【当ページには広告が含まれています】

罪もない人間を巻き込むテロ行為、ダメ。ゼッタイ。そんなメッセージが伝わる『映画/ブローン・アパート』でネタバレ戯言を。…というかテロ行為に対するメッセージ性ばかりが強すぎて、「映画」としてはショボボンな気が…。

ブローン・アパート
原題:Incendiary


2008年 イギリス

主なキャスト:

ミシェル・ウィリアムズ
ユアン・マクレガー
マシュー・マクファディン
ニコラス・グリーヴス
シドニー・ジョンストン

監督:シャロン・マグアイア
脚本:シャロン・マグアイア

原作はクリス・クリーヴの小説『息子を奪ったあなたへ』

ネタバレ無しのあらすじ

警察の爆弾処理班として働く夫(ニコラス・グリーヴス)と4歳の息子(シドニー・ジョンストン)と共に、低所得者層の集合住宅で暮らす母(ミシェル・ウィリアムズ)。夫との仲は冷え切っていたが、最愛の息子だけが彼女の心の支えであった。

ある晩、パブで新聞記者ジャスパー(ユアン・マクレガー)と出会った彼女は、心の寂しさから一晩だけの関係を結んでしまう。

一夜の過ちを後悔するも、夫と息子がサッカー観戦に行った直後に偶然ジャスパーと再会。

彼に押し切られる形でアパートへと招き、お洋服を脱ぎ脱ぎして再び情事に……って、スタジアム爆発したっ!!

何これ、テロ?爆弾テロ!?私の可愛い息子は!!??(夫のことは全く心配していない)

・・・という内容の作品。

キャストで戯言

ユアン・マクレガーも好きではあるのですが、それよりも本作チョイスの目的はミシェル・ウィリアムズ

なんでしょうね、このちょっと歪な美人感と不思議感がたまりませんな。それと寝ぼけたような目も。ついでにヒドいガニ股も。

あのヒース・レジャーと一時期婚約関係にあり、娘まで出産しているというのは最近知りました…(出産後に婚約は解消)

本作では「あまり裕福ではない家庭」という役どころなのですが、彼女はどうも金持ちっぽい雰囲気が漂っているので貧乏感が感じられず。

しかし気前よくおっぱいを晒し、生々しい絡みを見せてくれますぞ。ご馳走様です。

前半は映画

冷えた夫婦関係、しかし息子は溺愛…というありがちな設定で始まり、寂しさを紛らわすためにパブで知り合った男と関係してしまうという、これまたありがちな展開。

それを後悔し「もうやらん」と思いつつも、やっぱりまたしてしまう…というのもよくある話。

…が、その最中。腰を振る男が絶頂に達すると同時にスタジアムが大爆発するという、前代未聞の事件が発生(笑)

『浮気、しかも行為の真っ最中に最愛の息子が死んでしまう』という、重すぎる十字架を背負ってしまった母の物語が始まるわけです。

軽いノリのヤリチン野郎かと思っていたジャスパーは意外に誠実で一生懸命に彼女を支えようと頑張り…それと同時に夫レニーの同僚、テレンスも母親に熱烈アタック。モテるね。

しかしどうなのよ、同僚でもある夫が死んだ直後に奥さん口説くってのは。しかも自分も奥さんがいて?家を追い出されてホテル暮らしで?…あまりにも無神経かつ都合良すぎない?

…と思ったら、やっぱりそいつは卑劣なヤツ…とは言い難いですか。大人には大人の事情、国対国の戦いにはそれなりの事情がありますし。1千人救って1万人殺される(という可能性が高まる)わけにはいかんよね。

しかしそれを家族を失った当人に理解しろというのは無理な話ですけど。

てな感じで、かなりずさんで雑な構成ではあるものの、前半はそれなりに映画っぽい流れではあるんです。しかし…

後半はポエム

『映画/アンチクライスト』でも「激しいエロプレイに夢中になっている最中に、息子が転落死してしまう」というヘビーな展開で始まり、その後奥さんはそりゃもうアレな状態になってしまったわけですが…本作の母親も似たような状況ですのでやっぱりアレな状態に。

坊やよ!坊やが帰ってきたんだわ!

…とあっちの世界の住人になって幸せに暮らし……と思ってたのに、テロ犯人の妻から謝罪されたことで引き戻される現実。もうこの時点で少しお腹が大きくなっているのが細かいですな。

あとはもう彼女の「オサマへの手紙」という形のナレーションで、独りよがりのポエムを延々聞かされるわけです…。

あのー、もちろん私も無差別テロを支持する気はありませんし、無関係の人間を巻き込む手口は好ましくないとは思います。思いますが…このあまりにも感傷的かつ非現実的なメッセージは、全く心に響いてきません…。

そのまま『テロの犯人、それを覆い隠していた警察組織』の件も『彼女の妊娠、出産』の経緯も追うことなく、『テロ、ダメ。ゼッタイ。』で終幕。

うむむむ…。まぁこちらで察すればアレにもコレにも結論はつきますし、別に事細かに説明しろというわけではないのですが…なんともブン投げ感が漂いますなぁ。「映画」としてはいかがなものかと。

最も可哀想なのは…旦那

それにしてもジャスパー、登場時のイメージからは想像できない一途っぷりでしたなぁ。

「イイ女を引っ掛けて美味しい思いをしたけど、なんか面倒くさいことになっちゃったからドロンしちゃえ」とはならなかったんですな。偉い。私なら逃げてます。

彼女に拒絶されてからもずーっと窓の外にいたり、アパートの周りをウロウロしたり…こりゃもはやストーカーだね(笑)

一応最後は病院にも駆けつけているようなので、もしかしたらどこかで和解しているのかもしれません。

しかし…鑑賞後にどうしても気になる点が。

この新たに生まれた子、話の流れとしてはジャスパーの子ですよね?

2発のうちどちらかが命中、おそらくスタジアム爆破のニュースが飛び込んできた2回目の時かと思われます。『最愛の息子を失ったのと同時に、新たな生命を授かっていた』というわけですな。

これ、たまたま旦那が死んでくれから良いものの、もしスタジアム爆破が無かったら…そりゃもう面倒くさい修羅場よ?ラッキーだったね、ジャスパー。

え、ヒドいって?いやいや、だって追悼の気球も旦那さんのヤツは全然出てこないし、彼女だって頭がアレになった時に『坊やと二人、元通りの暮らし…』とか言ってたじゃないですか。

おおおーい!旦那抜きで「元通り」かーい!(笑)