淡々モヤモヤした作風が特徴の北欧作品、今回は『映画/獣は月夜に夢を見る』でネタバレと個人的な評価を含む戯言。非常に薄味でいまいち盛り上がりに欠けると言いますか…。
獣は月夜に夢を見る
2014年 デンマーク
キャスト:
ソニア・スール
ラース・ミケルセン
ソニア・リクター
ヤコブ・オフテブロ
監督:ヨナス・アレクサンダー・アーンビー
脚本:ディッテ・ミルステッド
ネタバレ無しのあらすじ
海沿いの小さな田舎町に住むマリー(ソニア・スール)は、父(ラース・ミケルセン)と病気の母(ソニア・リクター)と共に暮らしていた。
父は母の病に関して一切話してくれないが、村人たちは何かを知っている雰囲気。
やがて水産加工場で働くこととなったマリーは、そこでダニエルという名の青年(ヤコブ・オフテブロ)と出会い、互いに惹かれていく。
しかし彼女の身体には徐々に異変が起こり始め…
キャストで戯言
主演はソニア・スール(ソニア・ズーと表記される場合も)。
「彼女の美しさが最大の魅力だった」とか「パッケージで一目惚れして鑑賞した」といった話がありますが…本気?人の好みって色々ですなぁ。
さすがにブサイクとまでは思いませんが、個人的には『超劣化版シアーシャ・ローナン』もしくは『シアーシャ・ローナンに草彅剛を足して4倍希釈した顔』といった印象。要するに美人とは思えませんでした…。
まぁツルペタ女よりもハゲ親父の話をしましょうよ。
なんとあの”北欧の至宝”マッツ・ミケルセンの実兄、ラース・ミケルセンが父親役で登場ですぞ。
日本国内での知名度は高くありませんが、さすが兄弟だけあって雰囲気そっくり。弟より枯れ感が強いところもまたイイ。
なお頭髪がだいぶキてますが、マッツとはたったの1歳差だったりします…。(ラース1964年5月、マッツ1965年11月生)
少女の目覚めと、覚悟の愛
どうしてヨーロッパって『思春期の少女の成長』を変な形で表現する作品が多いのかしら…。
『REW~少女の目覚め~』では食人嗜好というブッ飛び設定で大人になっていく少女を描き、『テルマ』ではチート級の超能力に目覚めていく少女を描き、この『獣は月夜に夢を見る』では狼女への変貌で少女の目覚めを表現
おいおい北欧の映画製作者はド変態だらけか、と。
そんなこんなで数の多い『少女の目覚め作品』ですが、本作はその中でもかなりの薄味仕立てと言いますか…なんともインパクトに欠ける仕上がりでして。
田舎町にありがちな閉塞感や、マリーの中にある母親への葛藤、自らの血に対する嫌悪と誇り。そういったものは静かながらもしっかり強く表現されており、マリー演ずるソニア・スールの魅力的な眼力も相まって実に良い空気を醸し出している。
・・・が、残念ながらグッとくるのはそこまで。
淡々と進むシナリオは良く言えば文学的、悪く言えば起伏が無く盛り上がりに欠け、職場を軸とした人間関係もサラーッとうわべを撫でるような印象。
さらに『ぼくのエリ』を彷彿とさせるラブ要素が盛り込まれているものの、肝心のダニエルが淡泊すぎて覚悟や悲壮感がいまいち伝わってこない。
せっかく非現実的な要素を入れた作品でありながら、ものすごーく地味でパンチに欠けた内容になっております。
まぁ「この手の映画は思いっくそ突き抜けるのが正解!」と決まったもんじゃありませんから、これはこれで思春期の少女のモヤモヤが上手に表現されているのでしょう。一般的な思春期の少女はコップを喰ってダバーッと血を吐いたりしませんけど。
個人的な戯言感想
…というわけで個人的な評価は微妙。
しかし食人行為で目覚めたり、超能力で目覚めたり、そんな『ブッ飛び系・少女の目覚め作品』よりこっちのほうが淡くて良い…と感じる人もいるかと。
とりあえず私は
就職2日目のクセにイヤホン着用で仕事中に喫煙
という、余裕ぶっこいた勤務態度に「お国柄か!?それとも最近の若いヤツはみんなこうなのか!?」とショックを感じ、
イジメの小道具は魚介類
という斬新な手法に「お国柄か!?それとも水産関係者のイジメはみんなこうなのか!?」と追加ショックでした…。