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今回の1本は『映画/バッド・ガール』、同名映画があって紛らわしいですが2012年作品、原題:girls against boysのネタバレ考察になります。「最狂の女子高生」と付いていないほうです。

そのまま表面だけ見てしまえば単なる平凡復讐モノですが、見方によって面白い解釈ができる映画ですので…ちょっと「3パターン(+オマケ)」に分けて考察してみようかと。

バッド・ガール
(原題:girls against boys)


2012年 アメリカ

キャスト:
ダニエル・パナベイカー
ニコール・ラリベルテ
アンドリュー・ハワード
マイケル・スタール=デヴィッド

監督:オースティン・チック
脚本:オースティン・チック

ネタバレ無しのあらすじ

不倫相手に急に別れを告げられた女子大生フェイ(ダニエル・パナベイカー)。

へコんでいる彼女に声をかけたのはバイト仲間のルー(自称)という女性(ニコール・ラリベルテ)だった。

ルーに誘われるままにクラブへ繰り出すフェイだが、そこでもまた男絡みで散々な目に。

もう男なんてみんなクズよ!…ということで、ルーの助けを借りつつエグい復讐の幕が上がる!!

・・・といった内容の作品。

注)予告編は英語版になります

キャストで戯言

人の好みはそれぞれ。地面を歩く蟻を喰って美味いと思う人もいれば、お好み焼きをクソ不味いと思う人だっているんです。ええ、私ですけど。

…ということで、主演のダニエル・パナベイカー

ごめんなさい、本当にごめんなさい。『映画/Mr.ブルックス』で娘役を演じているのを見た時から、『映画/タイムシャッフル』で半裸を晒した時まで…とにかく私は彼女が全く美人だとは思えません。ホント無理。

そしてその彼女をエグい復讐に誘うルー役のニコール・ラリベルテはさらに輪をかけてヤバい。もうブサ○ク街道一直線で正視するのもキツい。

内容は別として絵ヅラだけ見れば「勘違いダブルブ○が調子に乗っている」としか見えず…苦行の90分でした。

そんな私を癒やしてくれたのは、主張の弱いハゲキャラ、アンドリュー・ハワード

いろいろなところにチョイ役として顔を出し、小さなお目々で安心させてくれる彼の存在は大きかったです。今回はややクズ役ですけど。


ここからネタバレ含んで三通りの解釈だよ!

①普通に復讐モノ

まずは基本の基。特に深く考えず、単なる『復讐モノ』として鑑賞した場合

こうなるともう、この映画は非常につまらない。

カメラワークや演出に多少のこだわりは感じるものの、内容的にはありがち。男の描き方、女の描き方もありがち。たいした盛り上がりもないままご都合エンドで「はいはい、だろうね」の終わり方になり、人生の貴重な90分はドブ行き決定。

せいぜい『男はみんなクズ!女は強いのよ!』的な展開に大喜びするバカ女(とドM男)がスカッとするだけの、ペラッペラ映画で終了ですよ。

点数つけりゃ100点満点中10点です。

②妄想オチ

そんな駄作の点数を上げる考察がコレ。『ルーは実在していない』という解釈です。

この後に解説する『③多重人格オチ』と基本は同じなのですが、さらに『数々の殺人も起きていない』と解釈する妄想オチ説になります。

主な理由を挙げてみると、

  • 身近で連続殺人が起きているのに、主人公の生活に全く影響が出ていない
  • 挙げ句の果てに自室でルーを殺害しているのに、やっぱり普通にバイトに行く
  • シェイが飼っている黒猫
  • ルーが着ていた和服はシェイのもの
  • ルー殺害後に映し出される綺麗な状態の殺人現場

…といったところ。コレ以外にも細かい部分で「もしや?」と思う要素は織り込まれています。

上に挙げた項目を1つづつ掘り下げてみると…

殺人の影響がない

これはもう「映画だから」で片付けられればそれで済んでしまう要素なのですが、それにしてはあまりにも不自然。

指紋はベタベタ付けていますし銃声も響いている。不倫相手を拉致した時などは目撃者がいてもおかしくない状況。ほっそり優しいイケメン殺害時などは第一発見者です。

これで取り調べを受けることもなく、普通に学生生活を送るというのはありえなさすぎる。これが「ストーリーの都合上省略しただけ」とするならばホントにクソ映画ですよ。

ルーを殺害しても平気

100歩譲って男達の殺人がバレなかったとしても、これは自宅での話。それでもやっぱり何も無かったかのようにバイトへ向かうシェイ。

これもまた「映画だから」で済ませます?それで納得できます?

シェイの黒猫

序盤、シェイが黒猫を飼っている描写があるのですが、その後ルーが登場してからはルーと同時に黒猫が出てくることがないんです。

不倫相手を自宅に入れた末、グダグダな事になってしまい泣き崩れるシーンでは、背後にまるでシェイを心配するかのように黒猫が。そして画面から黒猫が消えると、ルーからの着信。

これは『ルーという存在は飼っている黒猫から形作られた』…と考えるものアリかと。

タイラーとのデート後、なぜか真っ暗な部屋で一人ずっと待っていたルー。「どうやって入ったの!?なぜ暗い部屋に!?なぜ一人で待ってて寂しかったの!?」という疑問も「黒猫」と考えれば辻褄が合います。

そしてこれは後ほどの解釈④にも関係してきます。

和服はシェイの所有物

ルーがタイラー殺害時に着ていた和服。

最後の最後、鏡を見るシェイの後ろにわざとらしく掛かっているので「お?」と気づいた方も多いと思いますが、実は冒頭すでにシェイが着ているシーンがあります。

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ルーがこれを拝借して犯行時に着ていた…という考え方も可能ですが、とても意味ありげに使われている小道具ですので…。

綺麗な殺人現場

ルーを殺害した後、三箇所の殺人現場が「まるで何事もなかったかのような状態」で映し出されます。

これは『そこで殺人は起きていなかった』というメッセージにとる事も。

ただし『何事もなかったような状態になるほど、月日が経った』という演出ともとれますので、そちらだとすれば「逮捕される事なく、一連の殺人のほとぼりも冷めた」という解釈も可能ですけど。

③多重人格オチ

さてさて、次は『②妄想オチ』の亜種。「ルーは妄想だった」は同じですが、一連の殺人は実際に起こったと解釈。「ルーはシェイの別人格だった!」という多重人格オチです。

基本的な項目は②と同じですので割愛。

それに加えて「鏡」です。

この映画、序盤から終盤に至るまでとにかくシェイが鏡を見るシーンが多い。そしてルー殺害後に覗く鏡には『ALICE』の文字が書かれた黒猫の絵も。

『アリスと不思議な鏡』のようにシェイという人格が鏡の中に入り、代わりにルーという人格が目覚める…と。

タイラーが殺害される直前もシェイは一旦トイレに向かって鏡を見ていました。そしてその後ルーが登場してタイラーをざっくり。

刀を構えたルーに対してタイラーが「お?やるのか?」的に笑いながら腰の玩具剣を構えるのは、それがシェイと気づいたから…と考えるのもアリかな、と。

最後に浴槽の中からシェイが浮かび上がってくるのは「鏡の世界から抜け出た」を意味している…ってのはいかがでしょうか。

なおダイナーでルーが話す「幼少期の思い出」がシェイ自身の体験であったのかどうかに関しては、私はなんとも言えませぬ。サイモンから暴行を受けた直後に母親に電話をするシーンがありますが、それだけでは汲み取れませんでした。

なおその直後に「カレン」という別の相手に電話していますが、これはメガネのクラスメイトです。

④魔法の黒猫物語

これはさらなるぶっ飛び解釈。

男に翻弄されて泣き崩れるシェイを不憫に思った黒猫が、人間の姿になって復讐の手助けをした…というもの。

しかしこれはこれで辻褄が合ってしまうのが困りどころ。ルー殺害後は黒猫が出てこないんですよね…。

人間化した猫ならば多少強引な要素があってもおかしくありませんし、部屋で暗闇の中一人で4時間半も待たされて寂しかったニャー…というのも納得。晩飯作って待っていた、ってところはスゴい猫ですけど。

個人的な戯言感想

私も当初『①普通に復讐モノ』だと思って鑑賞していたせいで非常に苦痛だったのですが…ルーが例の和服を着て出てきた段になってやっと「こりゃシェイが着ていたヤツじゃないか!ということは…!?」と脳みそフル回転。ちょっと気づくのが遅すぎました(汗)

世間での評価はかなり低いようですが、おそらく私同様『単純な復讐モノ』として鑑賞しちゃったんでしょうねぇ…。それならば低評価もやむ無し。

もう一度最初から見返して検証したい部分もあったのですが、キャストで戯言の項で書いたように「とにかく無理な女優二人」ですので、一回の鑑賞でギブアップでした(泣)

誤っている部分や勘違いしている部分があったらどうかご容赦下さい…。