ドッキリのつもりが逆ドッキリ!…な映画『スケア・キャンペーン』で勝手な考察、感想など。結末とネタバレを含むので未鑑賞の方はご注意ください。
約80分、良くも悪くもB級の仕上がりなのでサクッと見流すにも良い作品ですぞ。ちょっとグロいけど。
スケア・キャンペーン
2016年 オーストラリア
キャスト:
ミーガン・ワーナー
イアン・メドウズ
オリヴィア・デヨング
シグリッド・ソーントン
監督:キャメロン・ケアンズ、コリン・ケアンズ
脚本:キャメロン・ケアンズ、コリン・ケアンズ
ネタバレ無しのあらすじ
出演者を心霊現象(インチキ)で驚かせ、その様子を隠し撮りする人気テレビ番組『スケア・キャンペーン』
しかし近年はどんどん過激になる無料配信動画に押されて下火気味。
だったらもっと面白いヤツを作ったるわ!と意気込んで、練りに練った「廃病院ドッキリ」に挑んだものの、事態は予想もしない方向へ・・・
キャストで戯言
オーストラリア映画という事もあり、誰もが知っているような俳優の出演は無し。
しかしある程度以上の映画好きならば見たことがある俳優もちらほら。
主演女優のミーガン・ワーナー…はとりあえずスルーで、むしろこっちが主演じゃないかと思うほど目立っているオリヴィア・デヨング(パッケージのホラー顔)は、あのM・ナイト・シャマラン監督作品『映画/ヴィジット』の主演だった人。
ついでに製作グループリーダーのマーカスを演じるイアン・メドウズは『映画/キリング・グラウンド』でクソの役にも立たない彼氏を演じていた人ですが、よほどのB級映画マニアでないかぎり知らないでしょう。
ネタバレ有りのバレバレ要素
二転三転するストーリーがウリの『映画/スケア・キャンペーン』
ところがどっこい全く予備知識無しで鑑賞したとしても、「そうきたか!」と驚けるのは冒頭の『遺体安置所・警備員ドッキリ』くらい。
ここである程度の流れを理解してしまえば、あとは多少映画に慣れた人ならば全てバレバレと言っても良いほど予想通りの展開が連発。
廃病院の再建(嘘)のため、庭師として応募してきたローハンを騙すという話が…
実はローハンもグルで、エマに対するドッキリだった!
…は準備している段階で怪しさプンプン。ローハンの異常っぷりにうろたえるエマを見た時点で「こりゃそういう事か」と予想できる事でしょう。
そして終盤の大どんでん返しとして用意していたであろう、
実はアビーがマスクフリークスの仲間(スパイ)だった!
…に至っては、エマの件以上にバレバレ。
だってこの人、映画開始30分の段階から「伏線ですよ」的な雰囲気で誰かに連絡していたじゃないの。その後もことあるごとに端末をイジッているし。
マスクフリークスが現れ、「我々の中にスパイが…」の時点で「うん、だろうね」ですよ。
続編・スケアキャンペーン2は?
明確なオチを付けず、余韻を残すような結末だったことから「…で、続編は?あるんでしょ?」と思っている方も多いこの映画。
しかし残念ながら2021年現在、『スケア・キャンペーン2』などの続編は出ていませんし、製作の話も一切ありません。
ぶっちゃけ個人的には、後を引く終わり方ってだけで「続編ありき」と決めつけるほうがどうかしていると思いますけど。
結末の解釈・考察
殺人集団マスクフリークスの正体を明らかにしない点と、物語の結末そのものを鑑賞者にゆだねるような終わり方から、そりゃもうアレコレと解釈が分かれているこの映画。
『マーカスとマスクフリークスは仲間だった』説や、『エマとマスクフリークスが仲間だった』説、はたまた『全てが番組だった』説など…。いやホント、面白いですなぁ。
これはあくまで個人的な解釈ですが、本作は製作者が「厳密な正解」を用意していない作品なのではないかと。鑑賞者に自由な解釈をする”ゆとり”を与えておき、話の裏をアレコレ想像する行為そのものを楽しんでもらいたいのではないでしょうかね。
そもそも綿密な裏設定があったとすればツッコミどころが多すぎるし、理屈で説明できない要素も多すぎる。設定そのものが破綻している部分もありますから。
オカルトホラーでドッキリ!
…と思ったら実は逆ドッキリ!
…のつもりがガチホラーでした!残念!
というひねりの効いたドタバタ三段活用で楽しみ、その後「もしかしてこうなんじゃね?」「いやいやこっちのほうが面白くね?」と想像して楽しんで下さいね、と。
悪く言えば適当で無責任、しかし良く言えばおおらかで気楽な娯楽作品じゃないですか。
この映画で他人の解釈に目くじら立てて反論したり、お顔真っ赤にして持論を主張するほうがアホらしいですぞ。
ちなみに私、この映画の真相に関して『実はヴィッキー(女性上司)がマスクフリークスと取引し、スタッフを売った』と予測していました。アビーが埋められるあたりまで。
数字の取れなくなったスケア・キャンペーンという番組を、単純な打ち切りとするのではなく、『近年頻発している殺人映像事件に巻き込まれた』という形にして話題を集め、最後の最後でスタッフの命と引き換えに視聴率をとって終わらせたのではないか…なんて。
結局そういうオチはありませんでしたけど。
しかし冷静になって見れば、終盤にエマとマーカスの二人が「アビーを!アビーを助けなきゃ!!」と過剰なまでに彼女の身を案じ、一人しか助けられない選択でも「俺はいいから、アビーを生かせ」「ごめんなさい、アビーを選ぶわ」の流れは謎ですな。
そこまで特別扱いされる理由、あった?
個人的な感想戯言
というわけでスケア・キャンペーン、個人的には
前半:楽しめるB級ホラー
後半:チープなグロホラー
結果:細かい事を気にしてはいけないホラー
といった印象。決して高評価ではないものの、だからといって低評価でもない。ぼちぼち楽しめる佳作…といったところですかな。
しかしB級グロホラーに女性が3人も出演しておきながら、お色気要素が一切無いというのもオーストラリア映画らしいですなぁ。これがアメリカだったら無駄におっぱいを晒してくれていたでしょうよ、たぶん。