男子中学生好みな設定”だけ”で押すような『映画/THE DAY ザ・デイ』でネタバレ戯言を。一体何がどういう世界なのか、彼らはどこから来てどこへ行くのか…あれもこれも謎のまま、ただただスタイリッシュ(風)な映像を楽しむノリ。
悪くない、悪くないのだけれど、何かが惜しい。そんな1本でした。
THE DAY ザ・デイ
2012年 アメリカ
主なキャスト:
ドミニク・モナハン
アシュリー・ベル
ショーン・アシュモア
シャニン・ソサモン
コリー・ハードリクト
マイケル・エクランド
監督:ダグラス・アーニオコスキー
脚本:ルーク・パスモア
ネタバレ無しのあらすじ
何がどういう事になっているかわからないものの、なんとなく世紀末的な世界。
何が目的でドコへ向かっているのかもわからないものの、カッコ良く武装している5人の男女。
なんとなく雰囲気は伝わってくるものの、雰囲気重視すぎて理解が追いつかない展開。
え?人喰い?そういう話なの?
・・・といった内容を色味の薄い世界で楽しむ作品。
キャストで戯言
普段はVODを利用で映画鑑賞なのですが、本作は珍しくレンタル。
なんじゃこりゃ知らん映画だな…と、なんとなーくキャストをみていたら…
マイケル・エクランドとドミニク・モナハン!?なにその俺得なキャスティングはっ!!
…という事で衝動借りです。
ええ、ノーマルな映画好きにはどちらも「誰それ?」な俳優かと思いますが、個人的にその二人は推し俳優なのですよ。特にマイケル・エクランドが。
しかし残念ながら本作では彼の魅力はほぼ発揮されず。この人はもっともっと変な役をやらせないと魅力半減以下なのに、どうにも薄い使われ方が多いんですよね…。真のマイケル・エクランドを堪能したい方はぜひ『映画/ディヴァイド』を見て下さい。感じて下さい。身を委ねて下さい。
そしてドミニク・モナハン。
ロード・オブ・ザ・リングにも出演しているそうですが、私は一切観たことがありません。ドラマシリーズ『LOST』のチャーリーのイメージしかありませんが、何故か好きなんですよね。
その身長や雰囲気から「頑張って強がってはみるものの、結局は小者キャラ」という扱いが多い彼。本作でもやはり不遇な扱いでした…。
色味の薄い雰囲気重視の映像
さてさて。イロイロな意味で「え?」とか「はい?」が多い本作ですが、最初に気になるのがその映像表現。
モノクロ映画と誤解している方も多いようですがモノクロとは全く違います。セピアでもありません。彩度をかなり落とした表現になっているのですな。
私は動画処理は詳しくありませんので知ったふうな事は言えませんが、写真処理でいうならば彩度落としというよりもカラーチャンネル処理のような…。
この色表現は単なるオシャレ感だけではなく、衣装やセットの安っぽさを誤魔化すのもに一役買っている気がしますなぁ。
これが全編くっきりカラー映像だったならば、かなりB級臭が強くなっていたのではないかと。
ここからネタバレを含むよ!!
ネタバレ有りのあらすじ
世界観や設定をあえて語らず、「いったいどういう事なんだろう…」と思わせたまま後半まで引っ張り、最後に「そういう事だったのか!」と盛り上がる映画はたまにありますが、それは作品として上手に作られていた場合の話。
独りよがりで下手クソな作品ではただただ「意味わからん…」を引っ張られた挙げ句に「…で?」となってお終いです。その点この『映画/THE DAY ザ・デイ』はギリギリ…といった印象で。
とりあえず
- どうやら世紀末的な世界…らしい
- 彼らはそこで逞しく生き抜いている…らしい
- 動物も激減しているため食料不足。人を喰うグループが生まれている…らしい
ということは中盤くらいまでにわかるものの、それに関する細かい設定は無し。
登場人物の衣装や装備・行動・セリフが、まるでゲーム世界のようなノリで作られているので…中学生男子もしくは中学生男子脳の大人ならば食いつけるのかもしれませんが、私は正直萎えました(笑)
『キレ者女ソルジャー』的なポジションで、生足出してミニフレアワンピースって…もう狙いすぎでしょう。しかもどうして微妙にフケ顔のアシュリー・ベルを使っちゃったんでしょうね。たしかにワイルド感はありますが、ちょいちょい無理したオバちゃんに見えてしまって…。
物語の流れをいつもの「ざっくり戯言フロー」にすると、
- 荒野を行く5人
- ちっちゃいけどリーダー・リック
ケホケホ病に侵された黒人・ヘンソン
ヒース・レジャーとクリス・ヘムズワースを鍋で煮込み、出てきた灰汁のような顔・アダム
薄幸のヒロインかと思いきや、実は性格悪い女・シャノン
こんな世界なので下着の上下は色違いなの・メアリー
男三人は幼馴染、女性は後から加入。
男が一人余る計算。
- 一軒家発見
- 低予算なのでほぼこの家ワンシチュエーション。
二階に上がったと思ったら「地下室があるぞ!」とか、構造がよく把握できない。
その地下室には大量の缶詰…かと思いきやトラップ。
ちっちゃいリーダー・リックは早くもここで死亡。
鳴り響くベルと、閉じ込められた二人。
- 人喰い(らしきグループ)登場
- 地下に閉じ込められた二人を覗き込む謎の男登場。
しかし…なんで撃たないんでしょうね、ヘンソンとアダムは。
ただひたすらにワンパターンの口汚い罵りを連発するだけ。さっさと撃ちなさいよ。
女性陣二人の頑張りで窮地は脱出。しかし…
- メアリー拷問でハァハァ
- なぜかメアリーを椅子に縛り付けて尋問シーン。
どうやらその一匹狼っぷりから好かれていなかったり、怪しまれたりしていたご様子。
どこぞの女性権利団体からお叱りを受けそうなほどにボッコにした後、スカートめくって内ももの「印」をご開帳。
さらにはそれを切り落として食わせようとしてみたり。
いけませんアダム、ちょっとやりすぎです。
- 無駄の多い籠城戦
- 無駄に長い拷問シーンでアレコレ説明し、さぁ攻めてくる人喰いどもを返り討ちにしてやろうぞの流れ。
しっかり残弾を確認し『弾を大事にしろ』とか言っておきながら、落とし穴に落とした敵に対しても二人がかりで2~3発ぶちこむ無駄遣いっぷり。
ケホケホ病に侵されたヘンソンは予想通りに特攻。そして予想通りに弾切れでチーン。
シャノンはメアリーを囮にして裏から逃げた挙げ句、彼女の弾まで抜いておくという毒っぷりで急激にイメージダウン。
- 結末
- 急に正義に目覚めたアダムは間一髪のところでメアリーを救出。しかし自分は腹部に一撃受けて瀕死。
さっきまで拷問したりされたりだった二人は、寄り添ってアレコレと良さげな話をするのでした。
そうそう、シャノンはまるで心霊現象のような機動をする女の子にサクサクと刺され、そりゃもう自業自得の末路を迎えておりました。
生き残ったのはまさかのメアリー。
それに「私もついていく」とばかりに寄ってきた女の子と二人、これから旅をしていくのか…
…って騙されるかーい!!!の首チョンパ。
超個人的な戯言感想
とにかく雰囲気重視。ひたすら雰囲気重視。
彩度落としの映像も、リックやメアリーの服装も、クサすぎるセリフ回しも、ご都合すぎる展開も、全てはその『雰囲気』を味わうためのエッセンス。
監督の『ヤバいよ、カッコ良すぎる映画作っちゃったよオレ!』というドヤ顔が目に浮かぶような作品でした。
うーむ、ホント、ヒドすぎるとまでは言えないんです。しかしそれがむしろ中途半端と言いますか…。
思いっきりチープな方向に振ってくれればそれはそれで『B級映画』として違った目線で楽しむことができるのですが、えらく中途半端に出来が良い部分があったりするものだからツッコミ入れて楽しむ事もできず。
じゃあ「本気の世紀末スリラーアクションとして楽しめますか?」と問われれば、無理の一言。
個人的には『ショボい扱いだったものの、ドミニク・モナハンとマイケル・エクランドが出演していた』『女性陣はルックスだけ見れば好みのタイプ』という二点でそれなりに楽しめましたが、それが無かったら単なる苦痛映画だった気もします。
やはり俳優って大事ですなぁ。