今回の戯言1本は…パッケージがインパクト大なので、思わずジャケ借りしてしまった人も多いであろう『映画/バチカン・テープ』です。
はっきり言って世間の評価は低めのこの作品。まぁ…気持ちはわかります(笑)
バチカン・テープ
2015年 アメリカ
主なキャスト:
オリヴィア・ダドリー
ダグレイ・スコット
ジョン・パトリック・アメドリ
マイケル・ペーニャ
ペーター・アンデション
ジャイモン・フンスー
キャスリーン・ロバートソン
マイケル・パレ
監督:マーク・ネヴェルダイン
脚本:クリストファー・ボレッリ、マイケル・C・マーティン
ネタバレ無しのあらすじ
彼氏(ジョン・パトリック・アメドリ)と同棲していたり、それを快く思わない父(ダグレイ・スコット)にちょっと困ったり・・・いたって普通の27歳女性だったアンジェラ(オリヴィア・ダドリー)。
しかし突然、彼女の身の回りで不穏な出来事が続き、ついには彼女自身までもが不可解な行動を取り始め、周囲に破滅的な影響を及ぼし始める。
悪魔祓いを依頼されたバチカンは1人のエクソシストを派遣するが、彼女に憑りついていたのは想像以上に強大な存在であった・・・。
・・・といった内容の作品。
キャストで戯言
どうもB級感が漂う映画なのですが、キャストを見てみると決して安くはないんですよね・・・あれれ?
ダグレイ・スコットにマイケル・ペーニャ、そしてジャイモン・フンスーときましたか。
世間では「マイケル・ペーニャと言えばアントマン」と言われたりしていますが、もちろん私は観ていませんので・・・個人的には「マイケル・ペーニャと言えばグッド・ドクター」です(笑)
私はこの映画を初回はレンタル、そしてU-Nextの配信で二度目の鑑賞だったのですが・・・出演キャスト欄に「アリソン・ローマン」と書かれており、それはもう首やら〇〇〇やらを長くして登場を待っておりました。
ワクワク・・・まだかな・・・お!このメガネショート・・・は違う・・・あれ、映画終わっちゃった?
アリソン・ローマン出てこないじゃん!(泣)
長くなって伸びきった首と〇〇〇を縮こませながらエンドクレジットを凝視しても・・・名前がありません。なんだよ誤植かよー・・・む、あったー!最後から三番目。ナースその1、その2に続いた…エキストラ扱いみたいな場所に「ALISON LOHMAN」と書いてありました!
役柄は・・・Psych Patient??えーと・・精神・・患者だから・・・あれかっ!?あの精神病院内に患者の1人として混ざってたってのか!?全然気づかんかったよ!
そして患者が出てくるシーンを戻してあちこち検証してみるも、残念ながら発見することはできませんでした。この人かな?と思うのはいたのですが・・・。
あれですかね。私の中のアリソン・ローマンは『映画/ビッグ・フィッシュ』もしくは『映画/マッチ・スティック・メン』の頃の可愛らしい姿のままで思い出補正されているので、それから10年以上経っている彼女を発見することができないのも止む無しといったところなのでしょうか。
お変わりになってしまった彼女を見ずに済んだぶん、むしろ幸せだったのかもしれません…。
ここからネタバレを含むよ!!
ある意味斬新
この『映画/バチカン・テープ』は悪魔憑きの話ですので、当たり前のようにエクソシストの悪魔祓いの展開になるのですが…今までのエクソシストものとは一線を画す作品といった感じでした。
なんと言えば良いのでしょう。悪く言えば「地味」です。良く言えば「現実的」です(悪魔憑きの時点で現実的とは言えないかもしれませんが…)。
エクソシストは冒頭出てくるものの、すぐに時間が戻って「なんでこうなったのか」の話が延々と続いてしまい…再び登場するのは中盤を過ぎてから。早くから登場しているロサーノ神父(マイケル・ペーニャ)は、何ができるというわけでもなく…ただただ画面の中をウロウロしているだけのようなものです(笑)
結局最後まで彼は特に何もできず、伝言をバチカンへ伝えるパシリ役と成り果てました。でも「選ばれた神の戦士」らしいですよ。
無力なエクソシスト達
ウロウロするだけのロサーノ神父は単なる「神父」ですので、何もできないのはまぁ良しとして。
「俺はいざとなれば、神の教えに背いてでも絶対悪魔殺すマンだぜ」といった感じでやってきた大物、ブルン枢機卿も…面倒くさい父親のせいもあってあまり活躍できず。
ああいう時って、父親は外に出しておくべきじゃないでしょうかね・・・。
「えーいムリムリ、もう娘を殺るしかないんじゃー」の流れも失敗で、最後の姿すらなく「死んでた」という報道で片づけられてしまいました。
そして引き継ぐイマーニ枢機卿代理に至っては、大がかりな「秘密の保管庫」でロサーノ神父とともにテレビ鑑賞です(笑)
まぁ相手が相手ですし…全体的に続編ありきの作りになっていますので、まずはこの本作では「アンチクライストの強大さ」を示したかったのでしょう。続編で「神の戦士vsアンチクライスト」を描くための布石として。
で、アンチクライストとはなんぞや?
アンチクライスト(反キリスト)の解釈については様々な意見がありますし、宗教的な部分ですのであまりツッコんだ話はしたくないのですが・・・
アンチクライスト(反キリスト)とは新約聖書に記されている存在で、イエスがキリストであることを否定し、真実と対極にある悪魔の具現化…とされています。
単純にサタンとかバアルとかそういう名前がついている悪魔ではなく、もっと抽象的な「主の教えに反する強大な存在」といったニュアンスも強いようです。
黙示録とも関連性が強く、世界の終末にあたって「偽の預言や大いなる奇跡などを用いて選民を惑わし、最後の審判で苦しみを与える」とされています。そしてそれは不可避とのこと。
アンジェラも最後は、病気の人を治したとか奇跡の力とかで人々から神のように扱われ始めていましたので・・・そういう事なのでしょう。
死に設定が多くて・・・
扱ってるネタは壮大でありながら、精神疾患の部分で掘り下げてみたり、処方された薬品の副作用がどうとか盛り込んでみたり・・・けっこう現実的な部分でアレコレと厚みを出そうとしているのを感じます。
そして冒頭からずっと描かれる「彼氏と父親の確執」や「ロサーノ神父は元軍人」、「枢機卿の過去とアンチクライストの関係性」などなど・・・
それらのほとんどが「死に設定」になっている気が・・・。
彼氏と父親も「アンジェラのため、お互い嫌いならがらも協力する」というわけでもなし「仲が悪いせいで何か起こる」というわけでもなし。お互いあやふやなまま、爆発オチでエンドです。
ロサーノ神父の元軍人っぷりは、神の戦士として活躍する続編で見る事ができるのでしょう。おそらく。
90分間の壮大な・・・
結局最後まで問題は解決せず、アンジェラは反キリストとして民衆の注目を集め、枢機卿代理と神の戦士(の予定)であるロサーノ神父がテレビを見て終わりです。そして流れる美しくも破滅的なエンドクレジット・・・。
しかし眺め続けていると・・・なんか「どこぞのゲームのオープニング」のようにも見えてきました。
なるほど。そういう事ですか、ここから話が始まるのですね。つまり・・・
今私が観たのは、90分間の壮大なプロローグ映像だった
というわけですか(笑)
反キリストが支配していく世界・終末へ向かう世界を、神に選ばれた戦士たちが阻止する・・・そういう話なのですね。よーし、これはなんとしても本編を見なければ。本編・・・いつ出るの?(笑)
…というわけで
この映画単発で終わったとしても、まぁ有りとも無しとも言えないような作品なのですが・・・やはり「続編がある事」を前提にしたような作りになっていますので、そういう構想はあったのでしょう。
いったいどんな展開になるのか…『映画/バチカン・テープ2(仮)』の公開が待たれますが、もう5年近く経ってしまいました。こりゃおそらく出ませんな・・・(笑)
個人的にはアンジェラ役のオリヴィア・ダドリーは「無し」の女優さんですので、まぁ良いかなと。
ジャイモン・フンスーとマイケル・ペーニャのコンビが、ゴリゴリ戦う姿は見たかった気がしますけど(笑)