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「この映画は実話を…」てな触れ込みの作品は多々ありますが、本作もそんなテロップから始まる『映画/リグレッション』、あらすじとどんでん返しのネタバレを含みますので未鑑賞の方はご注意下さい。

リグレッション


2015年 アメリカ

主なキャスト:

イーサン・ホーク
エマ・ワトソン
デヴィッド・シューリス
ローテル・ブリュトー
デヴィッド・デンシック
デイル・ディッキー
アーロン・アシュモア

監督:アレハンドロ・アメナーバル
脚本:アレハンドロ・アメナーバル

ネタバレ無しのあらすじ

1990年ミネソタ州。

刑事であるブルース・ケナー(イーサン・ホーク)は「父親に暴行された」という少女アンジェラ(エマ・ワトソン)の訴えをもとに父親を取り調べる事に。

しかし父親は罪は認めるものの、記憶は一切ないと主張。事件の真相に迫るため、心理学者であるレインズ教授(デヴィッド・シューリス)の協力のもと捜査を進めるケナーだが…やがて彼自身も事件に潜む恐ろしい闇に飲み込まれていくのだった…

・・・といった内容の作品。

実話を基に…

これまた厄介な『この映画は実話を基に…』という表現。

この手のテロップを流されると「ええっ!こんな事件が実際にあったの!?怖いっ!」と、『細かいトコまで全てが実話』と勘違いする方も多々おりますが…決してそういうわけではありません。

もちろん一部脚色を混ぜたうえで限りなく実話に沿って作られた作品(『映画/コンプライアンス』など…)もありますが、多くは『実際にあった事件からアイデアを思いついた』という話(『映画/P2』など…)であり、登場人物も事件の詳細もどんでん返しも創作です。

本作でもしっかりと『この映画は実話から着想を得て…』と言っていますので、あくまでも「Real events」(実際に起きた出来事)に「inspired」(触発された)という話。

「悪魔崇拝が社会問題となっていた」「退行催眠は記憶の捏造を生み出すという結論に至った」という事、そして「類似の事件があった」という事は事実ですが、その「類似」ってのがドコまで映画と同じかは定かではありません。

キャストで戯言

さぁみんな大好き、私も大好きイーサン・ホークのご登場です。

親しみやすい爽やかイケメンから始まり、徐々に私生活も含めてズルズルと堕ち始め、今ではすっかり哀愁漂う役がハマる彼ですが…本作はもう片足ツッコんできている頃ですな。

そしてヒロイン役はハーマイオニーでお馴染みのエマ・ワトソン

たしかに美人だとは思うのですが…登場した瞬間に「おいおい、17歳の役って苦しすぎない!?」と感じませんか…(汗)

ただでさえアチラの女性は老けて……おっと失礼、大人びて見えるのに、いくら若く見えるエマ・ワトソンとはいえ…どう頑張っても17歳の少女には見えませんなぁ(映画公開時で彼女は25歳)

彼らを「二大有名俳優共演」として注目を集める本作ですが、脇にもしっかり通なキャストを配置していますよ。

レインズ教授役にデヴィッド・シューリス。ハリー・ポッターシリーズにも出演しマトモな役柄を演じていましたが…彼はクズで胡散臭い役のほうが似合いますな。

エマ・ワトソンの父親役には「見た目は悪いが素晴らしい演技派」デヴィッド・デンシックです。彼を見ていると「ああ…ハゲてきてるのに中途半端に髪を伸ばすのはみっともないんだな…」と良い教訓になりますな。


ここからネタバレを含むよ!!

ネタバレ戯言

さてさて…どこから話をすれば良いのか…。

内容をものすごくざっくり言ってしまうと『悪魔崇拝』をテーマに町に渦巻く黒い陰謀を追っていき、それらを『夢オチ』でうやむやにした末に、『やっぱり人間のほうが怖いね。そして思い込みってホント怖いね』で終わる…という流れになります。

ネタバレに踏み込んでしまえば結局のところ『父親に暴行された』というのはアンジェラの狂言。

  • アルコール依存の父親のせいで荒んだ生活を送る事になり、彼と祖母など死んだ母親以外の家族を憎んでいる。
  • ジョージ(同僚刑事)とは男女の関係にあり、彼と駆け落ちして現状から抜け出そうとしたが…断られて逆恨み。
  • 世間で話題になっている『悪魔崇拝』のネタを絡めて作り話。みんな地獄に落ちやがれこの野郎、私は被害者として人生を変えてやるっ。
  • ケナー刑事は信じて味方をしてくれているので利用しちゃおう。

…というわけです。生い立ちは可哀そうですが嘘つきクソ女ですな。

しかしココ、どうして途中に「無言電話をかけるアンジェラ」を挟んでしまったんでしょう。あれは無いほうが良かった気がするんですけど…。

私はかなり早い段階(アンジェラが逆十字の傷を見せたあたり)で「あー、コレはアンジェラがクロってオチだよね…」と予測がついてしまったので、なおさらあのネタバレ演出は萎えました。

とにかく全体的に複雑な話でありながら見せ方が下手だったり回収が不親切だったりするため、さらーっと流し観ると「アレってどういう事だったの?」という疑問が残る方もいるかと。

んな事説明されるまでもないよ、という方も多いと思いますが…老婆心にて三点だけ。

『なぜ父親は罪を認めているの?』
⇒信仰にドハマりした父親なりの贖罪行為。

『ケナーを尾行していた二人組は?』
⇒キャリアに傷がついた事を恨むジョージと、ケナーに反感を持っていたファレル(同僚)の二人。後にケナー宅にて襲撃するも返り討ち。

『何度も出てくるオバちゃんは…看板?』
⇒インスタントスープのイメージキャラクター。物語前半にケナーもこのオバちゃんが印刷された袋を破ってスープを作っている…という伏線が。

父親に関しては開始から終了に至るまで一貫して『改心後の姿』しか見れないため、ちょっとだけアンジェラの動機付けが弱い気もします。回想などで『強く憎まれても仕方ないような姿』を見せればもう少し感情移入しやすかったかもしれません。

『スープオバちゃんの伏線』に関してはかなり気付きづらいですが、「え?なぜあの袋に書かれていたオバちゃんが出てくるの?あの人も悪魔崇拝者?」と変な疑問を感じる事ができて好きでした。

超個人的な戯言感想

なんでしょう、物語の大筋は決して悪くないんです。悪くはないんですが…やはりもう少し上手な見せ方ができたのではないかな…と。

せっかく話のボリュームは厚いのに表現がイマイチで「余計な要素」と感じる部分も多い気が。あくまでも私個人の感想ですけどね。

なお本作の監督・脚本は、隠れた名作『映画/アザーズ』でも監督・脚本を務めたアレハンドロ・アメナーバル。あっちはかなり斬新で面白いと感じました。

まぁなにはともあれ『思い込み』って怖いですな。

退行催眠によって見る映像も『自分(と周囲からの影響)による思い込み』による捏造、ケナーの悪夢も『悪魔崇拝者が実在し、自分も狙われているという思い込み』から、スープオバちゃんまで登場する謎体験に発展しましたし。

さらにはアンジェラのように嘘が広がりすぎて収集がつかなくなった場合に『自分がついた嘘を、自分自身真実であると思い込む』ってのは現実でもよくある話です。

心霊よりも悪魔よりも、本当に怖いのは人間の心…って事でよろしいのではないかと。

しかしそんな事よりも気になるのは『ケナーの悪夢に出てきた、絶品ナイスボディ女性の尻といやらしい腰の動き』なわけですよ、私としては。一瞬でしたけどね…。