっても変わらぬ友情というのは憧れます。ついでに可愛い幼馴染みも。
来世生まれ変わったらこんな生き方をしてみたいものです。あ、尻を掘られるのは勘弁ですが…。