【当ページには広告が含まれています】

今回は『映画/早熟のアイオワ』でネタバレ含む戯言を。タイトルで「胸クソ」とか書いていますが、決して批判の意味ではりません。むしろ素晴らしいからこそ感じる胸クソ感。実に味わい深い映画です。

まぁ嫌いな人は嫌いでしょうけど。

早熟のアイオワ
(原題:The Poker House)


2008年 アメリカ

キャスト:

ジェニファー・ローレンス
ソフィア・ベアリー
クロエ・グレース・モレッツ
セルマ・ブレア
ボキーム・ウッドバイン

監督:ロリ・ペティ
脚本:ロリ・ペティ、デヴィッド・アラン・グリア

ネタバレ無しのあらすじ

1976年、アイオワ州。

14歳になるアグネス(ジェニファー・ローレンス)は、妹のビー(ソフィア・ベアリー)、キャミー(クロエ・グレース・モレッツ)の面倒を見ながら『ポーカーハウス』と呼ばれる家で暮らしていた。

そこは夜になると様々な人間がやってきてポーカー賭博や売春、ドラッグなどを楽しむための場所。

母親のサラ(セルマ・ブレア)はその家に住み、客を取ることで生計を立てていたのだった。

劣悪な環境の中で逞しく生きるアグネスだが、やがて彼女にも暗い現実が覆いかぶさろうとしていた…

・・・といった内容の作品。

キャストで戯言

主演でもある三姉妹の長女、アグネスを演ずるはジェニファー・ローレンス

本作はまだ彼女がブレイクする前、初の主演作品となります。それでこの演技力ですよ、まさに化け物ですなコイツは。

そして次女…は飛ばして…

いや、それじゃ失礼ですな。次女ビー役はソフィア・ベアリーです。はい、次。

最後の三女キャミーはこれまた皆様ご存知、クロエ・グレース・モレッツ

なんと彼女もまだブレイク前、あの有名な『映画/キック・アス』より2年前の作品となっています。

起用された三姉妹のうち二人がビッグネームとして羽ばたいていくとは…かなり先見の明のあるキャスティングですなぁ。え、次女演じたソフィア・ベアリーですか?さぁ…今はドコで何をしているのやら…。

母親役のセルマ・ブレアも好きな人は好きなようですが、私は全く存じ上げませんし特に好きでもありません。いいえ、決してツルペタだからではありません。

商業主義に胸クソ

この『映画/早熟のアイオワ』は本国では2009年公開。しかし日本では劇場未公開。

まぁ内容が日本人好みではありませんし、この時点では知名度のある俳優も出演していませんし…。

ところがその後、ジェニファー・ローレンス&クロエ・グレース・モレッツが日本でも大ブレイク!「よし、その二人が出ているなら客足が見込めるだろう!」ということで2014年に劇場公開となりました。

なんとも現金な話ですが配給会社も映画館もビジネスですし「客が見込めないなら上映しない・儲かりそうなら上映する」というのは致し方ないところ。

しかし『The Poker House』という原題を『早熟のアイオワ』という邦題に変え、ポスターやDVDパッケージにセクシーな雰囲気で肩を出すクロエ・グレース・モレッツ、そこに『少女は、大人になる』というキャッチをつけての宣伝。

……こりゃヒドくないですか?

たしかに『14歳という若さで達観し、自分の道は自分で切り開くことを決めたアグネス』は早熟と言えますし、「少女は大人になる」も間違っていません。

しかしどう考えてもエロティックな方向で期待させようとしているのが見え見えじゃないですか。

これが単なるB級クライム作品で、実はエロもおっぱいもないパッケージ詐欺だったらまだ許しますよ。エロ本の表紙で騙されるようなもんですから。しかしこの映画の内容を考えたならば、こんな売り方は失礼極まりない。

なぜ『The Poker House』という淡々としたタイトルを付けたのか、『早熟のアイオワ』と変えられたタイトルをどう感じるか。脚本・監督のロリ・ペティはアメリカ人なので日本語の微妙なニュアンスは伝わらないでしょうが、決して嬉しいものではないと思うのです。(理由は後述)

人によってはさらに胸クソ

…という事で、映画内容のお話。

日本で劇場公開を見送られただけあり、そりゃもうエンターテイメント性はありません。

ただただ重い現実とリアルすぎる展開。奇跡も起こらなけりゃヒーローもいない。作中の「白馬の王子様なんていない」というセリフそのまんま、救いがないお話です。

ただし、救いがないというのはあくまでも「都合良く救ってくれる存在などいない」という意味。結局のところ、自分を救うのは自分しかいないんですよ…と。

自分勝手な理屈で子を縛る、救いようのないクズ親。

冒頭、頑張って勉強しているアグネスにヒドい言葉を浴びせながら足蹴にする母親はもう…今すぐモニタの中に飛び込んでいって鼻へし折ってドブ川に捨ててやりたくなるほどの殺意を覚えますな。

それなり~の人生を送ってきた人間であれば「可愛そう」とか「ヒドい親だ」で済むんでしょうが、私も最低な親に劣悪な環境でクソみたいな人生を送らされてきた人間ですので、このシーンにはゲロ吐いてしまいましたよ。先月買ったばかりのお気に入りのチェアに。

なんですかもう、せっかく『劣化する前のクロエ・グレース・モレッツのおパンツ姿が見れますよ!ハァハァ!』とか書こうと思ってたのに、トラウマえぐられてそれどころじゃない。返せ、今すぐチェア代を返せ。

実話という…

最終的にアグネスは親を捨て、自らの道を切り開く事を決めてニューヨークへ(物語中では描かれず、エンドクレジットのテロップにて)。

さらにはその後、この映画の監督・脚本を……ん?「この映画」?

実話だったんですかっ!
しかも監督自らの体験だったとは!

どこまでが本当の事なのかは知る由もありませんが、もしこれが全て現実に基づいているとしたら…もう感服です。屁も出ません。

わたしゃ「どんな親でも親は親だよ」「いろいろあるかもしれないけど、生んで育ててくれた恩があるでしょう」「自分も親になればわかるよ」などと、本当の地獄を味わったこともないバカ共に言いくるめられ、ただただ苦しいだけの人生で歳を重ねてしまいましたから。

素晴らしい。ロリ・ペティ監督、あんたのように生きたかったよ。

あの劇中歌のタイトルと戯言感想

あれれ、全然映画のストーリーとか関係ない話でこんなに文字数が…。

本当に申し訳ない、今回はまるでダメな戯言でした。だってしょうがないじゃない、クズ親が出てくる系の映画は私のトラウマをほじくり返すんですもの。アツくもなりますさ。

そうそう、忘れていました。最後に1個くらい意味のある事を書いておかないと。

終盤に三姉妹が車で熱唱するのは『Ain't No Mountain High Enough』という曲ですよ。

ここのシーン、とても良かったですねぇ。

次女と三女のその後には触れられていませんでしたが、幸せになれたのでしょうか…。