映画『アイム・ノット・シリアルキラー』老人の正体は?

やられました。先入観って怖いですね。てっきりこの「映画/アイム・ノット・シリアルキラー」はサイコな殺人者の話だと思ったのですが・・・まさかそっち方向の映画だったとは。

「映画/ドリームキャッチャー」を初めて観た時のような衝撃を受けた作品です。良い意味でも悪い意味でも(笑)

アイム・ノット・シリアルキラー
(原題:I am not a serial killer)


2016年 アイルランド・イギリス合作

主なキャスト:

マックス・レコーズ
クリストファー・ロイド
ローラ・フレイザー

監督:ビリー・オブライエン
脚本:ビリー・オブライエン、クリストファー・ハイド

ネタバレ無しのあらすじ

田舎町で葬儀屋を営む家に生まれ育ったジョン(マックス・レコーズ)は、その異常なまでの死体や殺人に対する興味から、ソシオパス(社会病疾者)と診断されていた。

その性格から学校にも馴染めず、家族ともギクシャクした関係を送っていたジョン。

そんななか、町で猟奇連続殺人が発生し、ジョンは自ら調査へ乗り出すのだが・・・

・・・といった内容の作品。

まずはギリギリでネタバレを含まない話から!

予備知識無しでタイトルから・・・

私がこの映画を観る前に知っていた情報は・・・

「猟奇殺人犯を、ソシオパスの少年が独自に追い詰める作品」

といった感じでした。

てっきりソシオパスならではの、頭のイッちゃってる思考を駆使した「ヤバい犯人(殺人経験済み)VSヤバい少年(殺人未経験)」という、どっちが猟奇なのかわからないようなサイコな映画を期待していたのですが・・・

その予想ははるか斜め上方向で裏切られる事となります。

冒頭でも書きましたが「映画/ドリームキャッチャー」もそういう映画でしたね。賛否両論ある作品ですが、私は大好きでした。

変人は孤独だよね・・

基本的に物語全般を通して、ジョンには理解者がいません。。。

校長からも「普通の人に比べて・・・」なんて反吐が出るような言葉で評価されてしまいます。

母親はジョンの事を愛し、話をしようとはしてくれているのですが・・・やはりジョンを「周りとは違う」と区別したうえでの理解です。そんなもんは理解とは呼ばん!・・・と、変人仲間としては感じます。

どうして子供の頃って、親からも教師からも「周囲と同じように」を強要されるんでしょうね。協調性と個性は全く別の話だと思うのですが・・。

理解者であるべきセラピストも、いまいちジョンの味方といった感じがしません。「キミはおかしい」という態度が伝わってきます。それってセラピストとしてどうなんでしょう。

作品中でジョンが「道路を渡る女性が・・」といった下りの話をしたときも、まるで理解できていない顔。

おいおい、ジョンが言いたいこと、なんでわからないのさっ!すごく興味を惹かれる話だろうよっ。

おまえはだたのノーマルさんかっ!!

セラピスト、やめたほうが良いです、この人(笑)

ここからネタバレを含むよ!!

猟奇でもサイコでもありません!

おそらくこの映画を予備知識無しで観た方の8割が、目をゴシゴシしたであろう部分。

思わず巻き戻しをしたくなったであろう部分。

近所の爺ちゃんと「露骨に怪しい男」が釣りに行き・・・あ!怪しい男が刃物を!爺ちゃん危ないっ!!からの・・・

くるっ・・・ズシャッ!!!(手から伸びる何かで「露骨に怪しい男」を殺害)

・・・ですよ。

ん?ん?そういう話!?リアル系サスペンスではなく、モンスター系映画だったの!?(笑)

これはかなりの衝撃でした。完全に予想外。

しかも「良い意味で裏切られた!」という爽快感ではなく「だまされた!」に近い感覚。

めっちゃ可愛い子と飲み屋で知り合って、そのままホテルへ。シャワーを浴びて出てきた彼女の股間には・・・あれ?僕と同じモノが付いてるよ?・・・みたいな気分です。

言ってよ!そうならそうだと、最初に言ってよ!!(泣)

まぁ顔はすごく可愛いし、とりあえずここまできちゃったし・・・仕方ない、行くとこまでいってみるか・・・。

そんな感じですよ。ここまで観ちゃったし、最後まで観とくか・・・・です。

たしかにシリアルキラーではない

そこからが本番というか・・人間ではない爺ちゃんと、ソシオパスのジョンの駆け引きを楽しむストーリーが展開されるのですが・・・そこはまぁ置いといて。

いろいろ見どころもあるのですが、過剰に内容を書き並べるのもアレですので置いときます。

結局のところ、連続猟奇殺人犯は「人間ではない生物」で、爺ちゃんの姿を使って「臓器やパーツを奪うため」に殺人を犯していました。自分が生き永らえるために。

当初、作品タイトルは「アイム・ノット・シリアルキラー(僕は連続殺人犯ではない)」で、ジョンの事を表しているのかと思ったのですが、それだけの意味ではなかったのですね。

爺ちゃんも「アイム・ノット・シリアルキラー」だったのです。

決して快楽のための殺人ではない。そこにあるのは「愛する妻との時間」のための殺人。もちろん自己中心的であることに変わりはありませんが、薄っぺらい猟奇殺人犯ではありませんでした。

めっちゃ手伝うお母さん(笑)

物語ラストの展開は、ちょっと笑いが出てしまいました。

だってものすごく手伝うんですもの、お母さんが(笑)

たしかに爺ちゃんに襲われたし、なんか人間じゃないっぽいのはわかっているのでしょうが・・・

母「警察を呼ばないと!」
ジョン「警察はダメだ!殺されるから!」
母「わかった!縛れば良いのね!?」

ってなります?(笑)

なお、作品最初にも出てきた「ピンクの液体を入れる装置」は、一方から血液を抜いて、もう一方から防腐剤を入れていく装置です。色がピンク色をしているのは、ご遺体の肌を血色良く見せるためだそうです。

で、爺ちゃんの正体は?

最後にその正体を現す「人間ではない何か」。

その造形から「エイリアン」と解釈している方がほとんどのようです。

・・・が、私はそうではなく「悪魔」だと思います。

大きい理由は2つ。

最後に爺ちゃんの奥さんが、彼の想いでを語るシーン。

彼が台所で言った言葉は「愛してる。天国と地獄の何よりも」だったそうです。字幕や翻訳によってニュアンスが違う場合があるかもしれませんが「天国」と「地獄」は含まれています。

もしも正体がエイリアンならば「全宇宙の何よりも」といったセリフのほうが相応しいのではないでしょうか。

もちろんエイリアンが「天国」と「地獄」という言葉を選んだとしてもおかしくはないのですが、ここに至るまでの話の流れや彼のセリフからも、「エイリアン」ではなく「悪魔」のほうが適切だと感じました。悪魔として違和感があるのは、最後に見せるそのルックスだけです。

しかしこの見た目だけで判断して「正体はエイリアンだね」では、せっかくの映画がもったいない。

もう1つの理由は大したことないのですが・・・彼に防腐剤を注入する際に明かりが点滅した「超常現象」です。

映画的な演出として使われているので「確固たる証拠」といったほどではありませんが、悪魔モノってこういう現象多いじゃないですか(笑)

思ったよりも悪くなく・・・

一連の連続殺人も、セラピストの死体も、爺ちゃんの失踪も、全て法的な解決を迎える事なく「謎の事件」的な扱いで終わります。無能だな・・・警察。

ジョンがセラピストの死体を隠すところは「おいおい!これじゃおまえが犯人になっちゃうよ!!」と心配したのですが、警察はまるでわかっていないようです。それ以外にもかなり危険な行動ばかりとっているのですが・・・指紋すら取っていないのでしょう(笑)

なにはともあれ、この「映画/アイム・ノット・シリアルキラー」。ものすごく面白かった!!とは言い難い映画でしたが、クソ映画だった!というほどでもありません。

ジョン役であるマックス・レコーズが気になる方は「映画/かいじゅうたちのいるところ」も観てみましょう(笑)

可愛い子供時代のマックス・レコーズが観れる映画はこれだ!!

ついでの余談ですが・・・この作品はデジタル撮影ではなく、16mmフィルムを使用して撮影されたそうです。

そして爺ちゃん(クローリー)が「映画/バック・トゥ・ザ・フューチャー」シリーズのドクだって気づきましたか?私は全然気づきませんでした。

・・・というか、バック・トゥ・ザ・フューチャーは1本も観たことありません!(笑)