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今回はちょっとタイトルがアレな感じな1本、『映画/復讐少女』です。もうホント、こういったB級映画って邦題の付け方が適当すぎるというか…ひどいもんですな。

エグい表現が多めの映画なので、グロ耐性が低い方は注意ですよ。

復讐少女
(原題:The Seasoning House )


2012年 イギリス

主なキャスト:

ロージー・デイ
ショーン・パートウィー
ケヴィン・ハワース
アンナ・ウォルトン

監督:ポール・ハイエット
脚本:ポール・ハイエット・コナル・パーマー、エイドリアン・ライジェルスフォード

ネタバレ無しのあらすじ

1996年、バルカン半島。

軍人による民間人への弾圧・蹂躙が激化する中、何人もの少女が家族を殺され、強制的に連行されていた。

その中の1人。エンジェルと名付けられた少女(ロージー・デイ)は、ヴィクトル(ケヴィン・ハワース)の管理する売春宿で働かされる事となる。

聾唖であった彼女は客は取らされず、他の少女の世話を任されていたが、その中で手話のできる1人の少女と出会い、友人になっていく。

しかし…エンジェルが連行される際に彼女の母親を殺害した男、ゴラン(ショーン・パートウィー)が宿を訪れ、その部下の一人に友人である少女が殺されてしまうのだった。

それをきっかけに、聾唖の少女の復讐が始まる・・・。

・・・といった内容の作品、と言いたいところですが「復讐少女」と言うよりも「脱出少女」もしくは「貞子少女」といった雰囲気の作品。

またこのパターンかっ!(笑)

前回の記事、『映画/ON AIR 殺人ライブ』で書いた2つのポイントを再び書かねばなりません。またこのパターンですかっ。

その2点は…「邦題のクソっぷり」「吹き替え」です。

邦題のダメっぷりは各所でさんざん指摘されているにも関わらず、いつまでたっても改善される気配がありません。。。

あまりにもセンスが無かったり、内容と関係なかったり、壮大にネタバレしていたり・・・邦題を決める人達の脳ミソはいったいどうなっているのか…。

この映画の『復讐少女』というタイトルも、センスが無いうえに微妙です。たしかに結果的には復讐とも言えるのですが…彼女自身が自発的に「復讐をしよう!」と行動している部分はほぼありません。うーむ。

そして前回の最後に「もう二度と吹き替え洋画なんて観ないぞ」と言ったにもかかわらず、二連荘での日本語吹き替え鑑賞になってしまいました(泣)

だってまたもや字幕バージョンが無いんですもの!Why!?

嫌だよーう。吹き替えは嫌だよーう。

洋画吹き替え独特の「芝居じみた不自然な喋り方」には、萎えることフニャチンの如しです。

さらに、母親や友人が手話を使う際にはしっかりセリフ(吹き替え)が入るものの、エンジェルが手話を行う際には英語字幕そのまんま。和訳も無しです。

かなり初歩的な会話なので、私のポンコツ英語力でも問題なく理解できましたが・・・ちょっと手抜きがすぎるかと。今回はU-nextでの視聴だったのですが、 他の媒体だとココはどうなっているのでしょう・・・。

聾唖という設定

この映画、主役となるエンジェルは聾唖(ろうあ)者です。話せません。聞こえません。

前半部に何度も使われる、彼女の世界として描かれるシーンには音声がありません(会話もハッキリと聞こえず、BGMのみ)。

これは彼女の世界を表現する手法として、とても印象的でした。しかし惜しいことに中盤以降には効果的に用いられてないんですよね。。。とても良いのにもったいない!

作品全体を通して、その設定がものすごく生きているかというとそれほどでもなく。チョイチョイ聾唖者ゆえの行動があったりするだけ。うーん、もっとここを大事に使って欲しかった気がします。。。

そして「耳が聞こえないはずなのに、周囲の指示を理解できていたりするのがおかしくない?」という疑問を感じた方も多いようです。たしかに「あっちいけ!」とか「これをやれ!」とか、普通に従っています。

このへんは個人差があると思いますので、あまり知った風な事は言えないのですが・・・。

私にも昔、聾唖の友人がいまして。彼女も特に手話などを用いなくても、普通に話しながら行動するだけでかなり理解してくれるんですよ。こちらが驚くくらいに。

複雑な会話は手話や筆談を必要としましたが、一緒に遊んだり飲みに行ったりする程度なら健常者と同じような感覚でコミュニケーションが取れていました。おそらくエンジェルもそういう事なのだろうな・・・と。ですので個人的には違和感は感じませんでした。

ここからネタバレを含むけど、不謹慎な戯言も含むよ!!

グロ要素が強い!…という事らしいです。

いかにも痛そうな、生々しい演出が多く、直視できない部分があった…という感想がチョイチョイ聞かれます。

どうやらそうらしいですよ!(笑)

いやいや、グロ耐性というか・・・拷問とか、その手の「エグい演出」への耐性が変態的なもので、この映画くらいの表現だと個人的には「まぁわりとエグいほう…かな?」といった印象なんです。頭がおかしいんです。

ですので、おそらくこの映画は「グロい・ゴアい・エグい」の三拍子が揃った映画なのでしょう。ノーマルさん達がそう言うのですから、そうに違いありません。

弱っ!軍人弱っ!

とにかくあまりにも軍人たちの弱さと言うか、間抜けっぷりがひどい映画です(笑)

一番最初に殺られた一番強そうなハゲマッチョは・・・まぁ仕方ないでしょう。私だって全裸でハァハァしている最中に、あんなナイフでいきなり脇をぶっ刺されたら困ります。相手は小柄な少女ですが、わりと頑張ったほうでしょう。

二番目のヘッドホン野郎はヘボい事この上なし。壁の中に入り、上にいたエンジェルを発見して撃つも…ハズレ。その後追っかけて登ったらレンガのような石でお顔を叩かれてギャー・・・で落下。素人かおまえはっ。

三番目は復讐少女ではなく、復讐オッサンの手によって射殺。ご愁傷様です。

四番目の若者も、復讐少女は間接的に関わっただけで…復讐オッサンの手によって射殺。ご愁傷様です。

最後のゴランさんに至っては、あんなくっそ狭いトコを追っかけていくものだから・・・詰まってしまってゲームオーバー。後先考えなさすぎです。

ここでのエンジェルの行動は賛否両論ありそうですが、私としては好きでした。まさにこの部分こそ「復讐少女」のタイトルを表している気がします。

それよりも何よりも、あの狭い場所で方向転換してゴランのほうに這ってきたことに驚きです。そんなスペースある!?(笑)

あの結末は・・・

最後の最後にエンジェルが助けを求めた家・・・そこはあの売春宿と繋がっていた医師の家でした。

そして少し意味ありげな雰囲気を残して物語は幕を閉じます・・・。

ここも非常に解釈が分かれる気がします。

「医師は売春宿と繋がっているのだから、結局エンジェルは戻されるだろう。バッドエンドじゃん・・・」と感じた方もいるでしょう。

「あの医師は根っからの悪人ではなさそうなので、エンジェルを再び引き渡すような事はしないだろう。最後の表情は、彼が小心者ゆえに出た顔では・・・」と感じた方もいるかもしれません。

映画の解釈って、数学のように「絶対的な正解」を決めなくても良いと私は思っています。もちろん、中には「これが正解」という事柄もありますけど。

自分の解釈と違うからと言って「それは間違いです!頭がおかしいです!」とムキになるのはガキ、もしくは狭量な人間の証拠ですぞ。

もう思い切りおかしな方向に振り切って…

「おほー、ワシのもとにあの売春宿の少女が・・・。これは匿うフリをしつつ、楽しんじゃおうかのう・・・」という結末だと解釈しても良いと思います!(笑)

いちおう私としては、売春宿の主であるヴィクトルは死んだわけですし・・・彼女は救われるのではないかと感じました。

もちろん医師が他の売春宿とも繋がっている可能性はおおいにありますが、あの時点では彼はヴィクトルの死を知りませんし、最後の意味深な顔は「おいおい、あそこの子じゃないか・・追手が来たらどうするんじゃよ・・・」という表情だったのではないか、と。

ちょっと音響効果も不安感を煽るような感じになっているので、私の解釈は的外れの可能性もあります。まぁ良いじゃないですか、そうムキにならずに。さぁさぁ、売春宿にでも行って気を静めてきて下さい。

男ってのは・・・

いろいろとアレな部分はありますし、全体を通して陰鬱とした空気が漂う作品ですので・・・さすがに「めっちゃ面白かった!ぷはー!」という映画ではありませんでした。

ですが、まぁそれなりに観れた作品です。吹き替えが嫌でしたが、エンジェルが喋らないというのが救いとなりました。

それにしても・・・

エンジェルたちを攫う際の非人道的な行為。そして売春宿での行為。ホント、男って・・。

さらに終盤、エンジェルが逃げ込んだ作業所内。明らかに少女が怯えているにも関わらず、かばおうともせずに軍人の言いなりになる屈強な作業員たち…。おいおい、そのゴツい身体はハッタリか!?

なんというか・・・男であることが少々恥ずかしくなってくる映画でした。

私ももっと、強く優しい男にならねば。

・・というわけで。

世の女性の方々、この作品をカップルやご夫婦で鑑賞して「これだから男はダメなのよ!」とパートナーを責める口実にも使える映画ですよ。

まぁハッキリ言って女性に薦められるような映画ではありませんけど(笑)