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みんな大好きケビン・ベーコンが復讐の鬼と化す『映画/狼の死刑宣告』でネタバレと感想と戯言を。世間での評価は両極端で、ミソクソに貶す人もいれば大絶賛する人もいるという、なんとも感想の書きづらい作品であります。

私ですか?まぁ正直否定のほうで…。

狼の死刑宣告


2007年 アメリカ

キャスト:
ケヴィン・ベーコン
ケリー・プレストン
マット・オリアリー
ギャレット・ヘドランド
アイシャ・タイラー
ジョン・グッドマン
リー・ワネル

監督:ジェームズ・ワン
脚本:イーアン・マッケンジー・ジェファーズ

ネタバレ無しのあらすじ

投資会社の副社長として働くニック(ケヴィン・ベーコン)。

愛する妻、息子二人と共に幸せな生活を送っていた彼だが、ある日長男と立ち寄ったガソリンスタンドにギャングの一団が乱入。長男ブレンダンが殺害されてしまう。

息子を殺した男ジョー(マット・オリアリー)はすぐに逮捕されるが、司法の力では納得のいく判決を得る事は難しく、数年の服役を求刑するのが限界であった。

覚悟を決めたニックは裁判での証言をやめ、自らの手で息子の仇をとることを決断するのだが・・・

キャストで戯言

今回は主演の話が長くなりそうなので、まずはその他から。

息子を殺害するギャングの若者ジョー役はマット・オリアリー

スパイキッズ2&3やダイ・ハード4.0など端役でそれなりに顔を出してはいるものの、おそらく日本では無名かと。『映画/タイムシャッフル』では主演を務めているので彼もしくはタイムループ系が好きな方は一度ご覧あれ。

その兄、ビリー役のギャレット・ヘドランドは『映画/トロン:レガシー』の主演で有名なようですが、わたしゃ見ていないので知りません。

その二人の父親を演じるジョン・グッドマンは代表作を挙げればキリがないほどの有名人なので説明不要ですな。個人的には『映画/10クローバーフィールド・レーン』のキャラがツボです。

さてさてお待ちかね。本作の主演にしてみんなのアイドル、ケヴィン・ベーコンですよ。

熱く踊ってみたり、誠実な兵士だったり、心霊に悩まされる父親だったり・・・実に様々な役柄をこなす名俳優ですが、やはり彼は悪党が良く似合う。しかも大物ではなく、人間味溢れる小悪党を演じさせたら彼の右に出る者はいません。

『最初は順調、ニヤニヤと得意満面』
 ↓
『徐々に旗色が悪くなり、イライラし始める』
 ↓
『ファ〇ク!フ〇ック!を連発』
 ↓
『負け確定なのにめちゃくそ往生際が悪い』
 ↓
『死ぬ』

この流れこそがケヴィン・ベーコンの王道じゃないですか。彼が〇ァック!を連発し始めたら死にフラグ成立です。もはや『ケヴィン・ベーコン映画』という独自のジャンルを築いていると言っても過言ではない。

個人的に最も『ケヴィン・ベーコン映画!』と思えるのは『映画/コール』『映画/コップカー』ですな。


復讐の復讐の復讐

「暴力では何も解決しない」

なーんて言葉もありますが、「何も」は大きな間違い。場合によっては暴力が最も有効な解決策だったりもするのです…が、そこらへんを掘ると面倒臭い人が湧くのでこれ以上言いません。

しかし本作は暴力が暴力を呼び、どうしようもなくなるパターン。息子を殺され、その復讐としてギャングを殺し、その報復で家族を殺され、またまた復讐に・・・という不毛な連鎖でご愁傷様…の流れですな。

しかし『愛する家族を殺された男が、悪党共に復讐する』という手垢のつきすぎたプロットに目新しさはありませんし、展開もあちこちツッコミどころだらけ。肝心のハードボイルド展開もカッコつけすぎて見ていてちょっと恥ずかしい。

頭からっぽで「カッコイイ!」と興奮できる子供や、ジェームズ・ワンという名前だけで全肯定できるような妄信者には良いかもしれませんが、こりゃ賛否両論になるのもわかりますなぁ…。

個人的な戯言感想

…というわけで、ろくに内容にも触れずに今回は終わり。いやホント、合わなかったんですもの。

なにがダメって、個人的には最初から最後まで次男に対する愛情が足りなすぎるのがダメ。「兄さんほどパパに愛されていないと感じていただろう。おまえにはそう見えたかもしれないが…」などと語りだす話も、まるで弟の救いにはなっていない内容。

この『なんだかんだ言い訳しながらも、結局は長男溺愛で弟の事を軽んじている』ってとこでニックに対して同情も応援もできやしない。事件が起きる前からそうだったじゃないですか、この人。

これでは『家族愛のため、わが身を顧みず復讐に身を投じた父親』ではなく『長男を溺愛しすぎて妻や次男を巻き添えにしちゃった自己満親父』ですよ。バカかあんたは、言ってやれよ、「おまえ”も”愛してる」じゃなくて「おまえ”を”愛してる」って。

そこに付けて中学生男子が喜びそうな嘘臭いバイオレンスアクションですからね。

ぶっちゃけ評価できるのはケヴィン・ベーコンの素晴らしい演技と、見ごたえのある長回しのみ。この映画を「まさに復讐映画の完成形」とか言える人の頭は理解できませんなぁ…。

まぁお互い様でしょうけど。