今回の1本は『映画/LOOPER ルーパー』、考察を始めたらラチが開かない要素の定番、ループ系タイムリープものになります。ネタバレを読むと面白さ半減以下ですので未鑑賞の方はご注意下さい。
そもそも現実に存在しない(と思われる)現象を、現実の理屈で辻褄合わせようというのが間違いなわけですから。そりゃもうツッコミどころ満載の考察となりますが…適当に読み流す気分でよろしくお願い致します。いやホント。
LOOPER/ルーパー
2012年 アメリカ
主なキャスト:
ジョセフ・ゴードン=レヴィット
ブルース・ウイリス
エミリー・ブラント
ポール・ダノ
ノア・セガン
パイパー・ペラーボ
ジェフ・ダニエルズ
ピアース・ガニォン
シュイ・チン
監督:ライアン・ジョンソン
脚本:ライアン・ジョンソン
ネタバレ無しのあらすじ
2044年、カンザス州。
30年後の未来から送り込まれてきた人間を処理する『ルーパー』として生きるジョー(ジョセフ・ゴードン=レヴィット)は、いつかフランスへ移り住むことを目標としながら日々の仕事をこなし生活していた。
ある日、いつもと同じように未来から送られてきた人間を処理…って、おまえは30年後の俺(ブルース・ウイリス)じゃないかっ!
「30年後の自分」を取り逃がしてしまったジョーは、ルーパーを取り仕切る組織に追われながら、未来から来た自分を追う事に。
やがて自分(30年後から来たほう)が、この世界にやってきた真の目的を知る事になり…
・・・といった内容を、頭こんがらがりながら楽しむ作品。
キャストで戯言
さぁさぁ、何から話しましょう。とにかくキャストに関して言いたいことは多々ありますが、最大はコレでしょう。
あんた30年で変わりすぎ!(笑)
ジョセフ・ゴードン=レヴィットが、30年後にブルース・ウイリス!?いやいや、そりゃちょっと無理がありすぎるっ。頭髪に関しては私も人のこと言えないので触れないとして、頭蓋骨の大きさが違いすぎるじゃないですか(笑)
『映画/プリデスティネーション』の「サラ・スヌーク→イーサン・ホーク」も納得いきませんでしたが、あちらは同一人物であると気づかないからこそ面白くなる映画。こちらは最初から同一人物であることが前提ですから、吹越満っぽいジョセフが30年後には進化途中のゴリラっぽいブルースになるというのは…。
たしかに目だけは似てるっちゃ似てる気もしますけど。
ついでにポール・ダノが、30年後フランク・ブレナンになるというのも違和感バリバリ(笑)
「幼少期→青年」や「成人→お爺」であまりにも無理があるキャスティングは時々見かけますが、本作も少々苦しいかと…。
その点にさえ目をつぶれば、そりゃもう個人的に大好き俳優が多数出演しているこの映画。
憎めないキャラなのにエグい末路を辿るポール・ダノを始め、パイパー・ペラーボは控えめな胸と控えない尻をご披露してくれて眼福。
これまた憎めないキャラでジョーを追うキッド・ブルー役ノア・セガンは『映画/デッドガール』での鬼畜っぷりで惚れ込んだ俳優なのですが、今回も報われない役柄ですなぁ。
しかし残念ながらヒロインポジションのエミリー・ブラントは好きなじゃないんですよね…。彼女に限らず、クソ生意気なツラの女優は苦手でして。
さらにコレを言っちゃお終いですが、実はブルース・ウイリスも嫌いです。おそらく映画好きならば観たことがない人はいないであろう超有名映画、『ダイ・ハード』シリーズは1本も観たことがありません…。
ループ系の解説は不毛…
冒頭にも書きましたが…現在のところタイムマシンは開発されていませんので「過去を変えたらどうなるのか」「同じ時間軸に同一の人間が存在できるのか」などといった疑問は想像の域を出ません。
それを現在の理屈でこねくりまわしてもタイムパラドックスの問題にぶち当たるだけですから、そもそも答えを見出すこと自体が無理ってもんです。
作中でもエイブが『タイムトラベルの問題は頭が痛い』と議論を避けていましたし、30年後ジョーも『1日かけても終わらない』と。
…が、そこをあえてアレコレと考察するのがタイムリープものの醍醐味でもあります。
そりゃ違うと思う方もいるでしょうし、つっこみどころもありますが…あくまでも個人の見解・感想・考察という事でご容赦下さい。
ここからネタバレを含むよ!!
二周を繰り返す螺旋
まずはじめに…
- 30年後(2074年)はタイムマシンがある
- その時代の犯罪組織が30年前(2044年)に人間を送り、処理させている
- 処理する「ルーパー」が30年後も生きていた場合、30年前に送られてくる。これを『ループを閉じる』と呼ぶ
(自分で未来の自分を殺す事になる) - レインメーカーという男が犯罪組織を掌握し、次々に『ループを閉じて』いる
- 30年後ジョーは30年前のレインメーカーを殺す事で、歴史を変えようとしている
…というのが、基本設定。
うーむ…ここからしてすでにツッコミどころや腑に落ちない点が多々あるのですが、それはとりあえず置いといて。
本作は『自らのループ(30年後から来た自分)を逃してしまったジョーが、ハシゴから足を踏み外すシーン』で不思議な演出を挟んだ後、何事も無かったかのように時間が戻ります。
そして…
①自らのループ(縛られ袋をかぶせられた状態)が送られてきて、普通に殺す。
↓
②30年経過する
↓
③捕えられ過去に送られそうになるが、隙を突いて反撃。自らの意思で過去に戻る
↓
④縛られず袋もかぶせられていない状態で30年前に到着
↓
⑤殺されずに逃げ延びる。ジョーはハシゴから足を踏み外す
…でさきほどの場面に繋がり、その後の物語が続く。
一般的なタイムリープものの感覚で見れば矛盾と疑問を感じるものの、この映画での『時間ループ』という概念はこれまでのループ作品とは別モノ。
ものすごく陳腐で使い古された表現になってしまいますが、この映画でのループは円環ではなく螺旋なのでしょう。
その時点での行動が未来に影響を与えるものの、ぐるぐる回ってきた過去はそのまま。
物語のラストでジョーは自らの命を断つことで30年後ジョーの存在を消し、サラとシドを救うわけですが…これが円環であったならば、そもそも自分のループがこの時代に送られてくる事が無いわけですから。ここまでのストーリー全否定です(笑)
この場面でジョーは『サラが死亡し、レインメーカーが生まれる』という映像を感じ取りました。
これは私の勝手な解釈ですが、これまで螺旋として何度もこの場面が繰り返されていたのでしょう。そしてその全てでジョーは自らの命を断つという決断はしてこなかった。
それにより、上の表にさらに追加して…
⑤自らのループを逃してしまったジョーが、ハシゴから足を踏み外す
↓
⑥映画の展開同様、ラストシーンにいきつく
↓
⑦30年後ジョーを止める事ができず、サラは死亡。シドはレインメーカーとなる
↓
⑧30年経過
↓
①に戻る:レインメーカーにより、30年前に送られる(縛られ袋を被せられた状態で)
↓
繰り返し
…と、『袋を被せられて殺されるジョー』と『袋を被らずに過去に戻りアレコレするジョー』が二重の螺旋になって延々同じ流れを繰り返していたのではないかと。だからこそ最後の場面で、サラが殺されレインメイカーが生まれる未来が見えたのでは。
その無限ループに『自ら命を立つ』という新たな行動を起こしたことで、それ以降のループが終わったのではないか…というのが私の解釈です。
ぐるぐると時間の流れは螺旋階段状になっている…と考えれば、この作品に感じる矛盾や疑問の多くが解決されます。
個人的な戯言感想
ぬ…ぬおおっ。真面目に考察していたら、指が「おっぱい」「変態」「尻」などの単語を打ちたくてムズムズしてきました。
文章力の足りなさゆえに上手く文字で伝える事ができないのですが、個人的にはこの映画の「過去と現在と未来」の流れに関して、納得のいく理屈にたどり着くことができました。勝手な想像補完あっての話ですけど。
それよりも『セスのループが逃げた時、別に回りくどい事をせずとも、捕えたセスをさっさと殺してしまえば良かったのでは?』のほうが納得いきませぬ。
「この時代の人間の身体に与えた影響が、未来から来た者にもリアルタイムで反映される」という設定をわかりやすく表現するための演出なのはわかるのですが、それならば『サラに岩塩弾丸で撃たれてついた肩の傷、左右逆なんですけど!』という部分はどうすれば…(笑)
なにはともあれ、良い感じに頭を使って楽しめる良作SF映画でございました。
これでブルース・ウイリス以外のキャストを起用し、パイパー・ペラーボとエミリー・ブラントが逆だったらなお最高でしたなぁ。