タイトルとパッケージ、設定からキャストに至るまで、まさに正統派B級クソ作品とも言える『映画/ジュラシック・ユニバース』でネタバレ・あらすじ・感想を含む戯言を。
某有名恐竜映画を意識したタイトル、『臨場感バツグン!ド迫力のCG!!』という謳い文句に嘘偽り有りのVFX、無名かつ素人演技が際立つ俳優陣、うすら寒い演出、どれをとっても『B級(以下)』以外の何物でもありません。
ボリューム満点の大作映画や脳みそフル回転のサスペンス映画に疲れたアナタ、たまにはこんな脱力映画はいかが?ちなみに『ダークキングダム』と付いているのは別作品です。
ジュラシック・ユニバース
2018年 アメリカ
主なキャスト:
アダム・ハンプトン
ケイティ・バージェス
ライアン・メリマン
ペリー・リーヴス
ケイト・ジョーンズ
監督:ライアン・ベルガルト
脚本:ライアン・ベルガルト
ネタバレ無しのあらすじ
死刑囚達を恐竜が跋扈するVR世界に送り込み、生き残った最後の1人は自由を勝ち取る。
それは『ジュラシック・ゲーム』と呼ばれる過激なエンターテイメントであり、仮想空間で殺しあう様子はテレビ配信され多くの視聴者を獲得していた。
今年も選ばれた10人の死刑囚がゲームに挑むのだが、その中には無実の罪で死刑宣告を受けたタッカー(アダム・ハンプトン)も…。
そしてタッカーの子供たちも含め多くの群衆が見守る中、ついにジュラシック・ゲームの幕が開ける…
・・・といった内容の作品。
B級クソ映画(褒め言葉)です
なんといっても『B級映画』ですから。
ガチのサスペンスやスリラーを鑑賞するような姿勢で見るのがそもそも間違い。あら探しや揚げ足取りをしようと思ったらキリがないので、それらの「おいおい、そりゃないだろ!」も含めて楽しむのが大人のマナー。
まず設定からして…
10人の死刑囚のうち、生き残った1人は無罪放免
ですからね。
恐ろしく狡猾で強い連続殺人鬼がいたら、『人いっぱい殺して死刑⇒ジュラシック・ゲームで無罪⇒わーい自由だ人を殺そう⇒死刑⇒ジュラシック・ゲームで…』の無限ループが完成ですよ。ようこそ素晴らしき世界へ。
この手のB級映画をスマートに受け入れ、特に良かった点をさらっと述べる事ができるようになってこそ、一流のBクソ映画ハンターです。
迫力のVFX!予想できない展開!
そのタイトルから想像できる通り、一応恐竜が出てくるわけですが・・・やはりB級作品の限界といいますか、「まるで本物のような迫力!」とはケツが裂けても言えない仕上がり。しかし意外と恐竜単体ならイケるんですよ。ちょこっと殴ったり、吹き飛ばしたりする程度なら十分鑑賞に堪える。
…しかし、俳優と動きがリンクする(食べる・捕まえる)ようなシーンになると、もう途端に残念な事に(笑)
まぁ設定からして『生きている恐竜』ではなく、仮想現実内での存在ですので、むしろリアルと言えばリアルなのかもしれませんけど。
そして10人の死刑囚のうち、生き残れるのはたった1人。という事は、9人は途中でサクサクと死んでいくわけなのですが…この『死亡フラグ』が実にまぁわかりやすい。
あ、次はコイツか。よし、次はコイツだな…と、観ているこっちの手のひらで踊るかのような素直な死にっぷり。
最終的に「タッカーとジョイ(サラ)」が残るのはもう序盤から目に見えており、さらに「どうせジョイが真犯人だろ」の予想も覆される事なく、そのまま最後まで完走。最初から最後まで予想通りの展開で驚きも衝撃もあったもんじゃない。
しかしむしろ、自己満足のB級映画にありがちな『じゃじゃーん!真相はコレでした!!どう?驚いた?』と、監督ドヤ顔でぶっ込まれる「矛盾だらけのどんでん返し」が入っているよりはマシじゃないですか。たぶん。
単純明快・明朗会計
最後も変な含みを残す事なく、タッカーは子供たちの元へと戻って幸せな家庭(母親はいないけど)のような流れでエンドです。
なにやらテレビで『ジュラシック・ゲームは終わらないよー』みたいな事言ってますが、彼らにはもう関係のない話ですから。気にせずご飯食べちゃって下さいな。
実にストレートかつ素直、古き良き映画を彷彿とさせるような『正統派B級映画』でした。
小難しい話はめんどくさい!単純明快エンターテイメントが大好き!といったお父さんや、ゲーム大好き中高生にはウケそうな作品です。
意外にゴア要素もありませんので、夕食後に家族で楽しむのも良いかもしれませんよ。もちろんエロスも一切ありませ・・・あ、ステファニーの紹介映像でちょっとそれっぽい部分がありました。しかし急にお父さんが新聞広げたり、お母さんがお茶を入れに行ったりするほどではありませんのでご安心を。
ちなみにパッケージの下のほうに…
『ジュラシック・ワールド/炎の王国』に続く恐竜アドベンチャー大作
とか書かれていますが、そこはたぶん誤植ですので気にしないほうがよいかと(笑)
ついでにものすごく名前が似ている映画で『ジュラシック・ユニバース/ダーク・キングダム』というのもありますが、そっちは続編でもなんでもありません。本作よりもさらにB級色の強い、素晴らしきクソ映画ですよ。