当記事は『映画/ジェーン・ドゥの解剖』のネタバレ・解説・キャスト等を含みます。未鑑賞の方はご注意下さい。
「サスペンスホラー」というジャンルって難しいですよね。現実的な殺人者モノから非現実的な悪魔モノまで・・・ぜんぶまとめて「サスペンスホラー」で括られたりも。…ということで『映画/ジェーン・ドゥの解剖』です。
え?そんな話はいいから、さっさと誰が美しくて誰が真っ裸なのか教えろ!とおっしゃいますか。おやおや、よほど美人の裸がお好きと見える。しかも彼女は死体ですよ?かなりの通ですなぁ。
ジェーン・ドウの解剖
2016年 アメリカ
主なキャスト:
エミール・ハーシュ
ブライアン・コックス
オフィリア・ラヴィボンド
オルウェン・ケリー
監督:アンドレ・ウーヴレダル
脚本:イアン・ゴールドバーグ、リチャード・ナイン
ネタバレ無しのあらすじ
謎の一家惨殺事件が発生。その家の地下を調べると、身元不明の全裸女性が埋められた状態で発見される。あれれ、埋まってたわりには綺麗。そして美人・・。
親子で検死を行っているトミー(ブライアン・コックス)とオースティン(エミール・ハーシュ)はこの女性の死亡原因を探ろうとするが・・・あれこれ調べれば調べるほど不可解な事ばかり。
検死が進むにつれヤバげな怪奇現象まで起こり始め、オースティンは「もうやめようよお父さん」な状態。しかしトミーは「しっかり最後までやり遂げろ息子よ」の対応。
果たしてこの死体はいったい「誰」なのか・・・いや、「何」なのか・・・
・・・といった内容の作品
ここからネタバレを含むよ!
強引というか・・乱暴というか・・
アレコレと謎を散りばめリアルサスペンス的な流れを作っておきながら、結局最終的に「正体は悪霊でした」「原因は呪いでした」といった超常現象オチに持っていく映画は、個人的にあまり好きではありません。。。
『映画 ザ・ライト/エクソシストの真実』(アンソニー・ホプキンス出演作品)のように、最初からそういう「これは悪魔系の作品ですよー」と謳っているなら問題はないのですが、そういう流れではないと思わせておいての「実は超常現象でした。テヘッ」という流れは・・・もはや夢オチに近い納得のいかなさを感じます。
個人的的には『映画/シェルター』(ジュリアン・ムーア主演作品)がギリギリアウトくらいです(笑)
映画「シェルター」では、貴重な「ジョナサン・リース=マイヤーズの幼児プレイ」も見れるぞ!(笑)
全編真っ裸&演技無しの死体(?)役は・・
本作、作品パッケージにもなっている死体役の女性はオルウェン・ケリーというお方。なんと彼女の解剖シーンは一切CGを使用せず、人工的に作られた「偽の身体部品」という事です。
切開するとリアルに血がにじみ出し、頭皮には1本1本リアルに毛が埋め込まれています。こちらがメイキング映像。ちょっとグロテスクなので、そっち系が苦手な方はご注意を。
なにやら彼女はアイルランド出身のモデルだそうで・・・どうりで素晴らしいプロポーションだと思いました。
そんな美しい女性の全裸を目の前にしても、淡々とあんな所やこんな所をいじくりまわすトミーパパは・・さすがプロですなぁ。
たしかに若い女性の死体がくるたびに「うひょひょっ!」とか思ってたら仕事にならないでしょうけどね・・・。
美人女性の遺体に欲情したり、あんな事やこんな事をしたくなるような変態野郎はこっちの映画を見やがれっ!!
そういえば『映画/アイム・ノット・シリアルキラー』にて、葬儀屋の息子である主人公がエンバーミング処理を手伝わされている最中、女性遺体の下半身をめくる時に母親から「見ないで」と言われていました。
まぁたしかに気持ちはわからないでもないんですが・・・「いちいち意識するなら息子に手伝わせるなよっ」と言いたい気も…。
そういえば私の医療関係の友人(♀)は「仕事中は男性のアレを見ても全く気にならない」と言っていましたし、私自身も過去に大人の画像を扱う仕事をしていた時には「はい、巨乳はこっちのフォルダで…こっちは貧乳…いや、これは通常サイズか?」と、無感情で処理していましたし。『仕事』となるとまた別のスイッチに切り替わるもんですよね。
で、結局この死体は「何」?
身体に残された様々な手がかりから追っていくと、彼女は遠い過去に「魔女狩り」の対象として拷問を受けて殺害された女性である・・・という結論に行きつきました。残念ながらそのあたりの謎解きはちょっとツッコみどころが多く、うーむ・・・といった印象ですけど。
死体から出てきた手掛かりとなる物も、どうもいまいち腑に落ちない感じがしますし…徐々に強まっていく超常現象は理屈もクソもない雰囲気です。
そして結局ところ、彼女は本当に「魔女」だったのか「魔女の濡れ衣を着せられた女性」だったのかは最後まで不明のまま。
個人的には後者かな・・とは思いますが、どちらにせよ「強い怨念を持って亡くなった」ということだけは事実。そしてこの死体は今もなお「生きている」のです。
美人死体の話かと思いきや、ただのマグロ美人の話だった・・というオチです(笑)
モヤモヤ感残し系のラスト
最終的には「超常現象でした」からの「全滅バッドエンドオチ」という、B級サスペンスにありがちの締め方となり、これまたありがちな「悲劇は繰り返される・・・」の余韻を残して幕となります。
うーむ、もうちょっと・・もうちょっとだけどうにかならなかったんでしょうか…。
これはこれで悪いわけではないのですが、せっかく気合の入った作品なので内容にもうちょい厚みが欲しかったと感じます。
あ、余談ですがオルウェン・ケリーは死体役を演じるにあたって、浅い呼吸の練習をしたりヨガの瞑想教室へ通ったりもしたそうですよ。
何かを表現するのではなく、何も表現しない・・・そういう「演技」もあるのですね・・・。深し。