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今回は現代版『フランケンシュタイン』とも言える『映画/フランケンシュタイン アダム・ザ・モンスター』のネタバレ含む感想になります。

不遇のイケメン・ゼイヴィア・サミュエルが体当たり演技を見せてくれる、切なくも悲しい作品なのですが…

フランケンシュタイン
アダム・ザ・モンスター


2015年 アメリカ

主なキャスト:

ゼイヴィア・サミュエル
キャリー=アン・モス
ダニー・ヒューストン
トニー・トッド
マヤ・アースキン
マッケナ・グレイス

監督:バーナード・ローズ
脚本:バーナード・ローズ

ネタバレ無しのあらすじ

ヴィクター博士夫妻は現代科学を用い、秘密裏に人造人間(ゼイヴィア・サミュエル)を生み出す事に成功する。

しかしその後の成長に問題が生じ、やむなく殺処分する事を決意。薬品投与によってその命を終わらせた…かに見えたのだが、驚異的な生命力により再び息を吹き返し、施設から脱走。

初めて目にする人間社会に困惑しつつも、急速に自我を成長させていく人造人間。

愛を求めつつ、警察に追われる身となってしまった彼が行きつく先は…

・・・といった内容で救いのない作品。

キャストで戯言

なにはなくともゼイヴィア・サミュエル。もう彼を見る為だけにこの映画をチョイスしましたから。

非常に美形な顔立ちでありながら『映画/ラブド・ワンズ』では変態親子にボコボコにされ、『映画/インサイド・ミー』では網タイツ履いたナルシスト殺人鬼(しかもバイセクシャル)を演じ…と、そのルックスに甘んじない体当たり演技が魅力的です。

さらに本作では恐怖の『ミルワーム喰い&ゴキ〇リ喰い』まで披露する始末(泣)

もっとキュンキュン甘い作品も似合うであろうに、どうしてこんな役柄ばかりなのでしょう…。顔は良いのに変な役ばかりオファーが来る「アチラ版・藤原竜也」みたいな俳優です。

彼以外にもキャリー・アン=モスダニー・ヒューストンと大物が顔を揃えています。

ついでに…ちょろっとしか出てきませんが、湖に落とされるクソ可愛い女の子はマッケナ・グレイスという子役です。


ここからネタバレを含むよ!!

秀逸なテーマに陳腐な脚本

注)人造人間は当初「モンスター」と呼ばれながら、最終的に「アダム」の名を受けました。邦題では盛大にネタバレして残念な事になっていますが、記事中では呼称を「アダム」と統一させていただきます。

何も知らない無垢な存在として生み出され、赤子の純粋さと残酷さを兼ね備えた存在のアダム。

科学者の勝手な都合で殺処分とされ、さらに住人や警官からも不当な扱いを受け、初めての友達である犬を殺され…。

母の愛を求めても、これまた身勝手な保身で救ってもらえず。「愛がもらえないなら恐怖に落としてやる」と決意するも、心優しいアダムはやはり悪魔にはなれず。

もうとにかく救いのない展開に、見ていて胸は痛くなるばかり。

現代版・フランケンシュタインとして「怪物として生まれてしまった苦悩」を描けている部分もあるのですが…ちょっと何かが足りない気も。

モチーフやテーマはとても良いし、アプローチの方向も悪くなく、表現したい事もわかるのですが…残念ながら脚本がチープすぎてイロイロと追いついていない印象がありました。ここが非常に惜しい。

ゼイヴィア・サミュエルの演技には引き込まれてしまいましたし、もっと上手な方(といったら失礼ですが)が作り上げたら、それはもう素晴らしく悲しい物語になったのではないかと。

「じゃあオマエが作ってみろよ!」と言われてしまえば、私は映画なんぞ作れませんから何も言えないんですけどね。あくまでも鑑賞者としての感想です。

戯言

ホラー映画を選んでしまったかと錯覚するような「えげつないゴア描写」を序盤にぶっこみ、さらに「生きた虫喰い」で追い打ちをかけてくる前半部はもう、私もきゃーきゃー言いながら目を背けてしまいました(笑)

そして犬は反則でしょう。なんの罪もない人間が不条理に殺されるのはぜんぜんへっちゃらなのに、犬は無理です。すぐに「なんか頭デカくない?」と、作り物感バリバリのぬいぐるみに変わってましたけど。

ところが、グイグイ引き込まれたのはそのへんまで。先ほども書きましたが、とにかく脚本に無理があるうえに見せ方も下手で、ちょいちょい冷めてしまうのが残念なところです。

スマホで偶然ナビが起動…は100歩譲って許すとして、ドコに案内されるのかと思ったら…え?自宅!?あんた自宅の住所晒してんの!?

…と思ったら、どうやら自宅兼研究所でした(笑)

惜しい…

とにかく惜しい。非常に惜しい。

もっとしっかりと練られた脚本、魅せる演出で本作を見てみたかった…というのが正直な感想です。

俳優は豪華で各々の演技も素晴らしいのですが、口から出てくるセリフと行動が安っぽいと「無駄遣い感」が漂ってしまいます。

うーむ…ダメではないが、良くもない。なんとも評価に迷う映画でした。