今回の1本は『映画/モーガン・ブラザーズ』、人間の死体を原料として肥料を作るモーガン兄弟のお話です。
劇場未公開作品ですので、DVDや動画配信サービスなどで観る事になると思うのですが・・・てっきりそのパッケージと掴みのあらすじから「バカっぽいノリで過激なゴア表現を楽しむだけの映画」かと思っていました。
ところがまた、これが意外に楽しめたりするわけで。
良い意味で期待を裏切ってくれた作品です。
モーガン・ブラザーズ
(原題:100 Bloody Acres)
2013年 オーストラリア
主なキャスト:
デイモン・ヘリマン
アンガス・サンプソン
アナ・マクガハン
オリヴァー・アクランド
ジェイミー・クリスティアン
監督:コリン・ケアンズ、キャメロン・ケアンズ
脚本:コリン・ケアンズ、キャメロン・ケアンズ
ネタバレ無しのあらすじ
田舎町で肥料工場を営むモーガン兄弟(兄リンゼイ:アンガス・サンプソン、弟レジ:デイモン・ヘリマン)の新開発した商品は、なんと人間の死体を原料とするというモノ。
ある日、通りがかりに事故車を発見したレジは、その運転手の死体も肥料の材料にするためにバンへ積み込む。
しかし死体を運搬している最中・・・車が故障してしまった三人の若者にヒッチハイクされ、乗せるハメに。
どうにか上手くやろうとしたものの結局バレてしまい、兄弟は三人の若者も肥料の材料にしようとするのだが・・・
・・・といった内容の作品。
またもや世と意見の食い違いが・・
海外での評価はかなり高いものの、日本国内での評価はどうもイマイチな『映画/モーガン・ブラザーズ』ですが・・・私はかなり面白かったです。
なぜでしょう、いつもこうなんですよね。。。
「うおっ!こりゃ面白い!」と思った作品の評判を調べてみると、けっこう辛口な意見が多かったり・・・「何が面白いのか、わからん」と思った作品は、みんな褒めちぎっていたりします。
人と評価を合わせようとも思いませんし、自分の意見を人に押し付けようとも思っていませんが…こう頻繁に食い違いがおきると、批判の的になりそうで怖いなぁ。
おそらく私がこの作品を「クソ面白い」と感じた理由は、レジ役のデイモン・ヘリマンとソフィ役のアンナ・マクガハンがとても好印象だったからというのもあるでしょう。
好きな雰囲気の俳優が出ていると、それだけで面白さがアップすることってあるじゃないですか。
逆にどうにも好きになれない俳優ばかりだと、作品の内容もイマイチに感じてしまったりとか。
現に、兄リンゼイが目立つ部分はどうもテンション下がってしまいました。ダメです、あの顔。私の友人にそっくりですし(笑)
悪く言えばグダグダ。良く言えば心地良くゆるい。
とにかくこの映画、随所に感じるテンポの悪さときたら…。
なんでしょう、観ていて「・・うっ」と詰まるというか、モタつくんですよね。
話の展開も、ポンポンッと行く場面かとおもいきや…また「・・って、あれ?」と詰まる。こちらのテンポに話がついてきてくれません(笑)
しかしその、何とも言えない間というか…間延び感が私は好きでした。
ややもすると「グダグダ」とも思える流れが続いたりもしますが、決して飽きるほどではなく。
「ここで笑ってください!」といった感じに狙って作られている部分も悪くはありませんでしたが、むしろ話の流れ全体に漂うゆるーい笑い感が面白かったです。
ここからネタバレを含むよ!!
ツッコミどころ満載
荷台に乗せた若者たちが死体を見つけ「オレ達が次の獲物なんだ」「田舎に行けばサイコに出会う」と騒ぐシーンは「うんうん、たしかに普通のホラー系映画はそうだよなぁ」と納得です(笑)
そう言われれば「田舎道で車が故障した若者グループ」とくれば、サイコさんの餌食になるのが定番ですもんね。
作品中で何度も何度も使われる「怪しい雰囲気のBGM」も、あまりにも繰り返されすぎて…流れるだけで「またこの音かよっ」とツッコミたくなります(笑)
なぜ荷台の中やトランクの中がそんなに明るいのよ、とか・・・
まずズボンを脱がせてから吊ればいいじゃん!とか・・・
そんなところも気になりますが、そこは映画という事で。
それ以外にも、おそらくこの映画を「面白くなかった」と感じる人にはただただつまらない要素なのでしょうが、ツッコんで笑える要素が満載でした。
そして物語終盤にナンシー叔母さんが家にやってきたあたりからは、もはやカオス状態。
何が何やらの展開が続き、息つく暇も・・・ありました(笑)相変わらずちょいちょいダルい間延び感があるので、一息つく間はあります。しかしその後しっかりと巻き返してくれるので、最後の最後までダラける事なく鑑賞する事ができました。
「この時がきた」と、覚悟を決めて向かうレジのシーンは・・・バックに流れるクソ間抜けなBGMが最高(笑)ですし、それをウットリした目で見送るソフィにも「アホかっ!」と飛び蹴りを食らわしたくなります(笑)
なんか良い雰囲気でシメられちった
最終的にソフィは彼氏を捨ててレジの元へと走り、リンゼイ兄さんはミンチ。そしてレジはリンゼイに指輪(他人の)を渡してハッピーエンドです。
・・・ハッピーエンドなのか?(笑)
警官や叔母さんも含め、レジとソフィとジェームス(彼氏)以外の登場人物は全滅ですからね。無茶苦茶にもほどがある。
そしてそのジェームスも、エンドクレジット後のオマケであんな事になっちゃいますし。
それでも個人的には、笑いながら受け入れられる終わらせ方でした。この先どうなるんでしょう、あの二人。
一緒に死体肥料を作り続けるのでしょうか・・・(笑)
なにはともあれ…日本ではイマイチ評価の作品ですが、私としては観て良かったなぁと思える映画でした。
たしかに「コメディ」とするには笑いもフッ切れていませんし、「ホラー」や「スプラッタ」といった視点で見ても弱い。全体的に中途半端な作品ではあるのですが、登場人物たちの人間模様が面白かったです。
ピュアを通り越してアホなレジがとても可愛いく思えましたし、最初はあまり可愛いと思えなかったソフィも終盤に近付くにつれてなぜか可愛く思えてきました。あのちょっとむっちりもっさりした体型は個人的にツボです(笑)
残酷描写は控えめですので、そっち系が苦手な方でもギリギリいけると思います。
この作品をまだ観てないのに、ココまで読んじゃった方も…ぜひ一度ご覧になってみて下さい。
そして「ぜんぜん面白くねぇじゃん、やっぱり映画で戯言三昧の評価はアテにならん」とガッカリしてみて下さい(笑)