今回選んだ1本はB級と呼ぶことすらためらわれる、超C級作品『映画/ON AIR 殺人ライブ』 しかしネタバレを入れて感想を綴ろうと思ったものの、これまた解釈に苦労する内容でして。映画もC級ならば感想もC級、それを綴る戯言もC級。まさに「C、C、C、の酒田米菓です」ってな感じですよ。
(おそらく100人中108人がわからんネタ)
それにしても邦題も酷いもんですな。
ON AIR/殺人ライブ
(原題:RADIO SILENCE)
2013年 ドイツ
主なキャスト:
マルクス・クヌーフケン
チャールズ・レッティンハウス
ロナルト・ニットシュケ
ヤスミン・ロート
ヴォルフガンク・パンペル
監督:カーステン・ヴォース、マルコ・J・リードル
脚本:マルコ・J・リードル
ネタバレ無しのあらすじ
自宅で海賊ラジオを配信しているドック・ロック(マルクス・クヌーフケン)。
ある晩、巷を騒がせている殺人鬼ナイトスラッシャー (チャールズ・レッティンハウス) をネタにトークを繰り広げていると、なんとナイトスラッシャー本人から電話が。
「今から女を殺す。放送時間内にオレを止めてみせろ。放送は止めるな」
最初はタチの悪いイタズラかと思ったものの、話しているうちに本物と確信したドック。どうにか犯行を止めようと会話を続けるのだが・・・。
・・といった流れのはずなのに、無駄に押し込んでくる謎シーンと酷い吹き替えのせいで全然内容が入ってこない作品。
注)動画は予告編ではなく本編冒頭カット版
Why japanese people!!
皆さん、日本はお好き?
当ブログは支離滅裂ながらもとりあえず日本語で戯言を綴っているので、読んでくれている方の99%は日本人だと思われますが、皆様自分の国、好き?
わしゃ日本人の協調(という名の同一化)を強要してくる気質が好きではありません。まぁこんな事を書くと『愛国心』などと言い始め、他人に自分の価値観を強要する人間から長文批判メッセージが届くんですけど。だからそういうとこが嫌なんだってば。
それはさておき。
本作はとにかく邦題がヒドい。『ON AIR』で止めれば良いじゃないのよ。なぜ余計に『殺人ライブ』なんてつけちゃったのよ。
そのタイトルから、内容を勘違いして鑑賞を始めちゃった人が大量にいることでしょう。…いや、この映画を観た人自体そんなにいないかもしれませんけど。
たしかに生放送中に殺人犯と電話で繋がり、犯行現場の音声がラジオ電波に乗ってはいますが・・・決して『殺人』を『ライブ放送』しているとは言い難い。
放送しているのは犯人の気持ち悪い声と、ドックが喚き散らす声と、キャーキャー言う悲鳴。あと電動ノコギリのシャーシャー音のみ。
まぁこれを殺人ライブと呼びたいならば止めはしませんが・・・男がハァハァ言う声と、見ている汁男優が喚き散らす声と、女がキャーキャー言う悲鳴。あと電マのうぃんうぃん音のみ。
それを『AV撮影現場ライブ』と呼べます?いや、それは呼べるか。
とりあえず『映画/スーサイド・ライブ』くらいならばB級認定しても良いとは思うのですが、これで『殺人ライブ』と呼ぶのはちょっとなぁ…。
しかし個人的には邦題よりも許せんのが・・・
どうして吹き替えしかねぇんだよ!!
わたしゃU-Nextで本作品を視聴したのですが、冒頭、女性が車を運転しているシーンで「あれ?なんか吹き替えっぽい音響だな」と違和感。案の定、しゃべり始めてみればやっぱり「日本語」でした。
あれれ?なぜ?字幕に切り替え・・・られない。字幕がないっ!(泣)
吹き替えで洋画を観たのなんて20年ぶり。子供の頃にテレビでやってた洋画以来ですよ。
それにしてもどうして洋画の吹き替えってこんなにイモ臭いのかね(あくまで個人の性癖です)。
邦画はもちろん日本語で十分楽しいし、アニメだって楽しめる。しかし洋画の吹き替えだけは声優特有の芝居じみた話し方が違和感でしかなく、萎えるったらありゃしない。わしゃどんな名作でも吹き替えならば見る価値無しですな(重ねて言いますが個人の性癖です)。
謎解き
・・・というわけで映画本編のお話。
本作はとにかく次々に「謎要素」をぶっ込んでくるため、カウチでポテト喰いながらテキトーなノリで見ていると「ちょ、ま」となる可能性も。
とりあえずネタバレありで時系列を整頓してみますか。
- 1
- ナイトスラッシャーがメリッサ(冒頭、車内で歌っている女性)をSATSUGAI。次にタラ(警官ブリックスの娘)を拉致し、車を奪ってトランクにメリッサを詰める
- 2
- ブリックスのメリッサの尻(サソリのタトゥーと中指)の写真を送り、タラの車が発見されてトランクの遺体を発見。4
それと同時に、同僚の「タラがローズに車を貸したと言っていた」という証言から「これはローズの遺体だな!(本当はメリッサ)」となる。
- 3
- 車の下にあった手首から近くの廃屋へと誘導され、そこには継ぎ接ぎの遺体とメッセージ。それを手掛かりに女性の〇〇〇の中にあった身分証明書を発見。
「この女性はローズじゃない!メリッサだ!!」「じゃあローズって誰やねん!」の流れ。
- 4
- なぜか車内にある文字ブロック。それを使いアナグラムでいじくった結果『狙われているのはスコーピオンの娘だ!!』となる。
やや無理矢理感あり。
- 5
- 急ぎ車を走らせながらラジオを聞くブリックス。
ナイトスラッシャーの言葉にピンときてトランクを確認すると、タラから送られてきた写真はローズの尻。タトゥーはペイント。
ん?つまりナイトスラッシャーがタラの携帯からこの写真を送ってきたということは・・・・拉致されているのはタラかーーー!!!
…というところで一段落ですな。
ここまではポンポンと駆け足で展開されるので、いまいち理解できなくとも着地してくれるので大丈夫。
おそらくタラの車にメリッサを詰め、廃屋近くに停めた時点で、すでにタラはドック・ロックの家に監禁されていたものと思われます。
しかし少々腑に落ちないのは「アナグラムからのスコーピオンのくだり」ですな。結局のところブリックスの勘違いという事なのですが、ミスリードとするにはあまりにも撤回が早すぎる。これはあまり意味がないような…。
ついでに犬も不要な気が。
犯人の行動が・・・
頭のイッてるサイコ野郎の行動を理屈で説明しようというのがそもそも間違いなのですが…
彼は死体を継ぎ接ぎして完成させようとしていたじゃないですか。しかし謎解きの一環として、なぜかそこに警察を誘導。これじゃせっかくの作品が完成を待たずして警察に回収されちゃうじゃないのよ。それでいいのか?
脚本家の『緻密に練りこまれたシナリオを作りたい』という熱意だけは伝わってくるのですが、いかんせん強引すぎる展開と何を言っているのかわからない「おかしな吹き替えのセリフ」のせいで全然入ってこない。
うーむ。無名な洋画にはありがちですが、しっかりと日本語を再構築せずに直訳で文章にしてしまうと『わけわからん会話』になるのよね。洋ゲーでもよくありますな。
ドック・ロックの家だった!?
とにかくどんでん返しを盛り込みすぎな作品ではありますが、最大の山場は「殺人鬼ナイトスラッシャーが犯行をおこなっていたのは、ドック・ロックの自宅だった!」の部分。
奥さんがあまりにも長時間風呂に浸かって音楽聴いていたのも、『物音や悲鳴に気づかなかった理由』という事で成立しています。娘と会話していた端末で…というのも、ちょっとツッコミ感がありつつ悪くない。
さらには娘がすでに手懐けられており、前半に出てくる「チャーリーにもらった」というチョコレートの部分まで回収してくる点は秀逸。
ホント、伏線の張り方はすごく良いのよ。若干腑に落ちない気持ちはあるものの、C級映画としては素晴らしいシナリオではないかと。ただし『あくまでもC級映画としては』ですよ。
超個人的戯言感想
物語の終幕としてはナイトスラッシャーが捕まり、ドック・ロックはタラを乗せて病院へ。
・・と思いきや、ブリックスはナイトスラッシャーの下らない罠にハマってチーン。ふははは、悪は滅びず!でエンドですな。まぁちと混乱しますがC級としてはアリでしょう。
しかしエンドクレジットを少し挟んで、さらにどんでん返しを入れてくるという蛇足感。
ドック・ロックが「レ〇プされている女性を見た」と話していましたが、なんと実はドック自身の犯行でした。それをナイトスラッシャーに目撃されてしまい、今回の事件に巻き込まれた(というか自業自得)・・・という種明かし。
ここの「ドック・ロックの犯行を覗いていたナイトスラッシャー。ドックの娘のくだりの回想」は、それはもう意味不明な吹き替えになっていたので、私の頭では補完できませんでした。
とにかく全体を通して吹き替えがヤバい。後ほど検索したところAmazonPrimeでも吹き替えしか見つかりませんでした。おーい、なんだそりゃ。
ここまで整頓して考察書くのも大変だったんよ。もし勘違いしている部分があれば…
ウンコな吹き替えのせい
ってことでご勘弁を。
しかし洋ゲーにせよクソ吹き替えの洋画にせよ、いつも思うのは・・・
台本を読んでておかしいって思わんの?
ですな。
こういう部分も、吹き替え信者の『日本語吹き替えは声優の演技も楽しめる!』という主張がちゃんちゃらおかしくなってくるんですな。ただ渡された文章を読んでるだけじゃないのよ、と。