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かなりマイナーなうえにDVD・VOD等でタイトルが『I am not Lorena』だったり『ロレーナ』だったり『No soy Lorena』だったり…。情報を探すことすら困難な映画でネタバレ戯言を。

チリ・アルゼンチンの作品ということで、ベタべタのアメリカンサスペンスとは一線を画す雰囲気は好みが分かれそうなところですが…個人的にはかなり好きな1本になります。理由は内容ではなく、俳優ですけど(笑)

ロレーナ/I am not Lorena
(原題:No soy Lorena)


2014年 チリ・アルゼンチン

主なキャスト:

ロレト・アラベナ
ラウタロ・デルガード
マティアス・オビエド
パウリナ・ガルシア

監督:イシドラ・マラス
脚本:イシドラ・マラス、カタリナ・カルカニ

ネタバレ無しのあらすじ

認知症の母親を抱えながら、舞台女優として活動するオリビア(ロレト・アラベナ)。

その彼女のもとに何度もかかってくる「ロレーナ・ルイス」宛の電話。どうやら負債を抱えた他人と間違われているらしい。

間違い電話だってば、そんな人知らん!…と訴えるもそれを証明することができず、ついには自宅にまで財産差し押さえの令状が。

あっちもこっちもイライラする事ばかりでムキー!!となったオリビアは、数々の問題を解決できるのだろうか…。というかロレーナ・ルイスって誰やねん!

・・・といった内容の作品。

注!)予告編はスペイン語(英語字幕付き)です。

お国とキャストで戯言

冒頭にも書きましたが、チリ・アルゼンチンの作品という事でドキドキハラハラ・エンターテイメント的なハリウッド系サスペンスとは空気が別モノ。あちら系の映画は抑揚のない日常をだらーっと描いた末に、しれーっと静かに終わる映画が多くて「…で?」となることが多いのですが、本作もややそっち系になります。

しかしミスリード的な要素も含まれていますし、少々わかりづらい演出とおかしな翻訳が多いものの、それなりにドキドキできる展開でサスペンス色が強くなっていますのでマシなほうではないかと。

しかも主演俳優が非常に美人ときていますから。

公私ともに上手くいかず、いつも眉間にシワを寄せながらピリピリしているオリビアを演ずるのはロレト・アラベナ。ええ、全く知らない女優です(笑)

しかし彼女が個人的にストライクで、もう内容なんてどうでも良い。少々男顔なので化粧が濃くなると「女装した男性」にしか見えませんが、素の顔と体型がツボすぎて眼福の80分でございました。

他人と間違われる…にもほどがある

さてさて、中身のお話。

ロレーナ・ルイス』という、全く身に覚えのない女性と間違われているオリビア。

携帯にロレーナ宛の電話がかかってきて、ロレーナの借金を請求されて、ロレーナの負債で財産を差し押さえられて…って、ちょ…日本の感覚ではちょっと無理を感じるんですが、あちらではありえる話?

『そんな人知らん』→『着信拒否して放置』で良いじゃないか…と思ったりもするのですが、イヤイヤながらも律儀に受け答えたり、しっかり手続きしてもらおうとしたり、オリビアは変に真面目なとこがあるようで。

そう、この彼女の『変な真面目さ』が日々彼女自身を苦しめている…という人間ドラマでもあるのですな。

もっと適当にアホウに生きれば良いのに、それができない。そんなふうに生きたいとも思わない。アイツもコイツも適当なヤツばかり、不真面目なヤツばかり、なんなのよもうっ!…と、ますます眉間のシワが深くなる。そんな女性なわけです。好きだなぁ、こういう人。

そんな彼女がライブハウスで手にしているのは…

(C) 2014 FORASTERO

レッドブル!?

え、それってこういう場所で飲むモノ!?そんなに疲れてるの?日本で言うならば『クラブでオロナミンCを飲んでる』みたいな事じゃないの!?(笑)

このへんも彼女らしいという事なのでしょうか。どうやら酒が飲めないというわけではないようですし。

しかしこの後、俳優仲間でもある薄っぺらい男が「人生に疲れた女にごっつぁんゴール!」をキメる展開は、そりゃもう羨ましすぎて殺意を覚えますな…。

ここからネタバレを含むよ!!

ロレーナのネタバレ

途中、オリビアがカツラかぶって化粧をして「別人」になったりするシーンなど「まさか…ロレーナは『疲れて病んだオリビアの別人格でした』ってオチ!?」という予感が嫌でも頭をよぎる本作。

そういえば冒頭、母親が自分自身を他人と認識するというシーンがあったし…アレも伏線だったのか!?…と。

平成初期ならばそれでも大どんでん返しとして楽しめたかもしれませんが、今はもう令和。『謎の人物=自分自身だった』なんて展開はもはや夢オチに近いものですから。そんな駄オチで締めちゃうの?と不安な気持ちでたどり着いた真相は…

オリビアの借金返済担当の女でした。

…というもの。おお、そうきましたか。書類に血を付けた時点で「絶対これ、後から重要になるポイントだろ」と思いましたが、多重人格オチよりはマシです。

執拗に追い回したりオリビアの部屋を荒らした男は、これまでロレーナとグルで違法な事をしていたものの…何らかの理由で切られ恨みを抱いていた、という事で良いのでしょうか。単なる痴情のもつれではないようですし。

しかしこれはこれで疑問も残りますし、腑に落ちない部分も多数出てきますなぁ。

決して多重人格でもなければ非現実的な要素でもなく、かなりリアル路線でのサスペンスだっただけに…細かい部分のツメの甘さが惜しい気がします。

アパートを出る時にさりげなく差し押さえ担当者とすれ違っていたり、すごく上手にやっている部分もあるだけに、もっとどうにかならなかったかな…と。

超個人的な戯言感想

なにはともあれ。

エンターテイメント感バリバリのハリウッドサスペンスも好きですが、淡々した人物描写で静かに展開するスペイン映画やそっち系も好きな私としては、決してつまらない作品ではありませんでした。

そこに好みの女優が主演とくれば観る価値はあったかと。

しかしコレを人に勧められるかと言えば…うむむむ、まぁわざわざ人生の残り時間を80分使ってまで観なくても良いのでは…とは思いますな(笑)

それにしても、どうしてオネェ系の人って女性に信頼されやすいんでしょうねぇ…。