注)当記事は『映画/アンチヴァイラル』のあらすじ・ネタバレ・感想を含みます。未鑑賞の方はご注意下さい。
今回の1本は設定を理解するのに少々時間がかかるうえに、理解できてからも納得するのに時間がかかる。そんな「いいのか!?それでいいのか!?」が最後まで続くアレな映画『アンチヴァイラル』です。
わけのわからん世界観ではありますが、出演俳優を含めて個人的に好きな作品ですな。
アンチヴァイラル
(原題:ANTIVIRAL)
2012年 アメリカ
主なキャスト:
ケイレブ・ランドリー・ジョーンズ
サラ・ガドン
マルコム・マクダウェル
ダグラス・スミス
監督:ブランドン・クローネンバーグ
脚本:ブランドン・クローネンバーグ
ネタバレ含まないあらすじ
あまりにもセレブが好きすぎて「ああ!彼の病気を私にうつして欲しい!」「ああ!あのコの細胞を培養した肉が食べたい!」という、おまえら頭大丈夫か的な人間で溢れる近未来。
『セレブから採取したウイルスをマニアなファンに注射する』という、意味のわからないクリニックで働くシド(ケイレブ・ランドリー・ジョーンズ)は、自ら感染して持ち出すという荒業を使用してウイルスの横流しに手を染めていた。
絶大な人気を誇るセレブ、ハンナ(サラ・ガドン)のウイルスを回収する事になったシドは、その血も自らに注射。しかしそこから徐々に彼の歯車は狂っていくのだった・・・・
・・・といった内容から、もうイロイロとアレすぎて困惑な作品。
価値観は人それぞれ・・・
私自身、自他共に認めるド変態ゆえ、価値観の違いにはかなり寛容なタイプです。
いろいろな考え方・趣味嗜好があって当然。誰かの常識は誰かの非常識。自分の価値観を他人に強要せず、他人の価値観もどうでも良い。…そういうモットーで生きております。
そんな主義の私としても、このアンチヴァイラルは「いやいやいや!無い!それは無い!」と叫んでしまうほどのワンダー設定。
憧れの人の病気を伝染させられたい!?そして憧れの人の細胞を培養した肉を喰いたい!?!?
大丈夫かおまえら。本当にそれで良いのか。
もはや新手の変態プレイじゃないかとすら感じますな。
しかし・・・・よくよく考えてみれば、『愛』というものは往々にして『変態プレイ』に発展するものじゃないですか。
例:
『とある男子の愛の物語』
- 変態の誕生
- 憧れのあの子のリコーダーを、放課後こっそり舐める。
- 変態の成長
- こっそり僕の股間にこすりつけた教科書を読んでいるあの子を見ていると、なんかムズムズする。
- 変態の覚醒
- 昨日、水泳部の女子更衣室に忍び込んで手に入れた、あの子のパンツを履いて今日は登校してみた。もちろんブラも着けている。ちょっとキツいが、心は高揚している。
- 変態の終焉
- 僕はこれから自宅で1人、彼女の下着に身を包み、彼女が捨てた割りばしを使って、彼女が捨てた『鼻をかんだティッシュ』を食べようと思う。
ティッシュを箸でつかみ、あーん・・・となったところを部屋に入ってきた母親に見られ、その夜は家族会議。両親と妹に吐くまで責められる。
どうやら来月転校させられるらしい。
蛙の子は蛙
えーと・・・上の変態フローを書くのに1時間近くかかったため、何を書いていたのかわからなくなってしまいました。
なんの話でしたっけ・・・ああ、『映画/アンチヴァイラル』の話でした。
とにかく世界観が「どんな頭をしてればこういう発想ができるのか」と感心してしまうほどのブッ飛びっぷりの連続。芸術的を通り越して意味不明にすら感じる演出も目白押し。
さすが奇才デヴィッド・クローネンバーグの息子、ブランドン・クローネンバーグ監督作品ですな。長編デビュー作だというのに父親譲りの変態性を発揮する彼の将来は実に心配。
ケイレブ・ランドリー・ジョーンズの怪演もまた作品のグロテスクさを増していて素晴らしい。彼、ソバカスというかシミというか・・失礼な言い方をすれば「すごく肌が汚い」のですが、それもまた上手い具合に謎の病に侵されている感が出ていてグッド。
ちょっと目を離すと、すぐ変態方向に
シドは最終的に、ライバルであったテッサー社の女社長(ウェンディ・クルーソン)と契約し、右腕として手腕を振るう事になりました。
それまでが予想だにしない展開なだけに、このどんでん返しは実に正統派すぎてちょっと拍子抜けするほどですな。
・・・が、そう思ったのもつかの間。
シドはハンナの培養装置についた『腕のような手すり』をメスで切り、にじむ血を舐めながら至福の時に浸るのでした・・。
いやー、しっかり最後の最後までド変態で安心しました。
まぁサラ・ガドンの肉なら食ってみたい気もするけど。