映画「サンズ・オブ・ザ・デッド」全てが中途半端…(ネタバレ有り)

アメリカ人って本当ゾンビ好きですよね。映画もゾンビ、ゲームもゾンビ、三度のメシよりゾンビです。

ゾンビ映画ファンは日本にも多く存在しますが、残念ながら私はゾンビに特別な思い入れはなく・・・。

とりあえず奇抜な設定っぽいので観てみるか…といった理由で選んだ1本です。

サンズ・オブ・ザ・デッド
(原題:IT STAINS THE SANDS RED)


2015年 アメリカ

主なキャスト:

ブリタニー・アレン
フアン・リーディンガー
マーウィン・モンザー

監督:コリン・ミニハン
脚本:スチュアート・オルティス、コリン・ミニハン

ネタバレ無しのあらすじ

ゾンビが蔓延した終末世界で、恋人のニック(マーウィン・モンザー)と共に飛行場を目指していたモリー(ブリタニー・アレン)。

しかし途中で車がスタックしてしまい、身動きが取れなくなっているところへ1人のゾンビ(フアン・リーディンガー)が現れる。

残念ながらニックは襲われて食われてしまうものの、モリーはどうにか振り切って逃げ出す事に成功。しかしゾンビは休むことなく彼女の後を追い続ける。

何もない砂漠で1人、ゾンビに追われながら飛行場を目指すモリーは驚きの行動に出る・・・。

・・・といった内容の作品。

注)動画は予告編ではなく本編の一部カット版になります

ちょっと怪しいものの・・・

ゾンビ映画というだけで手に取ってしまうような、真のゾンビスト以外でこの映画を観たという方、もしくはこれから観ようという方は、いったいどういう理由で選んだのでしょうか。。。

私は冒頭にも書いたように「斬新なゾンビ映画っぽいから」という理由です。

なんでも、2016年シッチェス・カタロニア国際映画祭の「MIDNUGHT X-TREME部門」というよくわからない部門で「最優秀作品賞」を受賞したらしいじゃないですか。

さらには「映画/28日後…」以来の優れたオリジナリティ!だとか・・・ゾンビ映画の最高傑作!だとか・・・ホントに?と思うような賛辞が予告編で踊っていました。

こういう「誰が言ったかわからないような褒め文句」を真に受けるのは危険と承知していますが、もしかしたら本当に素晴らしい映画かもしれません。

よーし、思い切って観てみるぞーと決意し、再生したその30分後には・・・・(笑)

ここからネタバレを含むよ!!

ただの冒頭かと思いきや

まずは冒頭。二人の男女が車で移動しており、会話も風貌も典型的なジャンキー系。そこへ現れるゾンビ。

よくありがちな「作品導入部分、世界観を表すための死にキャラ」だと思ったのですが・・・なんか長い。。。

男が腸を引っ張り出されて死亡し、女が逃走して「ふう、やっと本編か・・・」と思ったら、目覚めてもさっきの女。あれれ?

そして彼女が広い砂漠を飛行場へ向かって歩き始める・・・

え!?あんたメインキャラだったの!?

てっきり名もない「やられ役の旅人」だと思っていました(笑)

そうかー・・・この俳優(ブリタニー・アレン)で観ていかなければならないのか・・・・。あまり好きな感じじゃないなぁ・・。

どうにも腑に落ちない展開

そこから延々と同じような絵ヅラの追いかけっこが続くのですが・・・ありとあらゆる所で気持ち悪いモヤモヤ感があり、どうも楽しめません。

ホント些細な事なのですが、都合よく襲われない時間があったり、かと思ったら急に後ろにいたり・・・がーっ!と早く襲う場合もあれば、一定の速度でゆっくり歩くだけだったり・・・

さらには、カットが切り替わると人物の位置関係が不自然に変わっていたり・・・といった事まで。

あまりにも「映画的な都合の良さ」を感じてしまい、「休むことなく追われ続けている」といったリアリティが感じられません。

このあたりは、追われているうちに徐々に変化していく二人の関係性を楽しむ部分だと思うのですが・・・モリーの精神状態や行動も「映画的な都合の良さ」があり、どうものめり込めない。

いかにも「美しい映像でしょ??」といった感じのカメラワークや構図も、ちょっと狙いすぎてる感があって鼻につきます。

死体と友情・・・これはっ!!

いちおう作品としては「最初はただのゾンビ」だったのが、長く行動を共にするうちに、モリーの中に友情のような感情が芽生え始める・・・といった要素を含んでいるようなのですが・・・

ん?死体との友情?そして壮大な自然との映像美?・・・これはっ・・・スイス・アーミー・マンかっ!(笑)

しっかりと「死体と友情」を描き、しっかりと「壮大な美しい映像」を魅せてくれる映画/スイス・アーミー・マン。
ちょっと観る人を選ぶ系だが、オススメだぞ!!

この「映画/スイス・アーミー・マン」も、ぶっ飛び設定なうえに下品極まりない映画でしたが・・・感動がありました。映像の美しさも飛びぬけています。死体のメニー(ダニエル・ラドクリフ)をゾンビと呼んで良いのかはわかりませんけど(笑)

予算やいろいろな事情がありますので二つの作品を比べるのはナンセンスですが、どうしてもこの「映画/サンズ・オブ・ザ・デッド」はいろいろな部分で中途半端感が否めません。

え?親子愛?え?

そんな「変化していくゾンビとの関係性」にも終わりが来てしまいます。最後はモリーの手により、再度の死を迎えるのでした・・・。

そして無事飛行場へ到着し、彼女はメキシコへ向けて飛び去ってくので・・・・・あれ?乗らないの?

まぁ乗らないなら乗らないで良いんです。ゾンビの事が忘れられないのかな?飛行場に閉じ込められているという4人のゾンビと旅立ったりしちゃうのかな??・・・と思った矢先の・・・

やっぱり息子を愛している!必ず助けるから!!

という展開に。なんだそりゃ!?やめなさい!余計な事しなくていいからっ!!(泣)

「蛇足・・だよね、これ」というこちらの心配をよそに、「息子を愛する母(一度捨てたクセに」モードで動き出すシナリオ。

・・・・監督はなにが描きたいのでしょう。

車のキーを探すくだり、それまではめっちゃ恐れず戦っていたクセに、不自然に怯えてパイプレンチ落としちゃうシーンにもげんなりしました。これ、ただ単にその後の「ドリルを頭に刺す!」をやりたかっただけでしょう!?(笑)

なんでわざわざ違和感のあるリアクションをさせてまで「グロ演出のアイデア」をねじ込もうとするかなぁ・・・。

そしてどうにか息子の待つ家へたどり着き、無事に息子と感動の再会。観ているこちらも涙が止まりません。別の意味で(泣)

しかし「普通のゾンビ映画」のように家の中にまで押し寄せる、ゾンビの大群。

息子は私が絶対に守る!!うおりゃー!!!・・・・・でブラックアウト。終了です。

・・・・えーと、そういう映画でしたっけ?

中途半端・オブ・ザ・デッド

とにかく「中途半端」という言葉以外に見当たらないくらいの中途半端っぷりです。

「ゾンビとの奇妙な関係」を描きたかったのか、「息子を思う母の愛」を描きたかったのか、「目を覆うエグいシーン」を描きたかったのか・・・・。

その全てを中途半端に盛り込み、さらには「美しい映像表現」なんてのも入れてみたり。

しっかりどれかに集中して描けば面白い作品になったかもしれないのに、最後の最後がこれでは・・・ただの「焦点の定まっていない駄作」と言われても仕方ない気がします。。。

クソつまらない・・と言ってしまうには少々もったいない映画ですが、だからといって面白かったとも思えませんでした。

とても残念な作品です。

しっかり「何を伝えたいのか」を定める事って大事ですね。私も気をつけねば。。。

・・・こんな事言ったら怒られそうですが、延々とモリーを追い続けるゾンビが「ヒース・レジャーのジョーカー」にちょっと似ている気がします(笑)