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未来を見たり過去に行ったり・・・時間軸に絡む映画は『意味がわからない…』となったり『矛盾してない?』となる事が多いのですが、個人的には大好物の料理です。今回もそっち系の1本『映画/タイムシャッフル』です。

とにかく過去を変えるとか未来を変えるとかに関しては、アレコレと矛盾があり、それに対する説もアレコレあり・・・屁理屈をこねたい人にはスッキリさせるのが難しいテーマでもあります。

でもそうやって脳ミソフル回転させながら観るのが楽しいんですよねぇ。時間軸モノって。

タイムシャッフル
(原題:Time Lapse)


2014年 アメリカ

主なキャスト:

マット・オリアリー
ダニエル・パナベイカー
ジョージ・フィン
アミン・ジョセフ
ジェイソン・スピサック

監督:ブラッドリー・キング
脚本:ブラッドリー・キング、B・P・クーパー

ネタバレ無しのあらすじ

賃貸住宅の管理人をしながらハウスメイトとして生活している、フィン(マット・オリアリー)、キャリー(ダニエル・パナベイカー)、ジャスパー(ジョージ・フィン)の三人。

とある日、向かいに住む科学者が音沙汰ない事を不審に思った三人が彼の家へ入ってみると・・・・そこには見たこともないような大きな機械が。

どうやらその機械は『24時間後を写すことができるカメラ』らしく、そのレンズは三人の家のリビングへと向いていた。しかも住んでいた科学者の死体まで発見してしまう。

ありゃりゃどうしましょう。通報しなきゃ!いや、待て!このカメラがあればいろいろと良い事あるんじゃないか!?

てな感じで、科学者の死を隠しつつ、そのカメラを自分本位に使い始めた三人だったのだが・・・

・・・といった内容の作品。

まずはよく聞くアレを…

映画内容とはちょっとズレた話になりますが、まずは時間軸のアレコレでよく耳にする二つの言葉。『タイムパラドックス』『パラレルワールド』についてちょろっと。「そんなもん知ってるわ!」という方はすっとばしてください。

かなりざっくり説明すると・・・

タイムパラドックスとは…

過去を改変する事により因果律に矛盾が生じる事。

例としては…
「妻が浮気しやがった!相手の男は絶対に許さん!」

「怒りのパワーでタイムマシンを開発、過去に戻って浮気される前に相手の男を殺害」

「…となると浮気という行為が発生しないので、タイムマシンを作る理由が無くなってしまい、矛盾が生じる」

…といった感じで、過去を変えると現在にも影響を及ぼすので、アレコレと矛盾が生じることです。

「いや、その場合でも結局は別の相手と浮気する事になり、結果的にタイムマシンは必ず生まれる」といった理由付けをされたりするものの、それだとどんどんループで殺す相手が増えていくだけだったりと・・・結局は矛盾。

このへんをうまーく「まぁいいか」で納得できる範囲に収めているかどうかが、映画を楽しめるかどうかにも関わってきます。

そしてこの『タイムパラドックス』を上手い事ごまかせたりする理屈が『パラレルワールド』

パラレルワールドとは…

『並行世界』などと呼ばれ、現在の時間軸と並行して進む別の世界のこと。

上のタイムパラドックスの例で言うと…
過去に戻って浮気相手を殺すことで、そちらの世界では浮気も発生しないしタイムマシンも生まれないが、自分が戻った世界は変化しない。
「浮気されてタイムマシンを開発する自分」の世界と「浮気されずにタイムマシンも開発しない自分」の世界が、並行した別世界として存在していく…となる。

樹木の枝のように、異なった流れの世界が分岐して広がっていく感じ。

これだと、どう過去をイジくろうとも別の流れの世界が増えていくだけでなんも解決にはなりませんし、映画にもなりませんので・・・過去や未来でアレコレする映画の場合は、その行動が自分達に影響を及ぼす形で描かれる事がほとんどです。

パラレルワールドは「もう1つの自分達と同じ世界があった!」のような感じで使われるのが映画では定石です。


おまたせ!ここからネタバレを含んだ本作品の考察だよ!!

変幻自在の試合運び

一般的に映画では「過去に戻ってアレコレやって、現在を変える」もしくは「現在をアレコレやって未来を変える」ってのが多いのですが、この映画はちょっと違うところがミソ。

「未来を知って、それに向けて現在を変える」

…となります。

もうこの時点で「意義あり!!」と成歩堂クンが変な髪型でツッコんできそうですが、とにかくそういう流れの映画です。

まずは軽いジャブ

あんな目立つレンズが見えててなんで気づかなかったのよ!?とか、あんたらリビングの大きな窓はずーっと開けっぴろげで生活してんの!?とか・・・そういうのは置いておきましょう。

作品中でフィンは「明日の自分が描く絵」を見ながら描く事によってスランプを脱出しました。

もうここからして「・・・それってどうなんだ?」の疑問が発生。ニワトリとタマゴの話になってきます。

しかし「そういうもの」として受け入れないと、もう話を進めて鑑賞する事ができません。この映画、そんな感じで受け入れていかないといけない要素が多すぎるんですよね・・・。

続いてワンツー

明日の夜の写真がぺらーっとカメラから出てきて、「え!?オレ明日こんな事すんの!?」と驚きながらも、それはもう必死に写真を再現しようと三人は頑張ります。

ツッコミどころや納得いかない気持ちがありつつも、ここんとこがイロイロと上手に作ってあるのは非常に面白いです。

フィンが絵を描いている背後でキャリーとジャスパーがキスするとか…「いやいや!絶対ないだろ!」という写真が出てきても、忠実に再現しようと頑張っています。

しかし・・・これって「え?え?オレこんな服持ってないよ!?」って服装してたら、わざわざ同じモノを買いに行かねばならないって事ですよね?大変だー。

キスならまだしも、かなりハードルの高い変態プレイの写真とか出てきちゃったらどうするんでしょうか・・・。

禁断のローブロー

個人的にこの映画最大の失敗だと思うのは『24時間後の写真ではなく、もっと先の写真が出る事もある』ってヤツです。

しかも…朝晩8時の写真とは別に出るのか、それが出た時は24時間後の写真はどうなるのか・・・といった一切がモヤモヤのまま。

これのせいで、せっかくの「24時間後が見れる」という面白い設定がクソになってしまっている気がします。

「朝晩8時に出るのは、24時間後の写真」、「それ以外の時間に出てきたのは、いつかわからない未来の写真」と明確にされていればまた別なのですが・・・。

もう極端に考えてしまえば、三人が毎晩回収して必死に翌日に合わせようとしていた写真も「24時間後の写真であるとは限らない」って事になってしまいますので・・・。

ここ、どうにか「写真は24時間後だけ!」って設定で上手に作れなかったんでしょうか。

せっかくアレコレ考察しても無意味になっちゃうんですよね。。。

鑑賞者殺しの必殺アッパーカット

はい、きましたよー。

いろいろおかしな部分や納得のいかない部分がありつつも、まぁ細かい事は言わずに楽しむか…と面白く観ていたのに、最後の最後でぶっ込んでくる鑑賞者殺しの展開・・・

「窓際で見つからない」

の意味です。

めっちゃ薄っぺらく考えると、

「最後にキャリーは窓際にいるところをジョーに見つかり、捕まってしまった。それを避けるための警告」

になってしまったりするかもしれませんが、それではおかしいんです。

それまでは昼でも夜でも、写真に写る際の行動は全て「24時間前にそういう写真が出ているから、その通りにして写る」なんですよ。

写真に写る時の行動も貼るメッセージも全て後追い。写真で見た通りにやっているだけです。

キャリーは昼も写真が出ていた事を隠し、そうやって「写真を見た朝8時から翌日の朝8時までの行動を自らに指示」する事で上手くやろうとしていました。

しかし前日朝8時(アイヴァンを殺した翌朝)から、その夜(金を積んで帽子をかぶったジャスパーの写真を撮り、出てきた写真をすり替える)、そしてあの日の朝(フィンがジャスパーを脅し、キャリーはジャスパーとフィンを殺す)まで・・・まったく『窓際で見つからない』という指示が生かされていませんし、そんな行動もとっていません。

なぜならばキャリーが隠していた写真の中には『写真をすり替える』『ジャスパーを殺す』という指示の写真もありました。

この24時間で彼女が取っている行動はその指示に基づくもの。つまり、これが前日の朝8時に出た写真という事になります。

本当であれば、この日の朝は『写真をすり替える』『ジャスパーを殺す』と書いたメッセージを貼って写らねばならないはずなんです。

しかし彼女がフィンに「未来を変えるには、今日すべき行動をメモで昨日の自分に示さなけらばならない」「そうすればこんな事態は起こらない」と言っているように、この『窓際で見つからない』という指示は、前日に見た写真とは違うメッセージを送って、惨劇を回避しようとした・・・と考えられます。

しかしこの24時間の間に『窓際で見つかったから惨劇が起こった』という明確な部分はないんですよね・・・。強いて言うならば、アイヴァンに見られた事か?と思いますが、それは24時間以内の出来事ではありませんので、この朝に書いても無意味です。

そしてさらに矛盾がありまして・・・

結局その後、キャリーはジョーに捕まり、『窓際で見つからない』と書いた紙も剥がれてしまい・・・撮影された瞬間のカメラの前の光景は「ベゼリデスが自分が死ぬと勘違いした写真(窓に血痕・ソファーに帽子・コイルの絵)」と全く同じでした。

という事は・・・本当であれば前日の朝8時にはこの写真が出ていなくちゃおかしいんですよ。

『写真をすり替える』『ジャスパーを殺す』というメッセージを貼って撮影されてはいないんです。じゃああの写真はいったい・・・・。

さらに言ってしまうと、この「ベゼリデスが自分が死ぬと勘違いした写真」って、だいぶ前に出ちゃってるんですよね。。。それをベゼリデスから手紙で受け取った同僚のオバちゃんが持ってきています。しかも「これは明日の写真」とまで言っています。なんでわかるのか知りませんが、そう言っています。

むむむ・・・。

最終的に、どうあがいたところで『写真で示された未来』の通りになってしまっている・・・というのがこの映画の面白さでもあり、素晴らしさだと思うのですが・・・この部分だけ、そこがグチャグチャになってしまっているのが非常に惜しいです。

どうせなら『窓際で見つからない』なんて抽象的な言葉ではなく、『ジャスパーを殺さない』とかにすれば良いのですが、それでは映画的にイマイチですし(笑)

おそらくあの『窓際で見つからない』の言葉は、最初に言ったように「窓際でジョーに見つかって捕まった」って事にかけている部分もあるのでしょう。

せっかく上手に作っていたのに、最後の最後でミソをつけられた感が否めません。。。

試合終了!

ダラダラと長くなった挙句に、何を言っているのかわからないような文章になってしまって本当に申し訳ない。

もっとアレコレと可能性を考えたり、考察したりもできるのですが…憶測にしかならないうえに、必ず矛盾が生じるんです。

その原因の一端ともなっているのがやはり『24時間後以外の写真も出る』なんですよ。

これのせいで明確な結論が出なくなってしまいます。

もう「そういうもの」として受け入れるしかないんですよね・・・。この映画は終始それに尽きます。

あり・・かな?

個人的な感想としては、ものすごく良い部分があるのに、なんか大事なトコがおざなりになってしまっているような…そんな印象を受けた映画でした。

とても女性的で優しく、可愛い彼女なのに・・・なぜかウ〇コした後は絶対流さない、みたいな(笑)

ほぼワンシチュエーションの低予算映画といった感じですが、まぁそれなりにアリなのではないかと。

いいじゃないですか、ウン〇を流さないくらい。許してあげましょうよ。