久しぶりにマイナーな作品を…という事で、今回は『映画/インサニティ』でネタバレありの戯言を。ちなみに作品名の「インサニティ」はどこかの誰かが付けた邦題で、原題は『The Evil in Us』です。
相変わらずしっかり映画を観ているのか疑わしくなるような邦題ですな…。
インサニティ
(原題:The Evil in Us)
2016年 カナダ
主なキャスト:
デブス・ハワード
ダニー・ザポロザン
ベタシュ・ファズラリ
イアン・コリンズ
マリナ・パスクア
カイリー・ブッシュ
監督:ジェイソン・ウィリアム・リー
脚本:ジェイソン・ウィリアム・リー
ネタバレ無しのあらすじ
離島のコテージで独立記念日の休暇を過ごすため、寂れた町に集まった男女の若者6人。
最初のうちはバカなノリで絶好調。船で島に到着し、楽しい休暇を過ごしていたのだが…その中の1人であるウィーラー(イアン・コリンズ)が持ちこんだドラッグを皆でやり始めた事をきっかけに、楽しいパーティーは殺戮の宴へと変わっていってしまう。
…と同時に、シアトルで発生した殺人事件の捜査を進める刑事。
…と同時に、よくわからない施設でよくわからない実験をするオッサン。
といった感じで三軸の物語が同時に進みつつ、やがてそれらが結びつく内容。メインは若者パート。
歌詞、必要?
映画では劇中歌が流れる部分に歌詞の字幕が付く事がちょいちょいありますよね。
歌の詩が物語に秘められたテーマを表現していたり、その後のストーリーを示唆していたり…「その歌を流す事に意味がある」という場合、歌詞字幕がつくのはアリだと思います。
しかしアチラの歌詩を日本語に訳すと、それはもう滑稽な場合も多々ありまして…。
この『映画/インサニティ』もオープニングクレジットからいきなり歌詞字幕が付くのですが、
血まみれになって刺しまくり
とか、そんな歌詞を日本語で字幕表示されてもテンション上がるどころかイモ臭くて萎えるばかり(泣)
いかにもホラーといったエグい映像にエグい歌詞の曲を流すのは良いのですが、ここは音楽の雰囲気だけで良かったんじゃないかな…と。
その後も2度、劇中歌にしっかり歌詞が付きます。律儀というか余計なお世話というか…。
ここからネタバレを含むよ!!
真面目なホラー
キャストも無名な方が大半ですし、ストーリーも『若い男女数名が集まりバカンスを楽しむが、人間がゾンビ(のよう)になるドラッグで殺し合い展開!』というB級感溢れる内容。
もう完全に『これはB級映画です!』と断言したいところなのですが、ありがちワンシチュエーション作品のようにコテージとその周辺だけで物語が進むわけではなく、別の事件現場や警察、病院、謎の施設など…意外に世界が広い。そして細かいところが予想外にしっかり練られていたりも。
そして『若い男女数名のバカンスホラー』という設定でありながらお色気要素がほぼ皆無というのも珍しい。「B級ホラーはおっぱいが見れてなんぼ!」という熱いこだわりを持つマニアも多くいますので、せいぜい水着姿くらいしか見れない本作はその点もB級らしからぬ流れ。
ダラダラした描写が続く場面も多々ありますが、個人的には思っていたほど安っぽいB級ホラーではなかったなぁ…という印象でした。アレもコレもと手を出しすぎて、中途半端になっちゃった感はたしかにありますが。
ちょっと本作に対する世間の感想を覗いてみると…ものすごく低いというわけではく、高いというわけでもなく。中の下くらいでモヤモヤした評価が多いようです。うん、気持ちはわかります。
秀逸な原題。残念な邦題。
記事冒頭でも触れましたが、いつになっても邦題が残念な作品は無くなりませんねぇ…。
インサニティ(insanity)の意味は『狂気・精神異常・精神病』などになります。うーん…たしかに狂気と言えば狂気なのですが…なんか違う感も…。
たしかにカタカタ一単語のほうがキャッチーで分かりやすいですが、原題の『The Evil in Us』はこの作品に秘められたメッセージを上手に表現していると思いますし、最後の『Us』は『Us(私たち)』と『US(米国)』をかけているのでは…とも思える秀逸なタイトルです。できればこのままにしておいて欲しかったなぁ、と。
意外に美味いコンビニ弁当気分でした
さほど期待をせずに鑑賞したものの、見終えてみれば「あれれ?意外に面白かったぞ?」というのが個人的な感想です。
たしかに安っぽかったり、狙いがややスベッていたり、最後にやたら政治的要素を強く入れようとしてきたり、ちょっと困惑する味付けはあるものの…それでも食べられないほどではない。いや、むしろちょっと美味しい。
決して観た事を後悔するような作品ではありませんでした。
それにしても…ゾンビ(のような状態)になっちゃうと個人の戦闘力でずいぶん能力差が出てしまうようで・・・。ウィーラーの無双っぷりはもはやチート級でしたなー。
最後の最後、船に乗り込んで愛するスティーブの脳天をブチ抜き、やっと助かった……と思ったところにドンッと現れるウィーラーには、
あんたいったいドコから飛んできたのよっ!?
と、ツッコまざるを得ませんでした(笑)