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今回はノオミ・ラパスが一人七役を演じるというキテレツ作品、『映画/セブン・シスターズ』でネタバレを含む戯言(独自考察と7人の特徴説明付き)です。

正直「一人で七役」という部分に嫌な予感がしていたのですが…いやいや面白いじゃないですか。予想以上にしっかり観れますし、ぐちゃぐちゃ感もありません。

あれれ、これはなかなかの映画ですよっ。

セブン・シスターズ
(原題:What Happened to Monday)


2017年 イギリス・アメリカ・フランス・ベルギー合作

主なキャスト:

ノオミ・ラパス(x7)
グレン・クローズ
ウィレム・デフォー

監督:トミー・ウィルコラ
脚本:マックス・ボトキン、ケリー・ウィリアムソン

ネタバレ無しのあらすじ

世界的な人口増加による食糧不足により、厳格な一人っ子政策が敷かれた近未来。

子供は各家庭一人までとされ、二人目以降は児童分配局(CAB)により強制的に冷凍睡眠処理を施されていた。

そんな中、とある病院で七つ子の姉妹が誕生する。

祖父(ウィレム・デフォー)によって引き取られた七人はそれぞれ曜日の名前をつけられ、週の1日だけ「カレン・セットマン」という共通の人格を演じる事で、30年間児童分配局の目を逃れて生きていた。

しかし、とあるきっかけから姉妹の日常は狂い始めていくのだった・・・

・・・といった内容の作品。

キャストと邦題で戯言

本作で一人七役を務めるのは、『映画/ドラゴンタトゥーの女』シリーズで有名なノオミ・ラパス

「もっと美人な女優さんなら…」と思った諸兄は多いことでしょう。ええ、私も最初はそう思いました。

しかし作品を観ていくと、やはりノオミ・ラパスの底力は恐るべし。『同じ顔で性格の違う七人を演じる』という難しい役どころでありながらも、しっかりと良い仕事をしてくれているじゃないですか。

少々わざとらしい感はあるものの、しっかり喋り方や表情でそれぞれの性格を表現しており、ちょっと慣れれば髪型が同じであっても「あ、こっちは火曜か」と見ていて区別がつくという。こりゃスゴい。

たしかに美人さや可愛さは劣る(失礼)かもしれませんが、じゃあ誰が良かった?と聞かれても、この役柄を彼女のようにやれる女優はすぐには思いつきません。

そして邦題の『セブン・シスターズ』

そのまんま直球、ひねり無しのタイトルで特に悪いとは思わないのですが、原題の『What Happened to Monday(月曜に何が起こったのか)』があまりにも素晴らしすぎるために、目立たない英語サブタイトルとするには非常にもったいない気がします。

だからと言って『映画/月曜に何が起こったのか』ではちょっとアレですし、そのままカタカナ英語にしてもセンスがない。

じゃあサブタイトルとして『映画/セブン・シスターズ -月曜に何が起こったのか-』というのもイモ臭い(笑)

うーむ、難しいですね日本語って。

七人の特徴と性格

同じ顔で七人かー、こりゃわけわからん絵ヅラになるんだろうなぁ・・・という当初の心配をよそに、わりと早い段階でキャラの区別がつくようになります。とりあえず特徴で分けてみましょう。

注)文中での七人の名前はサンデー、マンデーとカタカナにせず、日曜、月曜と日本語表記で統一します。

月曜
黒髪・ややロング。日曜と見た目が紛らわしい。
一番重っ苦しい性格。そりゃ毎回月曜日を担当してりゃ、そうなるよね。

火曜
茶髪・くねくね。七人の中で一番女の子らしい感じ。
個人的には七人の中で一番好き。

水曜
セミロング。いつも身体を鍛えている肉体派。
そんなにトレーニングばかりしていたら、体型が他の六人と変わってしまうのでは…。

木曜
ショートヘアー。「ドラゴンタトゥーの女」のリスベット風味。子供時代に脱走して指先を失ったために、みんなで指先を切断する原因を作った張本人。七人の中で一番の武闘派に見えるものの、残念ながら彼女はファッションアウトロー。真の武闘派は水曜でした。

金曜
ヘアバンドとメガネ。お勉強っ子。
頭を使う事は彼女担当。どこにでも一人はいるよね、こういうキャラ。

土曜
金髪。見た目がわかりやすいので、おそらく鑑賞者が一番最初に見分けがつくようになる人。
典型的ビッチキャラなのに…実はピュアというギャップ萌えさん。

日曜
黒髪・ややロング。月曜と見た目が紛らわしい。
これといって尖った特徴のない、普通の人。


ここからネタバレを含むよ!

七人で一人

見始めのあたりはやっぱり「七人それぞれが曜日を担当」って事に、あれこれ考えちゃいますよね。

普通に日曜日が休みの仕事に従事してしまうと、土曜はいつも「呑んできたー」とか、日曜は「お茶してきたー」とかになってしまいそうですな(笑)

そりゃ月曜日は仕事の始まりで憂鬱な日だもの、ああいうキャラにもなっちゃうよ。

・・・と考えると、しっかり「その曜日」に即した性格に成長していってるんですよね。おお、練ってあるなぁ。

そうやって彼女達は全員で「カレン・セットマン」という人間を演じているわけですが、これがまた大変そうなのですよ。

毎朝の容貌合わせだったり・・・体験のすり合わせだったり・・・それはもうウンザリするような努力の果てに生活を維持しています。

ですので「一人が事故で指を失ってしまったら、全員指カット」です。これ、『映画/プレステージ』を思い出しました。

もちろんガチな視点で考えたらアレとかコレとか無理が出てくる話ですので、あくまでも映画…という設定なのですが、それでもかなりリアルな方向で話を作ってくれています。

グイグイくる展開に・・・

作品全体を通してみると、わりと「予想通り」という展開が続くので、驚愕のどんでん返し感は薄い映画なのですが・・・それでもグイグイと物語に引き込むパワーがありました。

個人的には、資金操作の話が出たあたりが一番きてます。

なぬっ、資金操作でケイマンと繋がっていて・・・え?ケイマンって、あの児童分配法のオバちゃんだよね?って事は・・・七人の中に裏切者がいるのか!?

明らかに怪しいのは月曜なのですが、火曜が追い詰められて「お金をどうのこうの…」と言ったのに対し、ケイマンが「前の子もそう言っていた」と言っていた事から…てっきり月曜は殺されたのかと。

いったい月曜に何があったんだ・・・はっ!!

だから「What Happened to Monday」かっ!!

ここにきてタイトルの秀逸さに感服致しました。

月曜(曜日として)に何が起こったのかという謎と、月曜(人の名として)に何が起こったのかという謎・・・その両方に掛けてのタイトルだったんですね。これはやはり何がなんでも邦題に組み込んで欲しかったところです。

終盤も比較的普通なのに…

終盤の展開も変わらず「予想の範囲内」の出来事が多い感じはします。

児童分配局による子供たちの冷凍保存は実は焼却処分だった・・・というのも、一番最初の時点で予想できる展開ではあります。単純に一人っ子政策だけならまだしも、遺伝子組み換え作物の影響で五つ子やら六つ子やらがポンポン産まれているってのに、ドコにそんなに大量の冷凍児童を保存しておく場所があるというのよ。

トイレで繰り広げる「月曜vs木曜」の戦いも、最終的にどちらが勝ったかはボカしておきつつ・・・やはり勝っていたのは木曜でした。ここ、月曜だったらインパクトあったんですけどねぇ。

それよりなにより、せっかくのキャットファイトなのに「ノオミ・ラパス」で、しかも「変な服装」だったことが非常に残念です。興奮もクソもありませんでした(笑)

その後の結末も決して驚愕とはいえませんが、それでも「つまんねー」と感じるわけではなく、すっきりと楽しめた感じです。

しっかし技術の進歩はスゴいですね。

昔は「一人二役」だと、どこか不自然さがあるのが当たり前だったのですが・・・この作品はかなり自然に見る事ができますもの。

そのへんはノオミ・ラパスの演技力も影響しているのでしょう。やはり良い女優さんです。顔はブサ・・・ゴホンッ、えーと、ちょっと個性的なルックスですけど。

一人が一番

いやーしかし、七人で各曜日を担当して一人の人生を・・・ですか。

これじゃ「なんのために生きているのかわからない」と言いたくなるのもわかります。

こんなクソみたいな人生で長生きするなら、生まれてすぐに処分されたほうが幸せだろう・・・と、私も思います。

それでもウィレム・デフォー演じる祖父の「それでも全員生きて欲しい」という気持ちは痛いほど強く伝わってきました。彼のエゴのせいで七人がつらい人生を送る事になっているとも言えるのですが、ひどい不条理さは感じません。

うーむ。

もし私が「七人で各曜日を担当して生きる」としたら、どうだったのでしょう・・・。

幸い曜日は全く関係ない仕事ですので、そのへんの不平等さはなかったと思いますが・・・あ、ダメだ。月曜と木曜はカミさんが休みなので、その二人だけ大変です。

いや、待てよ。もし七人のうち一人に「変態スカトロマニア」とかがいたら、いったいどうすれば良いのでしょうか。私の兄弟だったら混ざりかねません。

身に覚えのない女にウ〇コをスプーンに乗せられて「あーん♪」とか言われちゃったりするかもしれないんですよ!?

しかも「このあいだは喜んで食べてたじゃん♪」とか言われるんですよ!?もう帰宅後の殴り合いは不可避ですな。

ああよかった・・・一人で。