大ヒット香港映画『インファナル・アフェア』のハリウッドリメイク版『映画/ディパーテッド』でネタバレ・あらすじ・戯言。本家とこっち、どっちが上と感じるかは人によると思いますが、個人的には「あっちはあっち、こっちはこっち」で別の面白さを感じる作品でございました。
キャストに関してはアレコレ思うところがありますけど…。
ディパーテッド
2006年 アメリカ
キャスト:
レオナルド・ディカプリオ
マット・デイモン
ジャック・ニコルソン
ヴェラ・ファーミガ
マーク・ウォールバーグ
マーティン・シーン
監督:マーティン・スコセッシ
脚本:ウィリアム・モナハン
リメイク元は2002年の香港映画『インファナル・アフェア』
ネタバレなしのあらすじ
マサチューセッツ州。
警察組織は犯罪組織の大物フランク・コステロ(ジャック・ニコルソン)を逮捕するため、優秀ながらも異色の新人であったビリー・コスティガン(レオナルド・ディカプリオ)を潜入捜査官として送り込むことに決定。
首尾よくフランクの元に潜り込むことに成功したビリーだったが、そのフランクもすでに警察組織にスパイとしてコリン・サリバン(マット・デイモン)を送り込んでいたのだった。
警察とマフィア、互いが互いにネズミを探し、潜り込んだ者同士も互いを警戒し探り合う。
果たしてこの戦いの結末は如何に。
・・・てなノリでハードボイルドな作品。それにしてもマーク・ウォールバーグがキャラ濃すぎる。
キャストで戯言
主要キャラから脇まで、誰でも知っている俳優からマニアックな俳優まで取り揃えた豪華なメンツの本作。
マフィアに潜入捜査する警官は説明不要の超有名俳優レオナルド・ディカプリオで、逆にマフィアから警察へと送り込まれたのはこれまた超有名なマット・デイモン。
本家のアンディ・ラウ&トニー・レオンとは顔の造りと雰囲気が逆でちと混乱しますな。
そして犯罪組織側のボスはさらに大御所のジャック・ニコルソン、警察側でレオ様の上司となるのはお騒がせ俳優チャーリー・シーンの実父、マーティン・シーン。
なんでも企画段階ではマーティン・シーンの役柄はロバート・デニーロがオファーされていたとのこと。おおう、それもヤバい組み合わせですなぁ。
本作はインファナル・アフェアとは人物設定が異なっており、潜入捜査を補助する警官がもう1人。濃すぎるキャラのディグナム巡査部長としてマーク・ウォールバーグも登場。
彼は実際にマサチューセッツ州ボストンの生まれで、ドラッグ・暴行事件・人種差別とリアルにアレな人なので・・・このキャラは笑えませんわい。
おっと忘れちゃいけないヒロイン役、こちらも本家とは異なり、潜入野郎二人の狭間でトライアングルな役柄に変更されている女性精神分析医はヴェラ・ファーミガですな。今では有名女優ですが当時はまだ無名だったとのこと。いやぁ、お若い頃はさらに美人でたまりませんなぁ。尻も素晴らしい。
リメイク変更点とネタバレ戯言
ハリウッドリメイクということで舞台がアメリカとなり、さらに登場人物にもちょっと手を加えられている『ディパーテッド』は結末も本家とは異なるオリジナル。
警官のヤン(こっちではディカプリオ)がエレベーターでもう一人のネズミに撃たれ殉職してしまう点は同じではあるものの、あっちのラウ刑事(マット・デイモン)は最後まで生き残り、その後『インファナル・アフェア3』でわけのわからんことになってしまうのですが・・・・本作では因果応報の結末に。
なにせこっちのサリバン刑事はあっちのラウ刑事よりも遥かに腐っているんですもの(笑)
本家のラウ刑事は犯罪者として潜り込んでおきながら警官であることにも誇りを持ち、『警官の自分』と『犯罪組織の自分』の狭間で苦しむ姿に共感もできたのですが、サリバンときたら自分を育ててくれたボスに対する感謝も敬意も薄く、どんどん偉くなってイイ気になり、保身ばかり考える勘違いのクソ野郎。
墓地で「子供は・・・」と恋人に声をかけても華麗にスルーされ、マンションの隣人の犬を撫でようとすりゃ迷惑がられ、挙句の果てにあの結末になってもまるで可哀想とすら思えない。
あの結末ならではのキャラ設定だったのでしょうが、あまりにも愛せない人物像に変えられていてマットデイモンが不憫でなりませんな。ある意味アメリカ的な「はい!スッキリ!」な結末で浅いっちゃー浅いのですが、これはこれでアリなのではないかと。
そして本家のように互いに個別のヒロインを配置せず、マドリンを三角関係的な位置で接点とさせたのもなかなか。
どこぞで聞いた話によると、女性というのはパートナー(伴侶)としては地位や収入があって無難な男を選び、浮気相手としては野性的なタイプを選ぶ傾向性があるそうな。
人間としての理性が生活の安定(収入があり危険のない男)を求めるものの、動物としての本能はより強い遺伝子(肉体的にも性格的にも)を子孫として残そうとするそうで。
うーむ、果たしてマドリンが宿した子はどっちの子なのか…。
超個人的な戯言感想
公開当時に見た時は『インファナル・アフェア』への高い評価が抜けきっておらず、「なんじゃこの薄っぺらいリメイクは!!」と憤りすら感じたものですが、だいぶ時を経てから再鑑賞してみると「あれ?これはこれで面白いじゃないか」と意外に楽しめた『映画/ディパーテッド』
たしかに本家インファナル・アフェアで重要だった仏教観念が無いぶん、精神描写としては薄味ではありますが、こっちはハリウッドならではの生々しいリアル感があるじゃないですか。
まぁツッコミどころは多々ありますが、そこもハリウッドならでは…ということで。
そもそも監視カメラで『コステロとその右腕、古株の側近、そこに新入りのビリー』という状況で「この中の誰かが潜入捜査官だ・・・」となれば、どう考えてもビリーだろ!!…と思いますけど(笑)
そして微妙に『映画/フェイク』もカブって感じてしまったのは私だけではないはず・・・。