映画『ボーグマン』意味を解説するのが困難な…

今回の1本は「映画/ボーグマン」です。とにかく理不尽で意味不明な展開を、無名ではあるものの魅力的なキャストが支えるという・・・非常に「観る人を選ぶ」作品となっています。

この手の映画を「意味がわからない」と一蹴してしまうような方には全くお勧めできませんが、作品中で描かれない部分をアレコレ考えるのが好きという方にはオススメの1本ですよ。

ボーグマン


2013年 オランダ・ベルギー・デンマーク

主なキャスト:

ヤン・ベイヴート
ハーデヴィッフ・ミニフ
イェロン・ペルセヴァル

監督:アレックス・ファン・ヴァーメルダム
脚本:アレックス・ファン・ヴァーメルダム

ネタバレ無しのあらすじ

森の中に隠れ潜む集団ボーグマン。追手が迫っている事を察知し、慌てて森を逃げ出した彼らのうちの1人は裕福そうな一軒家へとたどり着く。

家主であるリチャード(イェロン・ペルセヴァル)に追い払われるボーグマン(ヤン・ベイヴート)だが、それを哀れに思ったリチャードの妻マリーナ(ハーデヴィッフ・ミニフ)によって家へと招き入れられる事に。

しかし彼を家へ入れた事により、それまで平和だった家庭は徐々にボーグマンに侵食されていく・・・

・・・といった内容の作品。

アレもコレも謎。とにかく謎。

もうこの映画、最初っから意味がわかりません(笑)

洋画は「冒頭はわけがわからないものの、物語が進むうちに徐々に理解できていく」というのがお約束ですが、この作品はぶん投げっぱなしで進みます。

まずボーグマンとは何者ぞ?という疑問は最後まで解決しません。謎の集団です。この映画を観た人間が勝手にアレコレ考えるのみです。

「集団を強化するために地球に~」といった下りがあるので宇宙人なのか・・・それとも「神父たちに襲撃」されているので、悪魔的な何かなのか・・・明確なのは「ただのホームレス」ではない、という事くらいです。

そして一家側、特に奥さんマリーナの変貌っぷりや、ベビーシッター(個人的にストライク美人)のボーグマンに対する傾倒っぷりなど・・・謎な要素が多くあります。

そんな作品ですので、ラストももちろん「謎」で終わります。

個人的にはこういう作品は好きです。ベタベタにわかりやすい勧善懲悪モノよりはるかに面白いと感じます。


ここからネタバレを含むよ!!

謎のクセに、無駄に緻密

観ていて気になったのが、庭師として一家に潜り込むまでの過程。これがまた非常に回りくどい。

今いる庭師を吹き矢で撃つ。
 ↓
瀕死になった庭師を、家へと運んであげる。
 ↓
医者(ボーグマン仲間)が家を訪れ、奥さんも殺害。
庭師と一緒に処理。
 ↓
庭師がいなくなったので、一家は新たに募集をかける事に。
 ↓
ボーグマンが庭師として応募。
 ↓
さらに金で雇った移民に応募させる。
 ↓
応募してきちゃった本物の庭師はボッコ処理。
 ↓
移民はちょっと・・・という事でボーグマン採用。

なんですか、この無駄に周到な計画はっ!(笑)

たしかに、現在庭師がいる家庭に「あいつと交換で雇って」と言って「はい、良いですよ」となってしまったら、あまりにも都合が良すぎる展開になってしまいますが・・・ここまで念入りにやられると、観ているこっちが困惑してしまいます。

このへんが「ただの謎だけ映画」ではなくて面白い部分でもありました。

そういえば少し前に「映画/アルカディア」を観ましたが、あっちは個人的に「ただの謎だけ映画」で無責任な駄作…と感じました。。。

謎のクセに、人を惹きつける

どんどんボーグマンに惹かれ欲情していく奥さんマリーナの姿は、観ているこっちが恥ずかしくなってくるほど。

しかし決してボーグマンのほうから押しているわけではなく、むしろちょっと引いている姿勢がまた・・・く~、上手いなコイツ!とクネクネしてしまいます(笑)

心の奥底にある家庭や育児から解放されたいという小さな願望を、謎の力を使ったり使わなかったりしつつ上手にマリーナから引き出していき、かつその欲求には応えない事で大きく膨らませていく・・・。恐るべきジゴロテクニック。

さらには若くて美人なベビーシッターの女性まで、ボーグマンにメロメロリンQになっていく始末です。くそうっ。

このへんも「謎の力で魅了する」というわけでもなく、かといって「完全に理由付けされている」というわけでもなく、絶妙な不可解さがあって好きです。

謎のクセに、謎で終わる

ラストはもう全力で謎です。

庭を完成させたボーグマン達は、これまた謎の劇を一家に披露し・・・リチャードは殺害。

そして「ああ、やっと私の想いに応えてくれるのね!」と、アッハーンウッフーンなプレイに胸を膨らませる奥さんも・・・殺害。

二人まとめて埋め立てた後は、子供たちとベビーシッターを連れて去っていく・・・。

もう完全に置いてけぼりの気分です。

しかしやはり「全然意味わからんわっ!」とブン投げたくなるような感じではなく、アレコレと想像できる余韻を残した、味のある終わり方だと感じました。

ただ単に「細かい部分は全部謎で終わらせよう」では作り手として無責任なだけだと思うのですが、この「映画/ボーグマン」はそういった無責任さは感じません。

むしろ考える余地を残してもらっている、というか・・・なんとも表現し難いのですが、決して悪い気分ではありません。

監督のアレックス・ファン・ヴァーメルダムも「この映画の解釈は観客に委ねる」と発言していますが、それは決して無責任な意味ではないと感じます。

なにはともあれ「オススメですよ!」と自信を持って言えないような映画であるのは事実ですが、変な映画が好きな方は一度ご覧になっても良いのではないかと。

ちなみに・・・

パッケージはエロティックな雰囲気を出していますが、残念ながらそういうシーンはほぼありませんよ!(笑)